audiokineticはカナダのモントリオールに拠点を置く2003年設立の企業で、従業員は15人。その大半が開発者です。2006年にリリースしたサウンドのデザインツールとエンジンが一体となった「Wwise」の提供を中心にコンサルティングやトレーニングプログラムを提供しています。「Wwise」はこれまで20回以上のアップデートが繰り返され、日本企業を含む約200以上のタイトルで採用されてきました。
Wwise
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「Wwise」の特徴はオーディオパイプラインの全てをカバーしている点。高品質なリアルタイムサウンドエンジンを核に、サウンドデザインやミキシングを行える多機能なツールを備えており、サウンドの制作からテスト、ゲームへの組み込み、そしてミックスまで全てが「Wwise」で完結します。この一連のパイプラインによって、サウンドデザイナーは従来のようにサウンドプログラマに依存した制作体制から脱却することができます。
今回のセッションで特に強調されたのは「ダイナミックミキシング」というフィーチャーです。これはゲームの状況に応じてオーディオのミックスを変更するというもので、これを活用することでユーザーが常に同じ音楽を聞くことを防ぎ、リアル感や没入感を与え、かつ何が重要であるかを音楽で感じ取らせることができるとリードソフトウェアエンジニアのMartin Dufour氏は語りました。
「ダイナミックミキシング」には3つのスコープが存在します。「オーディオオブジェクト」(単位)「グループ」「グローバル」(全体)です。グローバルでミキシングを行えば、プレイヤーが水に潜ったような表現や、一時的に能力が変化するといった表現が容易に可能です。
「ダイナミックミキシング」はイベント駆動型であり、ゲームからのインプットに対して用意されたミックスに変更されるような形となります。イベント(ジャンプ、シュート)、ステータス(無敵状態、水中)、パラメーター(速度、距離、時間)といったものがトリガーになります。
デモではスノーボードのジャンプや着地によってオーディオを変更したり、銃声をその聞く距離や方向によってボリュームやフィルタのパラメーターを変化させて音を変えるといった事が紹介されました。この「ダイナミックミキシング」ではゲームのサウンドをよりインタラクティブに変えることができるようになります。
「Wwise」は現行の全ての家庭用ゲーム機とWii UそしてiOS/Androidなどのスマートフォンなど主要なプラットフォームを全てカバー。ゲームエンジンでは「Unreal Engine」「Unity」そして今回のGTMF2012に合わせてシリコンスタジオの「OROCHI」とのインテグレーションが提供されることも明らかになりました。価格はタイトルの予算に応じて変わってくるとのこと。