岡本 吉起氏といえば、株式会社カプコン時代に『ファイナルファイト』『ストリートファイターII』など様々なヒット作を手がけたことでも知られる名プロデューサー。「ゲーム業界におけるプロデューサーの仕事はTV局のそれとは違った部分が多い」とゲームプロデューサーとしての様々なテクニックを披露していきました。
プロデューサーの仕事というのは会社とディレクターの間に立って人員構成と人月計算を行い、「クオリティ向上の試み」と「経費の節約」という対立する要素を両立させながらゲームを作っていくもの。職種の一つであり、管理するスタッフよりも偉いわけではなく、現場にとっては問題の発生を未然に防ぐ空気のような働きぶりこそが理想である……というのが岡本流プロデューサーの立ち位置。現場の愚痴や不満を汲み取るガス抜きもプロデューサーの仕事であり、「人間はよくしてもらっていることには鈍感だが、不満には敏感。よい不満というものはなく、不満は外に逃がすこと」が肝心だといいます。この考え方はゲームを作る際にも応用でき、不満をなくす方向で調整を行うことがヒットの秘訣とのこと。
カプコンは1996年にプロデューサー制度を導入。「○○を作った××プロデューサー」といったように、タイトルとプロデューサーをリンクさせることで注目度をあげてきました。この際に使用されたのが「プロデューサーをプロデュースする」という手法。プロデューサーを服装なども含めてキャラ付けし、プロモーションの一環としてきたという歴史があります。
岡本氏自身も「ユーザーに親近感を持ってもらうために自分をキャラ立て」し、オフィスにオモチャや時計を並べることで自身を広告塔化。本来興味がないものでも収集することで勉強になったといいます。現場にいたかったがプロデューサー業を優先し、当時は「どんな効果があるか計算しながらお金を使っていた」とのこと。自分をプロデュースするためには知識が必要であり、人間力を磨くことが必要であるとするのが岡本氏の持論。
そんな岡本氏が最後に披露したのが「欠品気味の法則」。売っていないとなるとその品物がほしくなるという人間心理のことだが、これからのマーケティングでは「欠品気味の法則」が大事になると指摘。数を多く出荷して自慢する時代は終わった、とする考え方を明らかにしました。
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