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ジンガのMark Skaggs氏 |
登壇したのはジンガの副社長プロダクトデベロップメントのMark Skaggs氏。『FarmVille』の成功から苦難の『CityVille』について話しました。ちなみに同氏は家庭用ゲーム機やPCでゲームを開発した後、ジンガでソーシャルゲームに携わるようになったそうです。
まずは『FarmVille』です。過去に『Red Alert 2』や『C&C: Generals』を手掛けた同氏はRTS的な農場ゲームに着手します。当時のジンガは『Mafia Wars』がヒットしているものの、現在に比べると小さく、様々なチャレンジが容易だったそうです。『FarmVille』の開発におけるポイントは、「一人の大きな声」(でチームをリードする)、「速く、軽く、正しく」(というスタイル)、5分で分かるシンプルかつ分かりやすいデザインといったものです。
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FarmVilleの開発 | その2 |
チームの目標は2009年7月19日のサービスインから30日までの間に日間アクティブユーザー40万人を獲得することでした。しかし社内は懐疑的だったようで、30日で100万人を達成したらフレンチに連れていってやる(ビジネス開発担当上級副社長)、7月30日までに100万人を達成したらパリに連れていってやる(CFO)などと言われていたそうです。しかし蓋を開けてみれば5日間で100万人を達成、パリは貰えませでしたがフレンチはゲットしたそうです。
『FarmVille』から得られた教訓としては、
・シンプルなゲームデザイン+ジンガのベストプラクティス+お母さん=勝利!
・一人の強力な声
・スピードが勝利に繋がる
・素晴らしいデザイン、遊び易さが必須
・クラウドを使う。サーバーは決して落としてはならない
・日付へのコミット、注力すべきことを明確にする
・リリース後は全てがはるかに困難になる(すべきことはリリースは前に全てする)
といったことがあるそうです。
さて、『CityVille』です。『FarmVille』を作った時と比べてジンガは遙かに大きくなりました。また、最大3200万日間アクティブユーザーは目標としては途方もない高さです。ソーシャルゲーム自体も進化を続けています。さらに社内では『FrontierVille』も平行して開発され前作のような全面的なヘルプは望めそうにありません。「Green Light」という社内制度も生まれました(本開発へのクオリティチェック)。
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CityVille | 会社を取り巻く状況 |
『CityVille』は昨年8月頃に開発が始まったものの、明確なビジョンが定まらないままかなりの迷走があったそうです。一時は買収したオースティンのChallenge Gamesに開発を任せようという話もあったようです。
社内で開発が継続され9月には既に遊べるバージョンが出来ましたが、決して面白いと言えるものではなかったそうです。明確なビジョンがないため、チームメンバーから寄せられる様々な意見が盛り込まれては要素が多いだけのものになっていたそうです。そこで企画書から脱却し、プロトタイピングに集中することで収拾していき、9月末に「見る」という要素が入り、徐々に改善していったそうです。友達の街を見たり、ヘルプをしてくれる友達が見える、といったものです。
徐々に開発は進展していきます。10月、11月とゲームは良くなっていきます。当初のリリースは11月の予定でしたが、ジンガは延期する決断をします。Skaggs氏は「リリース後は全てが困難になるから」と理由を説明します。ソーシャルゲームはリリース後も改善できると言われますが、同氏は「戦いはリリース時には決まっている」とコメント。完成度を高めておく必要性を語りました。
最後に『CityVille』での教訓も幾つかまとめてくれました。
・強力な一つの声(でチームをまとめる)
・大きなプロダクト=より長いデバッグ・テスト期間が必要
・リリース前にチームをスケールさせるプランを
・完成している追加要素を用意しておく
・プロダクトだけでなく、チームそして24/7のビジネスを始めるという心構え
・勝負はリリース前に決まっている(できることは全てやれ)
・適切なゲームを速いタイミングでリリースすること
驚愕な事実、というようなものは今回のセッションでは語られませんでしたが、基本に帰ったゲーム作りの重要性を説くものでした。ジンガと言えども悩みは同じ、ということでしょうか。