■第1.5部やインタールードで世界を広げつつ、圧倒的なボリュームで第2部を描く
2017年に入るとメインストーリーの動きは一度落ち着き、舞台は「悪性隔絶魔境 新宿 新宿幻霊事件」から始まる第1.5部に移ります。といっても、物語の密度に変わりはなく、いずれも見ごたえ十分です。
「新宿幻霊事件」では、「アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕」や「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」といったサーヴァントたちとの接点も話題になりましたし、「屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負」も大いに盛り上がりました。
ほぼ1年をかけて4つの亜種特異点を踏破した後は、第2部のプロローグを2017年末に幕明け。異聞帯と呼ばれる“切り捨てられた人類史”を相手に、生き残りを賭けた過酷な戦いが始まりました。
2018年4月には第2部 第1章が訪れ、7月には第2章、11月には第3章が開幕と、1年で3つのメインストーリーを展開します。2019年に入ると、6月に第4章、2部構成となった第5章の前半「神代巨神海洋 アトランティス」を12月に実装。前述した通り、メインストーリーの規模は年々拡大し、第2部 第5章で初の2部構成となりました。
シナリオの増大傾向は2020年に入っても変わらず、まずは第2部 第5章後半を4月に実施。また、メインストーリーと直接関係するイベント(後に「メイン・インタールード」と命名)が定期的に行われており、この2020年にも「虚数大海戦 イマジナリ・スクランブル」を開催。このイベントのシナリオを、『レイジングループ』などで知られるamphibian氏が担当したことも話題になりました。
このほかにも、章の間を彩る第2部 第5.5章「地獄界曼荼羅 平安京」を12月に実施。この年も熱い年末をプレイヤーに提供し、2020年の締めくくりを鮮やかに飾ります。
そして2021年には、先ほど「文庫本換算で4冊程度」と触れた長大ボリュームで綴った「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」が、満を持して登場しました。まずはその前編を6月に、そして後編を7月に実施し、濃密な物語を徐々に紐解いていきます。
しかも「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」は前後編では終わらず、麗しくも悲しき戴冠式から始まり、過酷な結末までを描ききる「崩壊編」が、同年8月に幕を開けました。3部構成で描かれた物語は、群像劇として様々な人物の内面や行動、そして散り際を鮮明に刻みます。当時から数えて今年で3年が過ぎましたが、今も鮮明に覚えている人が多いことでしょう。
また2021年は、「メイン・インタールード」のひとつ「非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ」も12月に開催され、第2部全般にわたって関わり続けた人物との決着を迎える年末になりました。
2022年は第2部の6.5章と第7章の前編、2023年1月にその後編が綴られたほか、2023年6月には今現在も続く「オーディール・コール」が始まり、まずは「奏章I 虚数羅針内界 ペーパームーン」がスタート。続いて、翌2024年に「奏章II 不可逆廃棄孔 イド」が実施され、カルデアが果たすべき清算とひとつずつ向き合っていきます。
「オーディール・コール」の展開はまだ残されていますが、第2部 終章の開幕は2025年に行うといち早く発表されています。10年目を迎えた『FGO』は、まず「奏章II」を経て、そして第2部 終章に向かう形となりそうです。
第1部は疾走感を保ったまま終章まで駆け抜け、『FGO』人気の基盤を作る役目を大いに果たしました。2017年以降は、第1.5部に始まり、インタールードやメイン章の分割など、より広く深く掘り下げるスタイルへ移行。物語と世界観の裾野が広がり、『Fate』シリーズを別側面から語るような役割も担う作品となりました。
メインストーリー関連を紐解くだけでも、これだけの展開が訪れた『FGO』の9年間。これからどんな物語が訪れるのか、未来の歩みに期待が膨らむばかりです。
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改善・改修とメインストーリーの歩みを振り返るだけでも、これだけの厚みを持つ作品となった『FGO』は、まだまだ幕を閉じる気配を見せません。
10周年に向けたこれからの1年間、『FGO』に何が起きるのか、実に楽しみです。まずは、今年の夏イベントを思う存分満喫しましょう!
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