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2022年に正式サービスが始まった『勝利の女神:NIKKE』は、地上の奪還を目指す指揮官(プレイヤー)が率いるニケと、敵性存在であるラプチャーとの戦いを描くガンガールRPGです。
プレイヤー自身のエイム(オートもあり)や編成の組み合わせによる戦略性、過酷な環境下に置かれた人類の暗部に迫る物語など、本作の魅力は多方面にわたっており、それぞれの要素が融合することで忘れがたいゲーム体験が生み出されます。
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その要素のひとつとなる音楽も、多くの指揮官から支持されており、本作を語る上で欠かすことはできません。そんな本作の楽曲をオーケストラアレンジで奏でるコンサート「MELODIES OF VICTORY」が、パシフィコ横浜にて行われました。
■公開映像でセットリストを再現! オケコンの追体験をご提供
当日は多くの来場者が訪れ、物販では品切れが相次ぎ、会場も埋め尽くすほどの賑わいでした。しかし、興味はあっても当日足を運べなかった指揮官も多いはず。
『勝利の女神:NIKKE』公式Xにて当日の模様を収めた映像が公開されていますが、その時間は1分程度と限られており、「コンサートの雰囲気をもっと味わいたい!」という気持ちはかえって膨れ上がるばかりでしょう。
そんな方々に向けて、『勝利の女神:NIKKE』公式YouTubeやサウンドディレクターのチュ・ジョンヒョン氏が「Cosmograph」名義のチャンネルで公開している楽曲映像を元に、当日のセットリストを記事上で再現し、コンサートの疑似体験をインターネット越しにお届けします。
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同じ楽曲でも当日のオーケストラ演奏とは異なるため、体験の再現とまではいきませんが、楽曲の構成や流れを通して、コンサートの一部要素だけでも追体験していただければ幸いです。
なお、作中のシーンと照らし合わせて紹介しているため、一部ネタバレがあります。最新のストーリーや過去のイベントを未見の人は、あらかじめご注意ください。
■告知PVにタイトル曲、アニメOPでお馴染みの楽曲で幕開け
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13時の開演を迎えると奏者たちがステージに登壇し、掲げられた巨大なスクリーンに「MELODIES OF VICTORY」のPV映像が流れました。この映像は本コンサートの告知にも使用されたもので、幕開けを飾るのにこれ以上相応しい映像はないでしょう。
そして、セットリストの一番手「The Godness Fall」が名乗りを上げます。ゲームのタイトル画面に使われているので、『勝利の女神:NIKKE』をプレイするたび耳にする楽曲です。
この曲を聴いているだけで、エレベーターの動きに合わせて通り過ぎる照明と、浮かび上がるラピの顔が脳裏を過ぎります。
続いて飛び出した「WE RISE」は、オープニングのアニメPVで使われており、その映像が公式チャンネルに登場したのは2022年11月5日。当時アニメPVを見ながら、『勝利の女神:NIKKE』で待ち受ける物語や展開を想像した人も多いことでしょう。
アニメPVを今改めて見ると、答え合わせのように納得できるカットがいくつもあります。宇宙に浮かんでいる施設は、2周年のイベントでシンデレラが向かった軌道エレベーターの先にあったものかもしれません。病衣らしき服を着ている女の子は、生前のラピでしょうか。
■楽曲「Marian」に揺さぶられる来場者たち
「WE RISE」の演奏が終わると、ここで特別映像による幕間に入ります。コンサートのメインビジュアルにも登場しているアリアと、MCとして各所で引っ張りだこのアニスが、来場者への挨拶や音楽への想いを語ります。
オーケストラコンサートという場に緊張しているのか、一連の挨拶を済ませた後、噛まずに言えたことを安堵するアニス。対するアリアは、音楽と思い出は密接に繋がっていると語り、これから奏でられる楽曲の楽しみ方を彼女なりに教えてくれました。
アニスと共にちょっとした緊張感から解き放たれたり、アリアの助言で没入感を高める手がかりを得た来場者たちは、次の楽曲に意識を向けます。そんな人々に突然突き刺さったのが、セットリスト3曲目の「Marian」でした。
この楽曲の象徴であるマリアンは、作中でプレイヤーが初めて出会ったニケ。おそらく、今も忘れられないプレイヤーがほとんどでしょう。
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戦いが終わった後、渡された銃を握る指揮官。見守ることしかできないラピとアニス。そして、かすかに聞こえてくる「……ここです」の声。
一連のアニメーションがスクリーンに流れ、オーケストラによる演奏が加わると、音楽と映像が一体化し、あの時の感情を鮮明に引き出していきます。
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これが、音楽と思い出の結びつきなのか……と実感していると、会場のそこかしこから押し殺した泣き声や静かに鼻をすする音が漏れ聞こえていきます。音楽だけでなく、感情も共有するのがコンサートなのだと、ここで改めて思い知らされました。
そして4曲目に奏でられたのは、モダニアの主題歌「GoodBye For Now」。マリアンとモダニアが横たわるシーンがスクリーンに投影されると、再び感情が大きく揺さぶられます。
ふたりは不可分な存在なので、その構図は現実的にはあり得ない、夢のような光景です。いつまでもこの夢を見ていたい……そんな気持ちが沸き立つばかりです。