宝塚歌劇は、出演者が女性だけで構成された劇団。男性の役は男装した女性が演じ、色鮮やかな衣装と魅力的なダンスで、麗しい世界を生み出しています。歌劇「逆転裁判」シリーズは宙組が出演。アメリカが舞台となり、キャラクター名も海外版のものが使用されています。第1弾、第2弾は、蘭寿とむさんが演じるフェニックス・ライト(成歩堂龍一)の物語で好評を得ました。
そして第3弾の主人公は、悠未ひろさん演じるマイルズ・エッジワース(御剣怜侍)。ゲームの『逆転裁判3』というわけではなく、『逆転裁判1』の続きとなるストーリーです。御剣といえば、派手な衣装、麗しい顔立ち、胸元の“ヒラヒラ”・・・。誰よりも宝塚歌劇に似つかわしいキャラクターではあるまいか!
法廷でフェニックス・ライトに敗れ、行方をくらましたエッジワース検事。時が経ち、再びライトのもとを訪れようとします。このあたりは、ゲームでもおなじみの御剣の行動。しかし、ここで事件が起きる!?ラリー・バッツ(矢張政志)とともに、過去の世界にタイムスリップしてしまいます。ヤッパリ殺人事件に出くわす2人。被告人をかばう、何やら訳ありの女性ダンサーを弁護士事務所へ連れていくことに。
そこで出会った弁護士は、なんと若かりし父グレゴリー・エッジワース(御剣信)。何が何でも無罪を勝ち取ろうとする父に違和感を覚え、エッジワースは独自捜査に出ることに。
尊敬する弁護士であった父と、夢の共演!
まさかの父・信の登場は、御剣が主人公であるゲーム『逆転検事』も思い出しますね。また、御剣の物語には欠かせない(?)“オバチャン”も、歌劇に初登場。あの「カタカタカタカタ」が披露されました。御剣の過去のトラウマも、しっかり物語に組み込まれています。
複雑な事情を背負った人物たちと、エッジワース親子の不思議な出会い。コミカルな部分もありつつ、最後はウルッと涙を誘う展開です。もちろん、ちょっとしたロマンスもありのミュージカル作品。それも宝塚歌劇とあって、とかく「美」の一言!エッジワース検事の“ヒラヒラ”よりも、さらにボリューミーなヒラヒラ衣装で華麗に舞う女性たち!裁判をテーマとしつつも、さすが、華やかで、きらびやかな世界です。
ゲームファンからも、宝塚ファンからも支持される舞台として成功しているのは、脚本と演出と担当した、宝塚歌劇団所属の鈴木圭さんのこだわりあってこそ。「ゲームをプレイして感じたものを、そのまま舞台へ持っていきたい」という思いで制作されているそうです。
スクリーンを使った演出でゲームをプレイしたときの感覚が見事に表現され、法廷のスピード感もあり。音楽もフルオーケストラでアレンジされ、ここぞというところでおなじみの曲が掛かるなど、ハッとさせられます。そして、一貫して描かれる、真実を明らかにすることへの熱い思い・・・。
今回エッジワースが主人公となったのは、第2弾でエッジワースの反響がよく、スピンオフ作品『逆転検事』もあったからだとか。「エッジワースを描くなら、法廷ではフェニックス・ライトではなく父親と戦わせたいとずっと思っていた」ことが形になった作品。ライトの出番はないものの、言葉ではそこにつながることを匂わせ、あくまでエッジワースに焦点を絞っているそう。「親子の情や絆」が見どころです。
ゲームとのコラボレーションということで、ふだんとは稽古の雰囲気も少し違う、楽しそうな様子が感じられるそうで、鈴木圭さんは「新しい世界の彼女(出演者)たちを見ていただきたい」と語っています。
鈴木さんの中には、今後の構想もある様子。ゲームの枠から飛び出した華麗なる『逆転裁判』の世界、続編にも期待せざるを得ませんね。
(C)TAKARAZUKA REVUE COMPANY/ (C)CAPCOM
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