バンダイナムコゲームスにおけるアセット管理・共有の取り組みは2003年のPS2向けソフト『DEATH BY DEGREES』より始まっていて、「リソースセンター」と呼ばれるシステムをPHP、MySQL、XMLなどの技術を使って作成したそうです。それまでは大量のMayaシーンやテクスチャなどのデータが担当者の手元にあり、管理も共有もされていませんでした。それをデータベースで管理することで、再コンバートを簡単にパッチ処理したり、担当者同士でテクスチャを共有したりすることができるようになったそうです。ただ残念なことに他のプロジェクトでの使用を想定したものではなく、新しく開発する必要がありました。
『ソウルキャリバーIII』のための開発された「コンバートセントラル」では「リソースセンター」をベースに、対応ファイルの増加、GUIの改善、高速化などを図ったそうです。ゲームのクリエーションパーツ、武器、フェイシャルの管理に使用しましたが、まだまだ汎用性は低く、更にバージョン管理機能が無いなどの問題点があったそうです。ここまでは高橋氏が一人で作っていたそうですが、その限界もあり、チーム制に移行していったということです。
そうして2006年に完成したのが「ABC」と呼ばれるものです。早い段階で『ソウルキャリバーIV』『ソウルキャリバー レジェンズ』『エースコンバット6』『アイドルマスター』といった様々な主力タイトルでの採用が決定していて、汎用化が大きなテーマとなりました。バージョン管理のために専用ツール「AlienBrain」を組み込み、「AlienBrain + ConvertCentral」ということで「ABC」という名称となりました。完成したものはPHP+MySQLのウェブベースのアセット管理システムで、Mayaなど主要3Dツールと連携します。3台のサーバーと大容量ストレージで構成されていて、データの消去を防ぐこともできます。
「ABC」は現在、主要プロジェクトだけでも10以上で採用がされていているほか、従来想定されていなかったような、仕様書の管理やバグトラックなどにも使用されるようになっているそうです。課題としては、機能追加によるメンテナンス性の低下、可読性の低下、拡張性が高いものの難易度が高いこと、徹底したDRYの思想による再設計の必要性、Pythonへの移行、などが挙げられていました。
高橋氏は「バージョン管理という概念のデザイナーへの啓蒙が必要」と言います。そしてこうしたアセット管理システムを導入するに当たっては、「一元管理する」という文化がそもそもないことによる対立、変化への警戒に当たりやすいとして、「バージョン管理」「一元管理」といった理想を押し付けるのではなく、分かりやすいメリットを提示しながら"愛情"をもって取り組むことが必要だと述べました。
最後に高橋氏は「いろいろ苦しいこともありましたが、もうABCなしにはいられない、と言って貰えるになりました。」そして「日本がゲーム先進国でいられるか、という議論がありますが、ぜひ愛の力で皆さん力を合わせて頑張っていきましょう!」と締めて本セッションは終了しました。
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