基本無料型のアクションRPG『ゼンレスゾーンゼロ』(以下、ゼンゼロ)の正式サービスが始まり、早くも1ヶ月半が経過しました。PS5/iOS/Android/PCとアクセス可能な環境も手広く、多くの人が爽快感溢れるバトルを楽しんでいます。
もちろん『ゼンゼロ』の魅力は、アクションだけに限りません。バトル中に操作できるエージェントたちはいずれも個性的で、バトルから日常まで様々な形でその内面を垣間見せてくれます。
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また、主人公の兄妹をはじめ、戦闘に直接参加しないキャラクター陣も、物語を支える重要な役目を担っており、会話から窺える多彩な人間性も見どころのひとつと言えるでしょう。
ですが、『ゼンゼロ』の世界を支えるのは、名前を持つ「ネームドキャラクター」だけではありません。名も知らぬ通行人、街中で会話のみ聞こえてくる者たち……いわゆる「モブ」と呼ばれる人々の存在感も、本作の世界観を語る重要な役目を担っています。
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『ゼンゼロ』に限った話ではなく、またリアル世界にも通じますが、数多くの人間が暮らしていても、直接知り合えるのはほんの一握り。大半の人は、名前や性格を知る機会すらなく、ただ通り過ぎていきます。また相手から見れば、こちらも「通りがかりのひとり」に過ぎないのでしょう。
しかし『ゼンゼロ』のモブたちは、そこにいるだけでも目を引き、性格や背景を勝手に想像したくなるほどの存在感があります。そこで本記事では、知り合う機会のないモブに注目し、限られた情報からアレコレと勝手に想像する人間観察に励んでみました。
接点がないからこそ、想像の羽が広がることもある。そんな楽しみ方も一興と言えるでしょう。
■カフェ前にいる男女の関係性は?
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街のあちこちにいるモブと主人公はほとんど接点がないものの、しかしまったく情報がないとは言い切れません。例えば、六分街にあるカフェの前に佇む男女がいます。ですが、ただ立ち尽くしているのではなく、ふたりとも熱心にメニューを見ています。
カフェの前でメニューを眺める男女とくれば「恋人同士かな」と決めつけがちですが、肩を並べると表現するには若干距離が開いています。また、女性の方は腕組みをしており、デートにしては真剣みが溢れすぎな気も。
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しかし、単なる仕事仲間にしては、女性の表情が柔らかめです。同僚だとしても、ある程度気心が知れた相手なのかもしれません。ですが、個人的には「久しぶりに会った兄と妹」説を推したいと思います。気取った空気はなく、かといって冷めてるわけでもなさそうなので、家族ならではの距離感なのだと(勝手に)直感しました。
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……もちろんこれは、全て想像に過ぎません。真相を訊ねれば、まったく違う答えが出てくる可能性の方が高いでしょう。しかし、正解を求める必要はありません。自分だけの想像を楽しみ、それを押し付けないことが、「通り過ぎる者」に許された自由と節度に他なりません。
■学生同士の初々しい距離感に滾る!
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そんな心境で街を歩くと、想像力を刺激するモブをいくらでも見かけます。プレイヤーが調律で世話になるCDショップの前には、制服姿の男女が並んでいます。放課後の寄り道といった風情です。
しかも、このふたりの会話も聞こえてきます。男子生徒は、店先に張られたポスターらしきものを見つめつつ、「ああ、彼の新しいギターアルバムは俺の脳を震わせ、魂のビブラートをかき鳴らしてくれる……!」と陶酔の声を漏らします。
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そんな彼に対し、女子生徒は「…頭に音叉でも入ってんの?」と一蹴。なかなか容赦のない切り返しですが、だからこそ慣れ親しんでいる関係性も感じられます。また、男子が音楽好きなのは一目瞭然ですが、女子もツッコミに「音叉」というワードを選ぶあたり、彼女も音楽に造詣が深いのかもしれません。
趣味が近い、もしくは同じ部活(例えば軽音部)の友達同士で、関係性は恋人未満くらい……と、こちらも身勝手な妄想がすこぶる捗るふたりです。
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