■パズルなの?ギャグなの?
まず情報を手に入れようと公式サイトを見にいったのですが・・・、ピンクの服の日本人の女の子と、ブロンドヘアーの外国人の女の子が謎の動きとポーズをしている映像が流れます。しかも外人さん、宇宙に投げ飛ばされているじゃないですか!なんでしょう、なんなのですかこの壮大さ!
どうやらこの二人、ちゃんと名前があるようで、日本人が「グレース」、外国人が「サバンナ」だそうで、キャラクター設定までちゃんとありました。しかしその設定シュールさといったら・・・。「色ジャマ」と呼ばれる全身赤スーツや黄色スーツの人も気になるし、「色ニンジャマ」は忍者っぽいけどぜんぜん忍んでないし!しかしゲーム内容はいたってまじめそう。期待を不安を胸に早速ダウンロードしてみました。
■『パズループ』の最新作
実はこのゲーム、1999年に開発され色々なハードで発売されている『パズループ』シリーズの最新作なのです。『パズループ』シリーズのルールは簡単。カラーボールがセットされた砲台を回転させ、列にボールを打ち込み、3同じ色をつなげて消していくというものです。この砲台が人に代わり、カラーボールが人に代わっただけ、というわけです。いやいや、人になっただけって簡単に言いますが、人を投げて消すってどういうことでしょう!?グレースとサバンナの腕力とか、消えた人はどうなるとか、気にしだしたらきりがない!しかもゲームの基本操作説明ムービーでは人が消えることに対して「ナゼ?」「知らん」とこれまた投げっぱなしのご回答をしているじゃありませんか。このシュールさ、ネタ好きにはたまりません(笑)
■「グレース」と「サバンナ」と「ふたりとニンジャマ」の3タイプのステージ
ゲームはストーリーモードとチャレンジモードが選択できます。ストーリーモードは、1週間の予定表が表示され、月曜日から順に選択してきます。ふたりの一週間を追いながらパズルをこなしていくという感じです。チャレンジモードは3種類のステージをゲームオーバーになるまで続けます。
グレースは「限定10名!」という言葉に弱く、行列を見ると並んでしまいます。前にいる色ジャマをどんどん消して限定10名の枠に入るとゲームクリアです。設定によると行列を消す様子はグレースの妄想の産物だそうです。確かに人ごみに行くと「みんな消えちゃえばいいのに」と思いますが・・・グレース、恐ろしい子!
サバンナはなぜか色ジャマに囲まれた状態からスタートします。行列の先頭にいる色ジャマに謎のボタンを押されてしまうと宇宙へと放り出されてしまうので、色ジャマを全員消さなければなりません。なぜこのような状況に陥っているのか・・・。
そしてグレースとサバンナが手をとってニンジャマと戦う「ふたりとニンジャマ」。もうツッコんだら負けですね。
一応ストーリーモードなのでゲームの前後にムービーが流れるのですが、これまた会話なしでシュールな構図です。なんだろう、この不可解なお笑いをみた後のような微妙な気持ちは(笑)
■投げる、転がす、ぶつける・・・独自要素もたっぷり
シュールさばかりに目がいってしまいついゲームそのもののレビューがおろそかになってなってしまいました(笑)ゲームは『パズループ』の要素を残しつつ、新たな技やアイテムが追加されています。
まず色ジャマを放つ動作はタッチペンで行います。タッチペンで狙いを定めて、画面から放すことで色ジャマを投げます。基本操作はすべてタッチペンで行えるので簡単ですね。ただ色ジャマたちも黙って消されるわけではなく、突然走り出したり、列を乱したり、頭にツボを乗せて回避したりと、プレイヤーを妨害してきます。色ジャマのトリッキーな動きで手元が狂って狙いが外れてしまうこともあり、なかなか難しいという印象を受けました。タッチペンをちょっと画面から外すだけで投げる動作をしてしまうので、一度パニックになると立ち直るまでが大変です。いかにすばやく連鎖の仕込をするか、妨害の回避をするかが勝負の鍵となります。
また、グレースは投げ技、サバンナは転がし技と、色ジャマを消す方法も違います。グレースは妄想世界だからでしょうか、人間をかなり遠くまで投げることができます。怪力というレベルじゃありません。行列の上を通過する爆弾に色じゃまを投げつけて爆発させたりと、過激な妄想をしまくってます。サバンナは渦巻状に並んだ色ジャマの奥を狙うと手前の色ジャマがジャンプしてよけてくれます。
特に3DSならではの要素が強いのは「ふたりとニンジャマ」です。こちらは3DSのジャイロ機能を使い、3DSを左右に傾けて狙いを定めます。Aで投げる、Bで転がすとパターンも選べるので、状況に応じて使い分けましょう。妨害を避けるときもジャイロ機能を使います。
■ほどよい難しさと救済策
グレースとサバンナはそれぞれ特徴があるので、プレイヤーによってはどちらか一方が苦手と感じるかもしれません。なので苦手な方で止まってしまい、次に進めなくなるかも・・・という危惧があるかと思います。しかし、ありがたいことにそのステージがクリアできなくても一度プレイしたら次のステージに進むことができるので安心です。先のステージをチャレンジすることでコツを掴み、元に戻って再チャレンジもできるのです。
また、一気に色ジャマを消すチャンスをつくれるアイテムも登場するので、これを有効的に使えば、一発逆転のチャンスも生まれます。ステージごとに入手できるアイテムは固定ですが、使用せずクリアした場合はそのアイテムを別のステージへ持ち越すこともできるので、どうしてもクリアできないステージはアイテムを持ち込んでチャレンジすることも可能です。先に行けば行くほど難しくなりますが、救済策をうまく使って、全ステージクリアしたいですね!
■目指せ、パズルの金メダル!
ストーリーモードはクリアするとスコアに応じて金・銀・銅のメダルがもらえます。クリアタイムも記録されるので、ついつい早くクリアしたくなりますが、高得点は連鎖やテクニックによってはじき出されるので、あせらずじっくり狙いを定めてプレイしていくのが金メダルへの近道です。折りしも世間はロンドンオリンピックの話題一色。ここはアスリートたちに負けず、パズルの金メダルを狙おうじゃありませんか!
『行列ナゲループ』は、『ニンテンドーeショップ』にて好評配信中で価格は700円(税込)です。
(C)2012 Nintendo/MITCHELL
(C)1998 MITCHELL
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■著者紹介
みかめゆきよみ
ゲーム好き、日本史好きの漫画家兼フリーライター。
ゲームはジャンル問わずなんでもござれ。難しければ難しいほど燃えるドMゲーマーです。
歴史・ホラー漫画、歴史コラム、イラストなど雑多に活動しています。
サイト「車輪の真上」
http://zwei.lomo.jp/syarin/