■昨今のゲーム開発事情から
―――世界でほぼ同時発売という面での苦労はありましたか?
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トーセ・谷口氏 |
谷口: ただ、開発のスタート時にそういう方針は決まっていましたので、心づもりが出来ていた点では楽でした。
坂井: デザイナー側としても、今回は複数言語を同時に開発するということで、メッセージ部分でも何文字になっても対応できるように、メッセージがスクロールするようにしたりしていたので、比較的楽でしたね。
―――それぞれのバージョンで言語以外に異なる点はあるのですか?
中井: 残虐表現の点が一部異なったりですとか、日本版には「ガガガSP のPV」が入っていたりするところですね。
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トーセ・西倉氏 |
西倉: : プログラム側で一番大変だったのは欧州のPAL(50Hz)対応でした。日本や北米のNTSC のコードのままで動かすとゾンビや主人公の動きが全く違って、飛び越えられていた柵が越えられなくなったり、飛びすぎて着地ができなかったり・・・。1 秒間に60フレームだったのが、1 秒間に50フレームになるので、速度に影響してくるんです。
―――それはどのように対処したのですか?
西倉: : 基本的には1.2倍で動かせばつじつまは合うので、全ての速度を1.2倍にしました。あとは、1.2倍速が二重でかかってないか、抜けが無いかというチェックは入念にしました。ムービー部分の対応は、Sofdec の初期化のオプションで設定できたので楽でした。
―――世界同時発売は増えてきていますがそのあたりはいかがでしょうか?
中井: そうですね。対戦があるゲームだとネットを通じて世界中で対戦が行われるので、世界同時に出す意義が大きいです。また、今は動画を簡単にアップロードできる時代なので、少しでも発売時期がずれるとゲームの醍醐味や楽しんでもらいたい部分がすぐに全世界に伝わってしまいます。もちろん売れ行きにも関わってくると思います。開発は大変になりますが、やらなければ自分達の首を絞めることにもなるので、やらなければどうしようもないといったところでしょうか。
―――では最後に、あのゾンビプードルを倒すコツを教えてください!
谷口: 火炎瓶が有効らしいです。投げたらそっちに行って・・・(笑)
野北: サッカーボールなんかを使うと、そっちに目がいくのでやりすごせます(笑)
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強敵ワンちゃん |
―――なるほどありがとうございました(笑)
■最後に
―――最後に恒例の質問ですが、読者の方と開発者の方に一言ずつ下さい。まずはゲームユーザーの方に
坂井: 難易度が高すぎるのでは?という心配をされる方がいたらそれは心配無用です。実はゲームが下手で前作はクリアできなかった自分も、今回遊んですっきりしました。かといって手ごたえがないゲームではなくて、間口が広いゲームになっていますのでぜひプレイしてみてください。
西倉: : 『デッドライジング ゾンビのいけにえ』は生まれ変わったリメイクです。前作はあまり気にせずに、新しいゲームとしてプレイしてもらえると嬉しいです。
後藤: デッドライジングを買ってくれたみなさん!!ありがとうございます!!少々お値段は高めですが色々とやり込み要素を盛り込んでみました!!普通にクリアした後は、銃未使用クリアとか、打撃武器未使用クリアとか、低レベルクリア等の縛りやり込みとかで楽しんでいただければ幸いなのです。
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トーセ・野北氏 |
谷口: ゾンビのゲームということで一応スタッフ全員でお祓いに行ったので、遊んでも呪われることはないと思います。安心して遊んでください(笑)。
三宅: 最初は難しいと思うんですが、2 周目、3 周目になってくるとより楽しめるようになってくると思います。今回はバットで、今回はナイフでという風に色んな遊びを試して欲しいと思いますね。
中井: ちょっと怖いゲームのように思われるかもしれませんが、ホラー映画やお化け屋敷を楽しむように手に取ってみてもらえればと思います。すごいバカゲーで、かなり良く出来たゲームですので、満足してもらえる内容になっていると思います。
―――ゲーム開発者の方にも一言ずつお願いします
坂井: 難しいですね、、、とりあえず体を壊さないようにお互い頑張っていきましょう(笑)。
西倉: Xbox360 のゲームも頑張ったらWii でリメイクできるよ。というのは見せられたかなと思います。
後藤: いま割に合わないような気がしている人も、いつか何とかなると思って頑張っていけば良いことがあるんじゃないでしょうか。多少の無茶ならなんとかなると今回学びました、ムービー100 本とか(笑)。
野北: 企画としてゲームを作っている立場から言うと、ゲーム作りは苦しい時期はありますが、作り上げた時の快感というか達成感は凄く大きなものだと思うので、そこを目指して頑張っていって欲しいですね。
谷口: 私は作る方ですが、ゲームを遊ぶのもの好きなので、お互いに良い物を作って楽しみましょう。
三宅: ゲームを作る毎に、年々ハードスペックも上がって、ゲームを作るのってこんなに苦しいものかなあと思うのは私も同じですが、頑張っていきましょう!
中井: 今回、『デッドライジング ゾンビのいけにえ』を開発するにあたって、トーセさんと組ませてもらって幸せでした。80 名という大所帯の開発になりましたが、血の通った一枚岩のチームというイメージでとてもやりやすかったです。なんというか暖かい雰囲気で、トーセさんに行くたびに癒されている感じでしたね。どんな無理な要望でも、最初から無理といわずに「検討してみます」から入ってくれたのがとても嬉しかったです。今回のチームを奪われてしまうのは私としては悔しい気もしますが・・・、他の会社さんもどんどんトーセさんに仕事を振っていただければと思います(笑)
中井: また昨今、良いゲームが売れないという状況になっていると思います。ゲームの中でも勝ち組とか負け組とかあったりして。かといって手を抜いて作るとゲーム業界自体の品質やブランドが下がって、お客さんも遊ばなくなってしまいます。携帯電話やPC などでは無料のゲームもたくさんある中で、我々は手を抜かずにゲームを作っていかないと業界自体が衰退していってしまいます。どんなゲームでも一生懸命作りましょう。また面白いゲームを作りたくても、なかなか作れないということもあると思いますが、その場合は良かったらカプコンに来てください、面白いゲームを作れる環境はあります(笑)。
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―――どうもありがとうございました!
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