というようなストーリーの『RAGE』。世紀末の核戦争後世界を舞台としたゲームは原典の映画「MadMax」より定期的に出る、ある一種のジャンルとなっています。日本では「北斗の拳」のような世界、と表現したらより分かりやすいかもしれません。そしてここ数年で類似した設定の作品が二つほどヒットしています。
BioWareの『FallOut』は荒廃した世界を舞台とした純RPGでした。皮肉たっぷりのブラックユーモアが光るシナリオは力強く生き続ける人類のしぶとさだけでなく、あまり内容が重くならない要因となっています。もう一つはGearBoxの『Borderlands』。こちらはRPG・FPSとして好評を得ました。多人数でパーティを組み、協力プレイも大きな魅力です。こちらはFPS要素もあるRPGとも言えるプレイスタイルとユーモアあふれるシナリオが非常に良い組み合わせとなり、あまり深刻にならないゲームスタイルをとっていました。
比較して『RAGE』は完全にFPS。FPSの大家id Softwareの開発した作品は激しい銃撃戦とプレイヤーの反射神経を極限まで試すプレイスタイルです。レベルアップは無く、反射神経と技量によって先に進む、コアなシューターゲーマーへ向けたラブソングとも言える今作品。登場する敵は手ごわく、プレイスキルを必要とします。ミュータントはザコながらも奇声を発しながら即席の鈍器やら尖った鉄の破片で襲いかかり、敵兵士は重装甲でガシャガシャと思い足跡を響かせながら迫ってきます。緊張感たっぷりです。
完全に昔ながらのFPSと言えば、そうでも無く、アイテムを集めて新しい道具や武器を作るRPG要素も含んでいます。こうして作るオプションが従来FPSと比較して多い所に興味を惹かれました。
リモコン爆弾、EMPグレネード、セントリーガン。これら戦術の幅を広げるアイテムのほんの一部で、必ず必要ではないのがポイント。小細工無しで銃撃戦を生き残る腕一つで攻略を目指す事もできます。FPSとしての遊びを究極まで突き詰め人間の反射神経を試すようなゲームになっています。
ユーモアは時折思い出したかのように断片的にあります。荒廃した世界に住む人々は細々と生活をして、陰鬱した雰囲気がたっぷり。無茶苦茶になった世界で絶えず危険と不安が襲いかかります。息抜きの楽しみが敵の頭を吹っ飛ばす、そんなゲームです。ちょっと重苦し過ぎるかもしれませんが、いつもの素晴らしきidのゲームと言えるでしょう。
『RAGE』はカジュアルなゲームユーザーには少々敷居が高いかもしれませんが、コアなシューターファンにとっては挑戦的なゲーム。反射神経と頭ミソ、極限までプレイヤーを試す。近年稀に見る懐かしいスタイルのゲームです。国内での発売も予定されているとのこと。楽しみです。
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