ファミコンゲームの場面を切り取り、お題のクリアを目指す『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』(以下、ファミコン世界大会)。ルールは分かりやすく操作もシンプルなので、誰でも遊べる間口の広さを持ちつつ、タイムアタックを突き詰める奥深さも併せ持つ作品です。
そんな本作のゲーム性も話題ですが、興味深いのがプロフィールにつけられるキャッチフレーズです。「ファミコンど真ん中世代」「親がファミコン世代」「ファミコン初体験」といった分かりやすい肩書きから、「親にACアダプターを隠された」「カセットに名前を書く派」など、若手ゲーマーから見るとピンと来ないものまで、豊富に取り揃っています。
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こうした謎めいたキャッチフレーズの多くは、ファミコン現役世代にとっての「あるある」。当時のファミコンキッズにとってはいずれも理解でき、中には実際に体験した人も少なくないでしょう。
『ファミコン世界大会』の登場で、懐かしい「あるある」に再び視線が集まりました。そんな、時代を超えて現れたキャッチフレーズがどんな意味なのか、いかなる背景があったのか、詳しく紹介します。
■「親にACアダプターを隠された」
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当時、ファミコンは非常に刺激的なゲーム機でした。家庭用ゲーム機自体は、ファミコンより先にいくつも登場しましたが、秀でるほど鮮やかなゲーム画面、当時のアーケードゲームが遊べる衝撃など、特筆すべき点は数多くあります。
そのため、家にファミコンがやってきた家庭では、子供たちが遊び過ぎてしまう事態が発生しました。いくら注意してもファミコンに熱中し続ける我が子に対し、親が選んだ強制措置のひとつが、この「親にACアダプターを隠された」だったのです。
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説明するまでもない話ですが、ファミコンは電化製品なので、ACアダプターを介してコンセントに接続しなければ遊べません。そのため、物理的にファミコンを禁止させる手段として、非常に効果的でした。
ファミコンを丸ごと隠す親もいましたが、本体はそれほど小さいわけではありません。しかも子供に見つからない場所となると、なかなか難しいところ。しかし、ACアダプターだけでも効果は同じですし、サイズはぐっと小さくなるので隠す場所にも困りません。
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宿題もやらずに遊び続けるファミコンキッズ。業を煮やした親の物理的制裁。そのふたつが相まって、「親にACアダプターを隠された」という悲しい事件が勃発したのです。
ちなみに、親に内緒で予備のACアダプターを購入しておき、家に誰もいないタイミングを見計らって、予備のACアダプターでファミコンを楽しんでいた──という猛者も、当時いた模様です。ファミコンを挟んだ親と子の戦いは、なかなかに侮れません。