ドイツで行われる大型ゲームイベント「gamescom」、今年も多くのゲーマーが待ち焦がれる季節がやってまいりました。今年は8月21~24日にかけて開催される本イベント、ありがたいことに筆者は参加する機会を頂いたので、現地の様子を含めて多くの情報をお届けできたら幸いです。
そんな中で今回は、カプコンブースにて期待のシリーズ新作『モンスターハンターワイルズ』について、開発の辻本良三氏、藤岡要氏、徳田優也氏の御三方に合同インタビューという形でお話を伺ってきました。
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――今回、集中モード以外には各武器に新技が用意されていますが、ボタン配置はどのように操作系に落とし込んでいったのでしょうか?
徳田氏ボタン配置についてはシリーズ毎回、苦労しつつ試行錯誤している部分です(汗)。技の派生やコンボの繋がり方といった「遊び心地」に影響を与える部分でもあるので、そこを念頭に置いて、とにかく「わかりにくさ」を排除するよう、ひとつひとつ吟味しています。
――新技は、全14種の武器それぞれで作り込まれていると思いますが、その中でも是非注目してほしい!という武器はありますか?
徳田氏公開された武器動画はいくつもありますが、特に太刀の兜割りからの派生である新技は、見栄えもダメージ量も申し分ないのではないでしょうか。
―― アクションや見た目の派手さ、または操作のしやすさなど、前作『モンスターハンター:ワールド』と比較して強化された要素はいくつもあると思いますが、今作で特に意識したものは何でしょうか?
藤岡氏そうですね、『モンハン』シリーズは「モンスターの動きや状態に対して、最適なアクションを選択していく」というものをコンセプトにしています。どの作品も、そこに基づいて各要素を組んでいますが、本作では特に「選択肢がとれない瞬間」を極力減らすことを意識しています。「次の選択肢により繋がりやすくする」というような調整を心がけていますね。
――モンスターの部位に攻撃を加えていくと、「傷口」が生じますよね。見間違いでなければ、傷口として光ってハイライトされるまでに、モンスターの体表が傷ついて徐々に広がり傷口へと至るようなグラフィック変化が見えたと思うのですが、これも意識して作り込まれた部分なのでしょうか?
藤岡氏傷口が広がる、という形でのグラフィック変化は無いのですが、外見が3段階で変化する形での用意はしています。例えば、モンスターはハンターから攻撃を受けることで、体表の一部位に何かしらの変化が起きます(肌が傷ついて色が薄くなるなど)。そこへさらに攻撃が重なることで傷口へと変化し、その傷口が破壊されると傷跡として残ります。傷跡を攻撃しても新しく傷口にはならないので、プレイヤーは他の部位を狙うようになる……というように、ここでも先程も触れたコンセプトに基づいたデザインがなされています。
また傷口システムは、初心者にとってややとっつきにくい「肉質によって変化するダメージ量」といったシステムをフォローするような役割も担っており、どこを優先的に攻撃すれば良いか、という誘導になっています。その一方で経験者にとっては、例えば傷口が複数発生しつつある時、同時または時間差で破壊するのかどうか、といった戦術の判断になってくるのです。カジュアルな遊びやすさを提供しつつ、同時に上級者も満足させられる、そんなシステムを目指しました。
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――話は操作系に戻るのですが……デモ板をプレイ時、割とお手軽に派手で強い攻撃を放つことができた印象です。操作入力の難易については、どういう部分に注目してバランス調整を行われたのでしょうか?
藤岡氏そういったアクションについては、入り組んだ操作入力の果てにある奥まった場所に置いてしまうことがないよう気をつけていました。鍔迫り合いやカウンターといった、戦闘中に見栄えのする瞬間についても、狙わないと発生しない……というよりは、普通に遊んでも割と発生する、というバランスで調整しまいた。一回の狩猟の中で色々なことが起こる、という体験を演出できたら良いなと思っています。
――戦闘中に救難信号を上げたらNPC「サポートハンター」達が駆けつけてくれました。実際に遊ばせてもらったデモはソロプレイでしたが、「あれ、マルチやってるんだっけ?」と感じるくらい問題なく遊ぶことができました。今回は他にも、ソロプレイを快適にするような要素はあるのでしょうか?
徳田氏今回、オトモアイルーのサポート力をかなり強化しており、彼らはプレイヤーとモンスターの状態をしっかり判定してアクションを起こしていきます。例えば、プレイヤーがあまり攻撃できていない時、オトモが挑発などでヘイトを稼いでモンスターの注意を引き付けたりしますね。そのおかげで、ハンターは回復薬だったり砥石だったりを使用できる時間を稼げます。もちろんオトモが回復してくれることもあります。またハンターの武器種によって位置取りも細かく判断するようになっており、総じて、非常に強力な助っ人と言えましょう。
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――サポートハンターの強さはどの程度のものなのでしょうか?強すぎたらみんなマルチをやらずにソロプレイに集中してしまうでしょうし、かといって弱すぎたら助けを呼ぶ意味が無くなってしまう……バランス調整が難しものと感じます。
徳田氏そうですね、シリーズ経験者のプレイヤーハンターが4人集まって狩猟する場合と比較すると、クエストクリアまで「ある程度の時間がかかる」ようなバランスで調整をしています。とはいえサポートハンターは、先程も少し触れた「気の利いた行動」というのを多く実行してくれるので、プレイヤーも心地よく遊べるんじゃないかなと思います。ちなみにサポートハンターはオプションから「傷口を作る、作らない」といった行動指針、ある程度の傾向を指定できるようにもなっています。
――武器のアクションについて、デモ版を片手剣で遊んだどころ、モンスターに取り付いて何度も刃を突き立てるといったものがありました。これは固有アクションだと理解しています。そこからものすごく個人的な興味で伺ってしまうのですが、ハンマーには斜面滑走からの空中回転は……ありますか……?
徳田氏大丈夫です、ちゃんとありますよ。今回デモ版のマップではちょっと遠い場所にいかないと十分な傾斜が得られないため難しかったかもしれませんが、ちゃんと空中回転攻撃ができます。
辻本氏僕も空中回転大好きです(笑)
――良かった……!あの、さらにズレたこと聞いてしまうのですが、『MHR』だとガンランスの砲撃で空を飛べたりしましたが本作では……?
藤岡氏流石に飛べないです(汗)。『MHR』とはシステムが異なるのでそこは別に考えてもらえたら……!
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――ところでアイテムについて質問があります。シリーズでおなじみの「こんがり肉」ですが、今回食べたらスタミナだけでなく最大体力も回復して、まるで「秘薬」的な効果が発生しました。この変更はどういう理由で行われたのでしょうか?
徳田氏今回、クエストが終了しても食事の効果を継続させたいというものがありました。そして「どこでも食事が食べられる」という利便性の高い設計も行いました。そういった中で、こんがり肉の価値をスタミナ回復だけに留めておくと、費用対効果が釣り合わないものになってしまう。こんがり肉はシリーズを象徴するアイテムなので、何か活かしどころを作りたいと考えていたところ、「そうだ秘薬と同じ効果にしよう」となりました。もちろんそっくりそのまま同じではなく、食べるモーションがしっかり挟まるため、秘薬に比べてアイテム使用から効果発動までの時間が長いという特徴付けがなされています。ちなみに秘薬は秘薬で今回もちゃんと登場し、こんがり肉とはまた違った使いどころがありますね。
――今回、料理の描写がかなり作り込まれていると思いますが、料理のバリエーションは多いのでしょうか?
藤岡氏メインとなる食材があって、それに何を合わせるかというフレーバーとなる食材の組み合わせから料理ができあがります。食材は様々な入手経路があり、プレイヤーはどういった効果が欲しいかによって、その組み合わせを考えていくことになります。全部のグラフィックを作って、「うまそう!」と思えるようなものを目指しました。こういう食事や料理というところでも、プレイヤーにちょっとしたイベント性を楽しんでもらえたら幸いです。また、皆さんに美味しさが伝わると良いな……という思いと、徳田が野菜を好きになってくれたらな……という願いを込めて作っています(一同笑い)
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徳田氏肉です。肉しか食っていかないぞ、と(笑)
――話は変わりまして、本作は音の作りがとても細かいと感じました。音の方向というか響き方ひとつとっても、場面によって聞こえ方が違うような。こういった部分も何かこだわりをもって開発されたのでしょうか?
藤岡氏そうですね、サウンドチームの熱意でもあるのですが、本作のグラフィックが出来始めた頃「グラフィックがこれだけ作り込まれているのなら、自分たちも音にこだわりたい」となりまして。響き方など一から全てシミュレーションを行い、プレイヤーが空間を感じられるような演出も取り入れつつ、音を作っていきましたね。
――最後に本作の発売を楽しみにしているプレイヤーの皆様に向けてコメントを頂けないでしょうか?
辻本氏今回の「gamescom」では、世界初のプレイアブルという出展になりました。日本でもTGS(東京ゲームショウ)にてプレイアブル出展を予定していますので、是非遊びに来てもらえたら幸いです。また現在公開されている『モンスターハンターワイルズ』の情報はまだまだごく一部……今後も様々な情報をお届けしていく予定なのでので、どうぞお楽しみに!
今年も賑わいを見せる「gamescom 2024」、Game*Sparkでは引き続きインタビューやハンズオンプレイレポなど様々な記事を掲載です。
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