本記事には記事の特性上、「呪術廻戦」渋谷事変のネタバレを含みます。閲覧に際してはご注意ください。
集英社ゲームズが5月23日に発売する『呪術廻戦 呪霊逃走 ‐渋谷事変‐』は、人気漫画「呪術廻戦」における“渋谷事変”での一幕をモチーフにしたボードゲームで、「呪術廻戦」最強キャラの一角である五条悟から逃げる「呪霊」たちを描いた作品です。今回編集部では、そんな本作を一足早くプレイする機会を得ました!
「呪術廻戦」に触れたことがある方ならわかると思いますが、“渋谷事変での五条悟vs特級呪霊たち”といえば作品屈指の名バトルのひとつです。五条悟を獄門疆へ封印するために「真人」や「漏瑚」らの特級呪霊が挑むわけですがその戦力差は絶望的で、 “五条悟の恐ろしさ”や呪霊たちの決死の抵抗、そして衝撃の結末が読者に強いインパクトを残しました。
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そんな名バトルをベースに作られたボードゲームが『呪術廻戦 呪霊逃走 ‐渋谷事変‐』なのです。本ゲームの概要をざっくりと説明すると、「“最強”五条悟相手に時間を稼いで、彼を封印できれば呪霊の勝ち、過半数が祓われたら(倒されたら)呪霊の負け」というもの。名シーンを追体験できる楽しみはもちろん「あの五条悟と戦った呪霊側の心情を体感したい」「五条先生になって呪い(呪霊)を祓いたい」というファンの心理に応えてくれる意欲作といえます。
本稿ではファン目線も交えながら、呪霊「真人」になって五条悟から逃げ回ったり、あるいは五条先生になって(あくまでも彼から見れば)有象無象の呪霊を祓っていく模様をお届けします!
◆呪霊が新たな人間になるため、五条悟をLet's封印! めっちゃホラーな“最強”の猛攻……助けて獄門疆!
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『呪術廻戦 呪霊逃走 ‐渋谷事変‐』は4人および3人でのプレイが用意されており、どちらも「1vs3」「1vs2」という非対称型でゲームが進行します。もちろん一人で迎え撃つは“最強の呪術師”五条悟! 使用できる呪霊は「真人」「漏瑚」「花御」の3体で、原作では「脹相」や「陀艮」といった面々もその場にいましたが、わりと控えめな活躍だったということもあって真人らが選ばれたのでしょう。使われているイラストもファンならテンションが上がるものばかりで、原作のどのシーンか思い出せるのも楽しい点です。
勝敗は至ってシンプルで、五条側の勝利条件は7ラウンド目終了までに呪霊を2体祓うorマップ上に一般人がいなくなること。その逆に一般人を残しつつ逃げ切ることができたなら呪霊側の勝ちです。ちなみにラウンドは「夏油」が封印完了マス(獄門疆)に近づくことによって表現されます。
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ゲームの舞台となる「渋谷ボード」は地上と地下の9エリアに区切られており、五条悟と同じエリアでラウンドが終了すれば呪霊は問答無用で祓われるため、彼と同じエリアにならないよう逃げ回ることになります。五条悟を含む全てのキャラには「いどう」「かいだん」「とどまる」という共通カードに加え、「呪力カウンター」を消費して発動できる各々の術式や特性を再現した術式カード3枚が存在しているため、それらを駆使して逃げ回るわけですね。
呪力カウンターは“一般人を食べること”で回復できますが、それも諸刃の剣……マップ上に一般人がいなくなれば領域展開「無量空処」をぶっ放されて即負け、ゲームオーバーです!
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ただ、五条先生だけ呪力は無制限なので呪力カウンターは必要ありません。作中で散々ズルい性能と言われていますが、やっぱりここでもズルと思わざるを得ません。
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さて、ここからはゲームを実際にプレイしながら、本作の駆け引きやルールをお伝えしていきます。筆者が今回使ったのは真人。主人公である虎杖悠仁の怨敵とも言える存在で屈指の悪役ですが、実に彼らしい良い表情をしていますね! ちなみに虎杖は今回のボードゲームに登場しません。もちろん原作を知っていればより深く楽しめますが、全く知識がなくても非対称のボードゲームとしてシンプルに楽しめるのでご安心を。
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ラウンドが始まる前にまずは「このラウンドでこのカードを使う」と全員が場にカードを伏せておきます。カード開示および実行は呪霊プレイヤーから行われ、ついで五条悟に移ります。
まず1ラウンド目で「真人(筆者)」は「かいだん」を使い地上へ。「漏瑚」「花御」は移動で別方向に移動しました。1エリア分空いているので即祓われることはなさそうですが、全員が一般人を壁として残します。なぜって五条先生のアクションカードである虚式「茈」を使えばどんなに離れていても、人間がいないエリアの呪霊を祓えるのですから!
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まず、本作で真っ先に把握しないといけないのは五条悟のぶっ壊れた強さです。術式反転「赫」の効果は「エリア間の壁をぶち抜き、同じエリアにする(階段は不可)」というもの。たとえばこれによって無理やり「同じエリア」にされてしまったら、高確率で祓われてしまいます。花御の「木の根」で壁を戻すことなどもできますが、序盤で使われると徐々に逃げ道が少なくなるのもキツいところです。
術式順転「蒼」は、呪霊よりも先に行動してどこのエリアにでもテレポートできます。「距離が離れているから移動しないでアクションカードを使おう!」と油断してると、パパっと祓われてしまいます。
しかし術式順転「蒼」は後半で呪力カウンターをためた呪霊に使いたいはず。なので筆者は2ターン目、五条の隣であえての「とどまる」を選択し呪力を回復! 目論見は成功して術式反転「赫」が放たれ、無事に生き残ることができました。
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しかしここでルールをまだよく把握していなかったことがわかります。本作では前のラウンドに使ったカードが使えないため、五条プレイヤーは実質的に「かいだん」「赫」の2択だったわけです! なぜか漏瑚も効果「高速移動」で真人と同じエリアに来てしまったため、「かいだん」を使われていたら2ターン目でゲームオーバーになっていたのです。ギリギリの綱渡りすぎる……!
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真人は「人間落下」で人間をマップに配置、「無為転変」で祓われた呪霊を復活させることができます。いわばヒーラーなので狙われることも多いはず……。3ラウンド目で術式順転「蒼」を発動し同じエリアに来た五条を「領域展延」で防いだりもしましたが、さながら兎を追いかける狼の親のごとき五条先生にひたすら追いかけまわされる羽目になってしまいました。
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段々と追い詰められついに発動した虚式「茈」……。もちろん狙われたのは筆者が使う真人でした。これによってヒーラーたる存在が祓われてしまいましたが兎追いでなんとか時間を稼げたのか、漏瑚、花御の奮闘で7ラウンド目まで到達することができました!
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そしてなんとここで五条サイドに長考が入ります。やられる一方の呪霊ですが、多くのケースで対抗策が残されているため、着実に“逃げ”を重ねていくことで五条サイドも焦るわけです。ここが本作の特徴と言えるでしょう。最後の一手ともなれば、どちらも判断を誤るわけにはいきません。
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しかし今回は判断を誤りませんでした。最後の最後で花御がダウン……。
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3体中2体が祓われたことで「呪霊鏖殺」フィニッシュです! 夏油も「やぁ、悟……久しいね」と出てくるタイミングを逸してしまいます。悲しいかな「呪霊時代」が来ることはなく渋谷に平和が訪れてしまいました。
◆3人モードでは五条先生でプレイ!「メカ丸」と目指せ“無領空処”
3人プレイではルールが異なり、五条vs呪霊2体で戦いが行われます。呪霊サイドは1体祓われても、使わなかった呪霊キャラをフィールドに登場させて戦い続けることができます。しかし「真人」の「無為転変(呪霊の復活)」は使えず、五条サイドには心強い助っ人「メカ丸」が追加されます。
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メカ丸は3ターン目から登場し、サイコロを振ることによって指定されたエリアの一般人を助ける事ができます(呪霊がいない場合のみ)。つまり運が良ければガンガン一般人を助けてくれる存在なわけですね。筆者は今回五条先生としてでゲームをプレイするので、メカ丸で一般人を全員救出し、領域展開「無量空処」というロマンを狙います!
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しかしここで「追いかけることの難しさ」を実感! 先ほどまでは呪霊として「五条悟がどう動くか」を推測していました。これを間違えれば一発で死んでしまうわけですから、ひりついた緊張感があったわけです。しかし今度は2体の動きを推察しなければならない! 真人、漏瑚、花御にはそれぞれ厄介な能力があるため、横から邪魔される可能性が常にちらつきます。
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正直、筆者には「五条先生なら大丈夫っしょ」的な慢心がありました。ゆっくり移動してメカ丸の到着を待ちますが、徐々に強烈な焦燥感に苛まれます。「メカ丸と共に一般人を助ける」という方向性は、呪霊の行動をある程度見逃してしまうということの裏返しでもあります。7ターン目に獄門疆をもった夏油が待っているわけですから冷や汗だらだらです。
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メカ丸は不発率も高め。慌てて呪霊撃破に舵を切り、虚式「茈」を真人にぶっ放しますが、真人は死に際に一般人をマップに落下させていきました。
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そしてこれで7ラウンド目……完全に打つ手がありません! 術式順転「蒼」で移動しても一般人はひとり残り、呪霊を狙っても確実に「領域展延」で防がれてしまいます。思えば6ラウンド目、いやはじめから詰み始めていたのでしょう。ここまで先を読めない五条先生は「やぁ、悟……久しいね」と出てきた夏油に「生きてたのか!」とか応じそうなものです。少なくとも真人が人間を落とす前に対処するべきだった……!
かくして筆者の操る五条先生は獄門疆にイン。原作通りと言えば原作通りですが過程は違います。悟はもうちょっと頑張れるよ!
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筆者の油断はともかく、もしかしたら本当に難しいのは五条サイドかもしれません。非対称ゲームの常とはいえ大勢の考えを把握し、限られたターン数で処理していく必要があるのですから、難度も跳ね上がります。どちらとしてプレイするにしても「一撃死の恐怖」や「獄門疆が迫る焦燥感」を味わえる良いバランスを保っています。
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ちなみに今回プレイした中のひとりは「呪術廻戦」を読んでいない人間でしたが、とても楽しそうにプレイしていました。ボードゲームとしての完成度も高いので、知らない人間を誘っても面白いはず。ヘビーなファンはもちろん、「呪術廻戦」を最近知ったという方にもオススメの一作です。
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『呪術廻戦 呪霊逃走 ‐渋谷事変‐』は2024年5月23日発売予定。価格は4,950円(税込)です。