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【ゲームニュース一週間】「新たなコア」とインディーズゲーム

今週は任天堂オブアメリカ(NOA)のReggie Fils-Aime氏が語る「新たなコア」層の話が興味深い話題を提供してくれました。

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今週は任天堂オブアメリカ(NOA)のReggie Fils-Aime氏が語る「新たなコア」層の話が興味深い話題を提供してくれました。

氏は海外サイトFASTCOMPANYのインタビューに、ゲームに精通した「新たなコア」層が出現しているとしています。「「新たなコア」はニンテンドーDSやニンテンドーDSiを買い『Nintendogs』や『スーパーマリオブラザーズDS』を遊んだ少女たちかも知れない」とコメント。ニンテンドーDSの世代が成長した層が「新たなコア」層であり、ゲームに精通している=従来のコア層ではないとする見解を明らかにしました。

氏が「少女たち(girls)」と表現していることには幾つかの含みがあると思われます。一つは「新たなコア」層が従来通りの男性主導ではないということ、もう一つはニンテンドーDSがゲームの原体験である……ということではないでしょうか。

「ゲームの原体験がどこにあるか」、これはゲーマーの趣味嗜好に少なからぬ影響を与えると考えられます。WiiやニンテンドーDSはゲームを遊ぶ人を大きく広げました。これらの機種をゲーム原体験とする層を増やしたのです。

ディズニー・インタラクティブ・スタジオ上級副社長ゼネラルマネージャーのGraham Hopper氏は、トウィーン(7〜12歳の少女)市場への取り組みに関し、「女の子が何を楽しむか、どんな内容を欲しがるか考えることは確かに難しい。ゲームの遊び方も異なるだろう。こうした困難は増すばかりだ」とコメント。これまでに存在しなかった層へのアプローチは難しいものであるとしています。

モーションでゲームを操作するワンダーやオシャレな携帯機を原体験とし、男性に限らない「新たなコア」。これが実在するのであれば、新たなアプローチが必要となるのではないでしょうか。

では、新たなアプローチをどこから持ってくれば良いのでしょうか。
異業種との提携、綿密なリサーチ、普遍的なゲーム快楽原理の追求、色々と考えられますが、インディーズゲーム界の力も有効なものの一つではないでしょうか。

海外のインディーズゲーム界はユニークな作品に溢れています。
一見、普通のジャンプ系アクションのようですがステージを回転させることで新たな世界が開ける『Fez』。ポストイットでシューティングゲームを作ってしまった『Post I.T. Shooter』。ポリゴンで作られたラグドールの関節を操作して格闘のワザを作り出す『Toribash』。小さな球体を吸収して巨大化し、自分より大きな球体を避けるアクションゲーム『Osmos』。暗闇の中、光の玉を抱えて出口を目指すが「光に照らされていない地形・物体は存在しないことになる」ことを利用するアクションパズル『Closure』。楽しさや新しさが分かり易く、普遍的な面白さが新しいアイデアで味付けされているインディーズゲームは「新たなコア」層へのアプローチにも適しているのではないでしょうか。



Osmos Trailer from hemisphere games on Vimeo.



こうしたインディーズゲームを評価する動きがあります。海外大手のゲームショップGamestopはインディーズゲームのコンテスト「Indie Game Challenge」を開催。「Penny Arcade Expo」ではインディーズ系ゲームに賞を与える「PAX 10」が注目を集めます。インディーズゲームから生まれた新たな才能が「新たなコア」層を刺激する……そんなサイクルが生まれるなら、ゲーム界は今後も安泰となるのではないでしょうか。
《水口真》
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