特徴的なのは、これらがすべてコンシューマゲームを主力に開発してきたクリエイターと、NHN Japanとのコラボタイトルだということ。実際の開発風景はどうだったのか、話を伺いました。
■ついに「完全版」が実現した『ブラウザ カルネージハート』
―――はじめに自己紹介をお願いします。
及川: NHN Japanで『ブラウザ カルネージハート』のプロデューサーをしている及川信正です。
大畠: スタジオアートディンクで本作の制作進行をしている大畠功です。
―――プロジェクトのきっかけは何でしたか?
大畠:オンラインゲームを一緒にやりませんかと幾つかのタイトルをハンゲームさんにご提案して、その中で『カルネージハート』がいいのではないかという話になりました。本作の元となった初代『カルネージハート』は、PSで1995年に発売されたロボットバトルシミュレーションゲームです。最初のお話が2008年頃で、そこから何度か打ち合わせを行い、昨年後半から開発が始まりました。
及川: タイトル自体は昔からよく知っていましたし、ユーザーとして遊んでいました。そのため自分が担当になった時も、オンラインゲーム化への違和感はなかったですね。
―――役割分担はどうなっていますか?
及川: ゲーム開発はスタジオアートディンク様、サーバなどの環境とサービス関連は弊社が担当しています。開発チームはスタジオアートディンク社内で、サービス運営は弊社に置いています。
―――コンシューマゲームをオンライン化する苦労はありませんでしたか?
大畠: 意外と大変でした。PSP版のエンジンを移植したのですが、グラフィックが3Dから2Dに変更する上で、違和感なく、カッコよく見せるのが大変でしたね。また多人数で同時接続して遊ぶゲームという上でも、弊社としては大きなチャレンジでした。
―――ゲームデザイン上での変更はありましたか?
大畠: ビジネスモデルがアイテム課金なので、ゲームバランスの調整が大変ですね。特に課金パーツのパラメータ調整などは、まさに苦心しているところです。
及川: ちょうど今も待ち時間でバゲームランスについてを詰めていました。ただ、コンシューマの歴史があるカルネージハートですが、本作については最初から、アイテム課金を意識されたゲーム設計になっていたんです。そのためサービス提案をする弊社側としましては、大変ではありませんでした。スタジオアートディンクさん側から、かなり歩み寄っていただいていて、やりやすいですね。
―――打ち合わせの頻度はどれくらいですか?
大畠: 毎週、必ず顔を合わせていて、あとは電話で毎日のようにミーティングをしています。人生ここまで電話で話したのは初めてです。
及川:私も女房より大畠さんと話している時間の方が長いです(笑)
―――開発状況はどのくらいですか?
大畠: ゲーム部分はほぼ完成しています。あとはデバッグと最適化、バランス調整などですね。手前味噌ですが、遊んでみておもしろいなと感じます。特にトーナメントが実装された時は、社内でもテストプレイで盛り上がりました。
―――スタジオアートディンクとしては、オンラインゲームは初めてですか?
大畠: 過去に国産のMMORPGの開発をしたことがあります。実は『ブラウザ カルネージハート』のディレクターは、『ルナティックドーン』シリーズも担当していたんですよ。
―――満を持してのオンラインゲーム化です。
大畠: 私も初代『カルネージハート』が登場したときは、一介のユーザーでしたが、もしこれで知らない人とオンラインで戦えたら、どんなに楽しいだろうと思っていました。それがようやく21世紀になって、実現できる環境になった、ということでしょうか。
―――ハマると面白いんですが、難解なシリーズという印象もありますね。
及川: 実は自分もそう感じていました。過去にいくつか購入して遊んでみたものの、挫折していたんです。そのため、今回は僕でも楽しめるように調整しています。
大畠: 極端な話、本作ではプログラムが組めなくても楽しめるようになっていますよ。そこから、だんだんとディープなところまで遊びこんでもらえれば嬉しいです。
及川: その一方で、出来ないことが、ちょっと出来たときの達成感が、ほかのゲームとは比較にならないほど大きいんですよ。
大畠: 実際、間口を広げるというのは本作の大きなテーマでした。萌えキャラが登場するのも、その一つです。ただ戦闘部分はこれまでの流れをきちんと汲んでいるので、昔からのファンの気持ちに答えるものになっていると自負しています。
―――NHN Japanさんと仕事をして、いかがですか?
大畠: いろいろと勉強させてもらっています。コンシューマゲームとオンラインゲームということで、見方が違うなと感じるところもありますが、ちゃんと話を伺うと、納得いく部分がほとんどでした。こちらの意見を無理押しした部分はなかったですね。
及川: 弊社からすると、こんなに「堅い」ゲームを作っているのに、すごく柔軟に対応していただいて、感謝しています。あと変な話ですが、非常にマジメです。カルネージハートについて初心者の私達の意見を、ちゃんと聞いていただいて、モノを作って、返してくれるんです。
―――ゲームを遊んでいる人以外にも楽しんでもらえる要素があるそうですね。
及川: 本作には「トーナメント」というモードがあり、最大256人が一つの大会にエントリできます。ベスト8、ベスト4といった上位の対戦では、「ハンゲーム」の全体イベントとして、みんなで応援できるような仕組みを作る予定です。応援することでアイテムがゲットできたり、一般のユーザーさんに関心を持ってもらったり。逆にプレイヤーにとっては、応援してもらうことがモチベーションにつながるでしょう。そんな風にゲームの内側と外側をつないでいって、もりあげていきたいですね。
大畠: 実際、これまでは熱心なユーザー同士がセーブデータを持ち寄って、独自に大会などを開いていたんです。自分もPSP版でそうした大会に参加していました。それが今回、運営側から公式に対戦の場を作って、個々のプレイヤーにスポットが当たる機会を儲けてもらえることになりました。非常にツボをついた施策だと感じます。
及川: 『カルネージハート』という素材が競技性の高いコンテンツなので、良い形でかみ合ったかなと思います。
―――クロースドβテストでのユーザーの反応はどうでしたか?
大畠: 負荷に対する脆弱性が露呈したので、最優先の課題として取り組んでいます。それ以外でもユーザーからの要望には、できるだけ対応するつもりです。中でもソフトウェア設計のUIを使いやすくしてほしいという要望は多かったですね。一日に何時間も使う可能性がある画面なので、できるだけストレスフリーにしていきたいです。
及川:またソフトウェア設計のBGMは、プレイヤの皆さんが聴き続けると思いますが、リラックスできるメロディーになっていますよ(笑)オープンベータテツトのリリースは、当初のスケジュールより半月遅れていますが、それだけクロースドβテストでいただいた指摘を、反映させられるように制作を進めています。
―――最後にユーザーにコメントをいただけますか?
及川: ちょっと話はズレますが、本作は作っている人もマジメなら、プレイヤーも相当マジメなんです。いろんなゲームの運営を見てきましたが、その中でも本作のユーザーは、みなさん大人なんですよ。実はクロースドβテストでツールの不具合が発生し、急遽、運営スタッフがログインして、お客様を直接誘導したことがありました。運営側としては非常に緊張しましたが、好意的に対応していただきました。
大畠: そうした熱心なファンの方に長く支えられてきたゲームですので、絶対に裏切れないという思いで作っています。ファンの皆様、ついにお待たせしました。完全オンライン対応の『カルネージハート』で、いまだかつてない数のライバルと腕を競えあえます。また、これまで遊んだことのないユーザーさんも、一度やってみるとやめられなくなるくらいハマりますので、ぜひ遊んでみてください。
―――ありがとうございました。
『ブラウザ カルネージハート Programming Soldier』は、基本プレイ無料のアイテム課金制です。
(C) 1995,2011 ARTDINK. All Rights Reserved. (C) 2011 STUDIOARTDINK (C) NHN Japan Corp.
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