同社を一躍有名にしたのが、2005年に発売された『Guitar Hero』。ご承知のとおりギターコントローラを使って遊ぶリズムアクションで、いわば北米版『ギターフリークス』です。シリーズは空前の大ヒットを記録し、音楽ゲームの大ブームが巻き起こりました。しかし『3』で同社は開発を離れ、発展系の『Rock Band』へと移行します。
『Rock Band』はギターだけでなく、ドラムコントローラとマイクロフォンコントローラを使って、バンド演奏が楽しめるという豪華版。しかも他社に先駆けて追加楽曲データの有料ダウンロード配信を実現し、サードパーティによるプラットフォームビジネスとして注目を集めてきました。総楽曲数は『Guitar Hero』が349曲に対して、『Rock Band』は1350曲にのぼります。
その頂点が昨年のE3で発表された『The Beatles:Rock Band』でしょう。マイクロソフトのプレスカンファレンスで電撃的に発表され、壇上にはポール・マッカートニーとリンゴ・スターも登場。会場のスタンディングオベーションを集めたのは記憶に新しいところです。
ところが『Guitar Hero』に比べて『Rock Band』の売れ行きが、ちょっと鈍いみたいなんですね。
米ゲーム業界団体ESAのESSENTIAL FACTSに記載された全米テレビゲーム売上げ本数トップ20によると、2006年度は『Guitar Hero』シリーズが2本。2007年度は5本。2008年度は3本。そして2009年度はついにゼロ本になってしまいました。しかもこれ全部『Guitar Hero』で、『Rock Band』シリーズはゼロです。
米調査会社VgChartzの集計によると、『The Beatles:Rock Band』の売上げはWii・PS3・Xbox360をあわせて、全世界で280万本。これだけ売れれば立派という気もしますが、『Guitar Hero』と『Rock Band』のシリーズ累計売上げは4865万本対1601万本とのことで、約3倍の開きがあります。
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そんな同社にとって、シリーズ最新作『Rock Band3』は2年ぶりのナンバリングタイトル。E3会場ブースでは昨年同様に同社社員のライブ形式でプレゼンテーションが行われました。『Rock Band3』の最大の特徴は新たにキーボードコントローラーが加わったこと。プレイ人数も最大7人まで可能になっています。
収録曲は1960年代から2000年代までの名曲83曲。そのうちジミ・ヘンドリックスなど25曲が公開されています。キーボードコントローラー用にクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』などの選曲も見られます。楽曲を絞り込み検索できるフィルタリング機能も加わりました。
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また『Rock Band』専用ギターコントローラーの上位&最高級モデルとして「Fender Mustang PRO Guitar Controller」と、エレキギターの老舗フェンダー社の名前を冠した」Squier by Fender Stratocaster Pro Controller」が発表されました。
前者は「光るギター」としてヒット商品となったヤマハの「EZ-AG」風に、ネック部分に配置されたボタンと6弦のストリングで演奏するものです。後者はなんと、本物のエレキギターに『Rock Band』用の接続コネクタを追加したタイプ。望むならプロのミュージシャンと同じ楽譜でゲームが楽しめます。もはやゲームコントローラーとは言えない気もしますが、注目度はピカイチです。
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ちなみに同社のブースでは、『Rock Band3』と共に、Kinect専用のダンスゲーム『DANCE CENTRAL』が発表され、2本柱となっていました。『Guitar Hero』『Rock Band』で成長した同社にとって、ダンスゲームへの進出は大きなチャレンジです。はたして吉と出るか、凶と出るか・・・。同社の動向に注目したいところです。