初日の16:15~17:15には「Games in Smart TVs: Lessons Learned from the Development of Google TV」としてグーグルのAndres Ferrate氏、Ian Ni-Lewis氏による講演が行われました。ただし、Google TVだけでなく、スマートTV全般に関して俯瞰する内容となりました。
まず話はインターネット全体からスタートします。世界のインターネット普及は1996年に全人口の1.4%だったのが2008年は23.9%まで増加し、中でも米国内に限定すれば16.7%から75.8%にまでなりました。また、テレビの普及率は世界で75%、米国内では99%になります。そして、これらを合わせたスマートTVは2010年には200万世帯に存在し、2014年には4300万世帯にまで増加すると見られています。また、2014年には世界で2億3000万世帯がスマートTVを持つようになると言われています(In-Stat Researchの調べ)。
このように急速な普及が見込まれるスマートTVはゲーム業界やインターネット業界にとって次なるビジネスチャンスになると考えられます。
ゲームやアプリを提供するには3つの手段があります。(1)ウィジット (2)ブラウザアプリ (3)ネイティブアプリ (3)に近づくほど複雑化しますが、表現の幅は広がります。ゲームでは(2)か(3)を選択することになるでしょう。技術的にはAndroidのコード以外にも、FlashやHTML5でアプリを実現することができるそうで、ウェブの開発者にとっても優しい内容になりそうです。Ferrate氏はAndroid SDKやGoogle TV用のSDK、統合開発環境のEclipseはいずれも無料で提供されていて、負担なしに直ぐに開発が開始できると強調しました。
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スマートTV | アプリを提供するには | 様々な方法でアプリが作れる |
実際に開発された事例も紹介されました。ユービーアイソフトの『Party Central』はfacebookと連携して遊ぶことのできるブラウザアプリです。grabは無料ゲームサイト「Grab Games」をGoogle TV向けにもオプティマイズしたものを提供しています。「WeDraw.tv」は描いた絵が何であるか当てるというパーティゲームです。
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Party Central | Grab Games | WeDraw.tv |
これらの事例が示すようにグーグルはスマートTVのユーザーは既存のゲーム機とは異なると考えているようです。ユーザー層はゲームファンではなく、一般層であり、コアなアクションゲームやFPSではなく、カジュアルゲームやソーシャルゲームを好む層です。そして、これまでのゲーム機では掴めなかったユーザーがゲームに参加してくることが期待されます。
開発で分かったことも話されました。まずはユーザーとテレビの距離です。これはある程度の距離があります。手元で遊ぶことを前提に開発されたPCゲームやスマートフォンのゲームを移植する場合はアイコンや文字のサイズなど配慮が必要です。タッチ前提のインターフェイスではない操作性も求められます。
また、コントローラーは課題として残ります。スマートTVのコントローラーはテレビのリモコンを拡張したもので、キーボードや十字キー程度は付いているものの、ゲームを前提としたものでは決してありません。それでもこのコントローラーで遊べるゲームプレイを考える必要があります。ここからも当面はカジュアルゲームが中心になるであろうことが考えられます。
もともとはテレビですのでゲーム機ほどの性能はありません。しかし、レンダリング性能はクラウド化が進めば解決するのではないかと講演では述べられていました。OnLiveやGaikaiが始めているクラウド側でレンダリングを行い性能の限られたコンソールでもハイエンドなグラフィックや処理を実現する、という手法はスマートTVでも当然進展していくでしょう。
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遊び手との距離 | コントローラーが貧弱 | 将来予測 |
まだアプリストアが存在しないことから流通チャネルが限られますが、普及が期待できそうなスマートTVは今後注目される存在になりそうです。