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―――体験会おつかれさまです。いよいよ発売ですね。
御影:ある程度の手応えはあります。ただ、手応えというのは、最終的にファンの皆さんにゆだねるモノです。現時点でできることはすべてやりました。あとは、どんな評価を皆さんにいただけるかですね。良い評価も悪い評価もあるでしょう。そこを、どう次に繋げていくのか。ぼくらの「JRPG宣言」はこれで終わりでは、ありませんから。
―――とはいえ、第一弾タイトルということで、一番注目されるところです。これが「JRPG宣言」の答えだと、みなされるかもしれません。恐くはないですか?
御影:うーん・・・そこは「人事を尽くして天命を待つ」の心境ですね。
―――予約や受注も好評のようですね。
御影:おかげさまで、Amazonさんでは今日(23日)、受注分が完売しました。もっとも本作に関しては、売り上げなどは正直二の次だと思っているんです。それよりも、ユーザーさんから、どんな評価をいただけるかの方が重要なんです。
―――ただ、作り手側からすれば「売り上げ」=「評価」ではありませんか?
御影:実は正直なところ、今作については「売り上げ」は度外視しているんです。本作のコンセプトやテーマも、「せっかくパブリッシャーとなった最初のタイトルなんだから、自分たちが好きなゲームを作ろう」という想いが強かったんですね。そこから「PSPで歯ごたえのあるRPGがないよね」という感じでプロデューサーの宇田と盛り上がって、宇田がキャラクターデザイン、僕が原案、という風に進んでいきました。
―――そうなんですか。
御影:ええ。売れても売れなくても、最初のタイトルなんだから、やりたいことをやろうと。会社の第一作って、その後の方向性を大きく決めますし、僕らが大きくなった時に、絶対に引用されますしね。それだけに、ユーザーさんの生の声が気になりまして。発売後はまた、ブログやtwitterのチェックなどで、眠れない日が続きそうです。
―――なるほど。
御影:それに、「売り上げ」はイメージエポックの総合力の結果なんです。開発スタッフだけでなくて、広報宣伝や営業チームの力も重要です。それらが、一本ゲームを作って売ることで、良い循環となって社内に蓄積されつつある。そのことに喜びを感じます。おかげさまで出荷的には合格ラインなので、僕が次にすることは消化率と、ユーザーさんの生の声から目をそらさないことです。そこが一番恐いところですね。
―――会場の反応はいかがでしたか?
御影:皆さん優しいですね。それから、ビックリするくらい上手いです。特に女性ユーザーが、ノーマルモードの中ボスを倒せているのを見て、改めて大丈夫かもしれないと思いました。ただ、後半はすごく難しいです。「歯ごたえのあるRPG」と唄っているのは、そのとおりです。ゲームに慣れていない方はイージーモードで遊ばれる方が良いとは思います。もっとも、ノーマルモードの中ボスが倒せるということは、イージーモードでラスボスが倒せるということなんですよ。
―――確かに。みなさんお上手でしたね。
御影:また「ヘイト」「クラウド」という概念を知らない方が、いっぱいいらっしゃいました。それでも、ここ10~20分の体験会で、僕らと会話をしながら、中ボスが倒せたので、おそらく「ヘイト」「クラウド」という概念も浸透できるんじゃないかと思います。
―――「ヘイト」「クラウド」って何ですか?
御影:ひらたくいうと「敵対心」のことです。これをパラメータとして管理することで、プレイヤーの攻撃を敵キャラクターのAIが解析し、パーティの弱点を突いてくるような攻撃が繰り出せます。MMORPGなどでは一般的ですが、コンシューマゲームでは、あまり見られませんね。本作は希有な例ではないでしょうか。
―――確かに、JRPGの敵キャラクターの攻撃アルゴリズムは、けっこうヌルいですよね。
御影:そうです。そこを今回はしっかり作り込みました。
―――また今回はダウンロード販売分のうち、500円を義援金として寄付する「チャリティダウンロード」を発表されましたね。
御影:震災の翌日に決定しました。金額は当初から5600円とDL版にしては高めの設定で、お店にも告知済みでした。そこから1本あたり500円を寄付することにしたんです。もともとDL版の金額は、一般店舗さんのケアのために、あえて高めの設定にしていました。一般店舗さんに、しっかり受注してもらって、消化してもらうことが、第一ミッションだと感じていたんです。
―――なるほど。
御影 そうはいっても、そこから500円をチャリティに寄付するというのは、僕らのような小さい企業では、少なくない金額なんですよ。そこは僕らのメッセージだと思ってください。実際こうした形でのチャリティというのは、面倒くさいことでも何でもない。やるか、やらないかという、気構えの問題なんです。
―――そうなんですか。
御影:そうですね。赤十字さんへの寄付というのは、事務処理だけですみますので。それよりも、僕らみたいに小さい企業では、できることも限られているけど、やっぱり日本の企業として、何かやりたかったんです。そういう想いは、僕らが今後成長していく中で、重要だと思うんですよ。小さい企業は、小さいなりに。大企業になったら、それにふさわしいお返しを。そんなことを、震災の翌日に役員会で話しました。
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―――体験会はGAMESマーヤさんからのリクエストだったそうですね。
御影:実は体験会をやる予定はありませんでした。それまでオファーをいただいても、お断りしていたんです。ただGAMESマーヤさんは、プロデューサーの宇田洋輔がゲーム業界に入りたてのころ、常連だったんですよ。そういった縁もあって、お声がけに応えさせていただきました。そうした人と人との関係は、この業界では大事ですよね。
―――やってみて感想はどうですか?
御影:お客さんが、みな素晴らしい人ばかりで、教えていただけることがたくさんありました。体験会というスタイルは別として、ユーザーさんと直接コミュニケーションできることは、とても気持ちが良いですね。アーケードならともかく、コンシューマではほとんどないので、非常に勉強になるし、有意義な時間でした。
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―――最後にユーザーさんに一言お願いします。
御影:予想以上に会場で盛り上がっていただいて、嬉しくもあり、不安でもあります。発売後どういう状態になるか、正直わからないです。その中でも、たくさんのご意見を聞く覚悟を持っています。できるだけ多くの方に遊んでいただいて、多くのご意見をいただいて、今回のがんばりを次に繋げる糧にできればと思っています。
―――ありがとうございました。
『最後の約束の物語』は4月28日発売予定。価格はパッケージ版が6,279円(税込)、ダウンロード版が5,600円(税込)です。
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