※本記事は『ゼンレスゾーンゼロ』メインストーリーのネタバレを含みます。
世界を揺るがす災害「ホロウ」の被害に見舞われながらも、逞しく生きる人々を描く『ゼンレスゾーンゼロ』(以下、ゼンゼロ)。ユニークな世界観に小気味良いアクション性も相まって、すでに確固たる人気を獲得しています。
本作の特徴を語る上で外せないのが、魅力的なキャラクター陣です。主人公である兄妹のふたりは、「ホロウ」の案内や脱出を請け負う一流の「プロキシ」として、腕も口も達者に立ち回ります。また、彼らを取り巻く周囲の住人や、「ホロウ」に挑むエージェントたちも、それぞれの個性で異なる輝きを放っています。
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特にエージェントは、「ホロウ」に巣食う強敵「エーテリアス」と戦う際、プレイヤーが直接操作を行うキャラになるため、自然と思い入れが高まりやすい存在です。いち早く、お気に入りを見つけたプレイヤーも多いことでしょう。
どんな理由で誰に惹かれたのか。その答えはプレイヤーの数だけあり、いずれも等しく尊いもの。そこで今回は、『ゼンゼロ』のいちプレイヤーとして、個人的な推しエージェント「猫宮又奈」(以下、猫又)が持つ魅力と、どんな一面に惹かれたのか、実体験を通してお届けします。
まだ猫又の魅力に触れていない『ゼンゼロ』プレイヤーはもちろんのこと、未経験のユーザーもぜひ彼女の魅力を垣間見てください。なお、ストーリー序盤のネタバレも含むため、閲覧の際はご注意ください。
■「猫又」は、ガチャ運に見放されたプレイヤーを救った天使
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猫又は、メインストーリー第1章における中心的な人物です。……が、正式サービス版で筆者が最初に出会ったのは、第1章を始める少し前。本格的にストーリーを始めるより先に、手持ちの戦力を整えたいと考え、まずはガチャに挑みました。
プレイ開始直後から、主人公たちと協力関係にある「邪兎屋」のニコ、アンビー、ビリーの3人を編成できますが、レア度はいずれもA。ひとりでもいいからSRが欲しい、という想いからガチャに挑んだものの、その短絡さを見抜かれたのかさっぱりSRに恵まれません。
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どれだけ運がなかったかといえば、当時のリソースを全て費やしても、ピックアップガチャはSRなし、常設ガチャも50連目(初回のみの特別措置)までSRが出ず、という体たらく。その末に、ようやく来てくれたのが猫又でした。
ほかのあらゆるSRからそっぽを向かれていたので、現れてくれた彼女の優しさが身に沁みます。尽きたリソースからは目を背けつつ、猫又と共に歩む『ゼンゼロ』生活が始まりました。
■猫に過去あり、胸に尊厳あり
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名は体を表すという言葉がありますが、猫又はまさにその通り。人間以外の生物の特徴も備える「シリオン」のひとりで、彼女の場合は敏感な猫耳や、ふたつに分かれた尻尾など、猫科の性質を受け継いでいます。
いわゆる「猫耳」や「猫の獣人」キャラは、ゲームに限らずアニメや漫画、小説などでもよく見かけます。それっぽい耳から、人と猫の骨格を組み合わせたような亜人まで、そのバリエーションも千差万別。猫又の場合は、顔の形状も含めて人間の体躯が基本となっており、本格的な獣人系と比べると猫度はやや控えめかもしれません。
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しかし猫又の「猫らしさ」は、見た目だけに留まらず、むしろ性質や在り方にこそ備わっています。猫らしさと一口に言っても、「気まぐれな甘えんぼ系」や「ツンなクール系」など方向性は様々ですが、猫又の場合は「ストリート気質野良猫系」といったところでしょうか。
この「野良猫」という言い回しは、抽象的な意味だけではありません。猫又は元々、身寄りのない孤児でした。今の彼女は、愛らしい見た目とは裏腹な実際家ですが、その生い立ちが多分に影響しているのでしょう。
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ですが、今日まで孤独だったわけでもありません。「シルバーヘッド」と呼ばれる人物に引き取られて、彼女の孤児生活は終わりを告げ、「家」とも言うべき場所を手に入れました。それまで拠り所のなかった彼女からすれば、この居場所は喉から手が出るほど欲しかったものでしょう。
ただし、その幸せも長くは続きません。シルバーヘッドやその周りにいる人々は、次第に理想を捨て、誇りを失い、落ちぶれていきます。
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シルバーヘッドには恩もありますし、逆らえば居場所を失うのは自明の理。ひとりぼっちで生きていく辛さは、その身に染みているはず。しかし猫又は、居場所のためにシルバーヘッドの奴隷となる生き方は選ばず、誇り高い決別と孤独を選びました。
自分だけが愛されればいいと甘えるのではなく。生きていくには綺麗ごとだけじゃ済まないとクールに気取るのでもなく。考え方は実際家でありながら、尊厳を失わずに凛と立つ。そうした野良猫の矜持とも言える生き様に、惹かれないわけがありません。
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……ちなみに、誰かを欺くために必要とあれば、「語尾に“にゃー”をつけて猫を被る」といった振る舞いも辞さない猫又。相手を油断させるために手段を選ばぬその姿も、立派な矜持と言えるでしょう。