これに先立って記者発表が7日、慶應義塾大学で行われ、実行委員会会長で同大大学院メディアデザイン研究科の稲陰雅彦教授が、概要の紹介と意気込みを語りました。
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慶應義塾大学大学院 稲陰雅彦教授 |
SIGGRAPH(Special Interest Group on Computer Graphics)はATM(アメリカコンピューティング学会)でCGを扱う分科会「ACM SIGGRAPGH」が主催する、CGとインタラクティブ技術の国際会議・展示会の総称で、1974年から毎年アメリカで開催されています。学会としての教育・研究要素に加えて、最先端の機器や作品展示も行われ、本分野における産学連携の象徴的な位置づけも担っています。
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教育・研究・産業・創造の4要素が融合 | 全世界の最先端CGムービーも上映 |
一方SIGGRAPH ASIAはアジア地域でのデジタル産業の進展や論文数の投稿増加を背景に2007年発足し、昨年シンガポールで第1回目が開催されました。横浜での開催は第2回目となり、来年は韓国ソウルでの開催が予定されています。
SIGGRAPH ASIA 2009 開催概要
会場:パシフィコ横浜
会期:2009年12月16ー17日(カンファレンス)
2009年12月17-19日(展示会)
出展企業見込:約100社
来場者見込:約8千~1万人
主催:ACM SIGGRAPH
運営:Koelnmesse Pte Ltd(シンガポール)
ケルンメッセ株式会社
稲陰教授は米SIGGRAPHがボランティア主体で運営されていることに触れ、はじめて参加した時に、学会とは思えない自由で祝祭的な雰囲気に感激したと語りました。そして日本でSIGGRAPH ASIAが開催されないのでは、アジアでの存在感低下につながるいう危機意識から、実行委員に手を挙げたと表明。本国と同じ自由な雰囲気を持ち込みながら、日本の優れた技術や作品を世界に発信する場にしていきたいと抱負を語りました。
SIGGRAPH ASIA2009は日本での開催ということで、SIGGRAPHの歴史でも初めての試みが予定されています。その一つが日本語への対応です。通常国際会議では英語で論文発表などが行われますが、今回は基調講演で日英同時通訳が実施されます。また初級から上級向けの、チュートリアルを提供する「コース」では、日英バイリンガルセッションや、日本語のみのセッションも予定されています。
基調講演は3名で、うち2名が発表されました。1人目は東京大学大学院情報学環教授で、ソニー・コンピュータサイエンス研究所・インタラクションラボラトリー室長の歴本純一氏です。講演名は「エンハンスド・リアリティー」で、センシング技術やAR技術をベースとした、ユーザーインターフェースに関する内容です。
2人目はNVIDIA特別研究員のデービッド・カーク氏による「ヘテロジーニアス・コンピューティングの効果」です。カーク氏はGPUベンダーとしてのNVIDIAをもり立てた「Geforceの父」で、GPUテクノロジの進化と次世代コンピュータグラフィックシステムへの適用について、カーク氏の観点が述べられます。また3人目にはエンタテイメント分野で海外の講演者が予定されています。
このほか前述の「コース」では、手書き3DCGソフト「テディ」で有名な東京大学の五十嵐健夫氏による「コンピュータグラフィックスのためのスケッチインターフェース」が行われます。またゲーム業界からは書籍「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」の著者で、セガの平山尚氏から「テニスゲームを作ってみよう!-ゲームプログラミングひとめぐり-」が行われます。
CGとインタラクティブ技術に関する斬新なアイディアが披露される「スケッチセッション」では、フルCG映画として蘇った"ハリウッド版"鉄腕アトム「ATOM」と、12月に全国ロードショーで、ディズニー/ピクサーの10作目となる「カールじいさんの空飛ぶ家(原題:UP)」のメイキングプロセスが披露されます。
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展示ゾーンではパシフィコ横浜の展示ホールを活用 | 学生・求職者向けのジョブフェアも開催される |
展示ゾーンでは新しく「Digital Bazaar」コーナーも設置されます。これは科学者、アーティスト、学校、ベンチャー企業などを対象とした展示エリアで、1mX2mのスペースを自由に使うことができます。机と椅子を持ち込んで作品を展示したり、スペース内に収まるものなら、大型の展示品も設置できます。現在エリアは約半分が埋まっているところだが、希望者は事務局まで問い合わせて欲しいとのことでした。
米SIGGRAPHでは近年ゲーム分野へも分野を広げており、昨年度からはゲーム関連の学術論文を扱う併催カンファレンス「SANDBOX」がスタート。本年度では元EAのウィル・ライト氏が基調講演を務めました。稲陰教授も「日本で開催するからには、ゲームは外せない要素の一つ」として、ゲーム業界に焦点を当てたスペシャルセッションの実施に、強い意欲を示しました。
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記者会見の模様 |