■「リーク」がもたらす機会損失が、ユーザーの不利益に直結
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合っている情報のリークは「答え合わせ」にしかならず、驚きや興奮を奪います。間違った情報のリークは「期待が高まり、そして落ちる」という落差を作り、購買意欲の減退や興味の喪失に繋がります。つまり、どちらに転んでもリークは悪影響を及ぼすのです。
情報のリークが商品──今回の場合、スイッチ2──の売り上げに寄与することはなく、逆に購買意欲を落とさせ、足を引っ張る可能性があります。そして、この流れから生まれる機会損失が、さらなる悪影響を招くのです。
購買意欲の減退からスイッチ2を購入するユーザー数が伸び悩むと、まずは任天堂が被害を被ります。ゲームソフトが売れるかどうかは、ゲーム自体の面白さが最も重要ですが、プラットフォームの人口にも大きく左右されます。
100万人が持っているゲーム機と、1億人が持っているゲーム機で、それぞれ10%のユーザーが同じゲームを購入したと仮定します。その場合、前者は10万本、後者は1,000万本の売れ行きとなり、文字通り桁違いの結果です。
また、ユーザー数100万人のゲーム機では、どれだけ大人気なゲームが出ても、100万本を超える売り上げは達成できないでしょう。一方、1億人もユーザーがいれば、100万本どころか数千万本もの販売本数も夢ではありません。実際にニンテンドースイッチでは、数千万本レベルのタイトルが複数存在しています。
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こうした事情もあり、ユーザーの獲得は任天堂にとって死活問題にほかなりません。また、販売台数の少ないゲーム機への参入はソフトメーカーとしても痛手なので、サードパーティに加わらないゲーム会社が増えていくのは必然です。
スイッチ2に参入する会社が減れば、リリースされるゲームの数も当然少なくなります。遊びたいゲームの選択肢が狭まるのは、ユーザーにとって最悪の影響でしょう。リークの影響は回りまわってユーザーにまで届き、不利益を招く行為と化すのです。
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見る、見ないも含め、リークされた情報自体をどのように扱うかは、受け手側の自由です。しかし、一個人からゲーム業界全体まで、リークが及ぼす悪影響の大きさは計り知れません。
任天堂は、発信する情報を正しく伝えるために「Nintendo Direct」を始めました。今では多くのゲームファンが、一次情報を直接受け取る恩恵に預かっています。
リーク情報は、任天堂の考えや姿勢に大きく反しており、真逆と言ってもいいほどです。最終的には受け手に委ねられるものの、正しく驚き、正しく批判するためには、正当な情報を元にすることが肝要です。