■『テイルズ オブ ファンタジア』
『テイルズ オブ』シリーズを語る上で欠かせない作品はいくつもありますが、原点となった1作目『テイルズ オブ ファンタジア』も避けて通るわけにはいきません。ターン制が主流だったRPG黄金期に、アクション性のあるバトルで一味違う冒険を提供した本作は、新規IPながらたちまち話題となりました。
また、当時は勧善懲悪なゲーム作品が多かった中、定番の流れを覆した意外性をRPGで描いた点も高評価の一因です。敵である「ダオス」の行動はただの私利私欲ではなかったため、複雑な背景や彼なりの葛藤に想いを馳せた人も多いことでしょう。
こうしたゲーム自体の完成度もさることながら、スーパーファミコンの性能を存分に活かした精緻なグラフィックや、当時のROMカートリッジに歌声つきの主題歌やボイス演出を盛り込むなど、目や耳にも強く訴えかける作品でした。店舗で流れているゲーム画面を見て、即購入を決意した人もいたほどです。
シリーズの原点かつ人気の高い作品だったため、移植やリメイクで再誕する機会は多かったものの、ゲーム専用機に向けた展開は2010年で止まっています。もし本作がリマスター化されれば、近年のシリーズ作でファンになった人が原点に触れる機会が改めて訪れるので、ユーザー層を拡大する意味でも実現して欲しいものです。
■『テイルズ オブ デスティニー/2』
『テイルズ オブ』作品もそれぞれ単体で完結していますが、同じ世界観や登場人物を引き継ぎ、新たな物語を紡ぐ連作も少なくありません。例えば、『テイルズ オブ シンフォニア』と『テイルズ オブ シンフォニア -ラタトスクの騎士-』がその代表的な例と言えます。
そして、この『テイルズ オブ シンフォニア』と『ラタトスクの騎士-』は、後にPS3ソフト『テイルズ オブ シンフォニア ユニゾナントパック』として、2作品のセットで再登場しました(冒頭で触れた『テイルズ オブ シンフォニア リマスター』とは異なります)。
2作品のセットという形で蘇ることもあるならば、『テイルズ オブ デスティニー』と続編の『テイルズ オブ デスティニー2』をセットにしたリマスター版も、ぜひとも実現して欲しいところです。
初代PlayStationにシリーズ初上陸を果たした『テイルズ オブ デスティニー』は、意思を持つ剣「ソーディアン」を携えた「スタン」が世界を駆け巡り、様々な出会いや戦いを通じて成長していく物語を紡ぎます。始めはただの青年に過ぎなかったスタンの目線は、プレイヤーの感情移入を自然に促し、彼の冒険は我がことのように感じられました。
また、本作で登場した「リオン」は、シリーズ全般の人気投票ランキングでも最上位に位置しており、頭一つ抜けた支持を集めています。そうした人気に結びついたのは、本作がリオンという人物を魅力的に描いた証左とも言えます。
こうして好評を博した『テイルズ オブ デスティニー』の18年後を舞台とし、スタンの息子である「カイル」が主人公を引き継いだのが、『テイルズ オブ デスティニー2』です。偉業を成し遂げ英雄と呼ばれる父に憧れ、自身も英雄を目指すカイルの熱意は、旅を通じて現実を知り、英雄が担う責任の意味を学んでいきます。
また、より遊び応えが増したバトルやワールドマップを含めたビジュアルの強化、フェイスチャットを進化させた「スクリーンチャット」、短いロード時間など、ゲームとしての面白さや快適性を整えた点も見逃せません。
このような改善を遂げた理由のひとつは、『テイルズ オブ デスティニー2』がシリーズ初のPlayStation 2ソフトとして登場したためです。PS2の性能を活かして『テイルズ オブ』作品の可能性を広げたのも、『テイルズ オブ デスティニー2』の功績と言えます。
『テイルズ オブ』シリーズで次にリマスター化される作品は、蓋を開けてみるまで分かりません。今回挙げたタイトルに多くの要望が集まっているのは事実ですが、このほかにも『テイルズ オブ レジェンディア』や『テイルズ オブ エクシリア』シリーズなど、有力な候補は数えきれないほどです。
リマスター展開そのものについては、シリーズのIP総合プロデューサー・富澤祐介氏が「過去作をリマスター化し、世界中のお客さまに現行のゲーム機で遊んでいただける機会を30周年でも改めて推進していきます」とコメントしており、実現の可能性はかなり高いと見ていいでしょう。
果たして次は、どの作品がリマスターされるのか。期待を抱きつつ、続報をお待ちください。