※今回から前置きは省略することにしました。
※本稿では、システム上の関係で簡体字/繁体字で表記すべき部分も異体字に置換している場合があります。
◆『雪松』
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9月3日にbilibili、TapTapで事前登録が始まった『雪松』。本作は異星の美少女キャラクターたちが戦地に赴く、ミリタリー志向なリアルタイムストラテジー作品となっています。
最大の特徴といえば“全編ロシア語音声”を採用しているという点。人気の高い日本人声優による日本語音声でもなければ中国語音声でもありません。公開中のティザー映像も、ソビエト連邦発のバンド「Kino(キノー)」の名曲「Blood Type」を起用して作中の世界観と雰囲気を強く訴求しています。
ちなみに楽曲の利用にあたっては、Kinoのボーカルを務めたヴィクトル・ツォイ氏の実の息子であるアレクサンダー・ツォイ氏に許可をいただき使わせて貰っていることが明かされていました。
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ゲームシステムの詳細についてはまだ明かされていませんが、公開されているキービジュアルや部分的に見れるゲーム画面などから、作品の雰囲気はどことなく伝わってきます。本国ユーザーたちから期待の声も多く寄せられており、今後の続報が楽しみなタイトルです。
◆『歸龍潮』
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9月13日に中華サイバーパンクの世界を描いた『歸龍潮』がサービス開始となりました。本作はbilibili、TapTap、weiboなど、中国本土で展開されているアプリ配信プラットフォームや、SNSを含めた累計事前登録者数が1,000万人を超えている今年の筆頭注目株。
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前日9月12日には、ファンタジー小説「龍族」を題材としたRPG『龍族:卡塞爾之門』が配信されていました。こちらも中国国内で一定の人気を誇るIPの新作ゲームタイトルなのですが、同日に事前ダウンロードが始まった『歸龍潮』の勢いには流石に押されている状況です。
既存の人気IPと言えども、完全新作として兼ねてから多くのユーザーに期待されてきた『歸龍潮』の注目度はやはり高く、事前ダウンロードの段階からApp Store「無料ゲーム」のカテゴリで2位、bilibili「新作ゲームランキング」は1位、TapTapの「ランキング」も1位と、正式サービスが開始した『龍族:卡塞爾之門』の存在を食ってしまっています。
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『歸龍潮』は、中国の伝統と現代のカルチャーを融合させた、近未来SFの街「九龍街区」を舞台にした横スクロールのアクションRPG。個性強めなキャラクターたちと共に、九龍街区の各エリアに秘められた謎を解き明かしていく物語となっています。
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開発元の龍潮閣工作室が掲げるテーマ「現代国風」には、中国伝統文化が持つ魅力を広めるという思想が込められています。舞台設定は架空の中国をベースにしつつ、ネオン煌く九龍城砦。ポップでモダンな解釈を取り入れたキャラクターの衣装デザインも、どこか中国の民族衣装を面影に感じます。
こうした自国の伝統をリスペクトした世界観とゲームらしい独自性などが、本国ユーザーたちに注目されているのでしょう。実際、そういったアート面に対する期待のコメントがbliibili、TapTapでは多く寄せられていました。ただ、過去に実施されたベータテストから、ゲームの最適化不足を懸念をしているユーザーも少なくはなく、ここが評価に大きく影響するかもしれません。
◆『無罪之庭』
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『無罪之庭』は、中国の『逆転裁判』ファンコミュニティで始まった、法廷ロールプレイングゲームから生まれた『逆転裁判』のオマージュ作品。元々はコミュニティの参加者が掲示板で法廷のシーンを演じて、独自にストーリーを展開していく遊びから発展したものでした。
そのコミュニティの中で黒猫氏が発表した自作ゲームが、高く評価されたことを機に、2014年には資金提供を受けて本格的なゲーム制作がスタート。そうして制作されたのが『龍神篇模擬法庭』という作品でしたが、当初はさまざまな問題を抱えていたとされています。
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そんな中、10年越しにリメイク版の資金調達を成功させて、プロジェクトを進めていた黒猫氏が、2024年7月23日に亡くなってしまったこと、闘病中に開発協力していたスタッフたちへ「加油(頑張れ)」と遺言を残していたことなどが大きな原動力となり、開発チームとしてプロジェクトをそのまま進めたことが明かされています。
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もともと『逆転裁判』のファンコミュニティがきっかけで生まれた作品とあって、ビジュアルや雰囲気はそっくりです。もちろんその類似性を指摘する声も挙がっていましたが、制作チームはこうしたユーザーの疑問に対して、weiboなどの公式アカウント上で真摯に回答していました。現在、bilibiliでは事前登録が開始され、グローバル向けにSteam版と日本語字幕の対応が決定しています。