そして、曲とともに覚えているのがキャッチコピー。「おとなも こどもも おねーさんも」。8月27日の発売日が待ち遠しすぎて「マザー2」の合掌が「真夏~」に聞こえたあの日。懐かしい、非常に懐かしい。その『MOTHER2』が『ニンテンドーeショップ』で期間限定で30円で買えるですって!?いつ買うの?今でしょ!というわけで、今回はWii Uバーチャルコンソールで配信中の『MOTHER2 ギーグの逆襲』をレビューしようと思います。あれから19年・・・子供だった筆者も、おねーさんを通り越してすっかりおばさんになってしまったよ・・・(泣)
■ドットから感じられる暖かさ
とはいえ『MOTHER2 』が名作なんてことは周知のことでございまして、今更感はありますが、かつてプレイした大人という目線でまだプレイしていない方々に、そしてかつてプレイした方々にその魅力を伝えられたらと思います。
まず、Wii Uのバーチャルコンソール版なので、TV画面でもGamePadでもプレイ可能です。あの独特の温かみのあるドットもそのままです。当時、ドット絵は美麗化が進んでいましたが、あえてシンプルに描かれているところに高いセンスを感じます。高精細なゲームが主流になった今見てみると、ドットで描かれた1枚1枚がむしろアート作品のよう。正直に言うと、子供だった当時は「グラフィックもっと頑張れ」なんて思っていました(反省はしている・・・)
■こどもの目線で、大人の世界へ
主人公ネスとその仲間たちはみんなまだ子供。普通RPGというと、主人公は幼くても16歳くらい。いっぱしの大人として、もしくは大人になる成長過程として冒険の旅に出ますよね。だから大人は対等に会話をしてくる。いっぽう本作では、出会う大人たちは皆ネスたちを子供として扱います。プレイヤーはあくまで子供の立場であらゆることを見聞きする。大人の理不尽さ、常識に縛られた大人の弱さや脆さなどを子供の目線でみることができるというわけです。なのでプレイヤーが子供ならネスたちと同じ目線で楽しむことができるし、大人なら子供の時に感じた気持ちを思い出しながら懐かしい気持ちでプレイすることができます。
■現代が舞台のRPG
本作も多くのRPGと同じように世界各地にあるパワースポットを巡ったり、街で発生するトラブルを解消したりしながら最終目標に向かって話を進めていきます。
RPGといえば中世ファンタジーが王道ですが、本作は架空の現代が舞台になっているので、回復アイテムや装備品などが身近にあるものになっています。回復アイテムは主に食べ物。ハンバーガーやサンドウィッチとかを持ち歩きながら冒険するってちょっとワクワクしますよね。トッピングとの食べあわせで回復量が変化する点もリアルで思わず納得してしまいます。
■ドラムカウンターの臨場感
戦闘はシンボルエンカウントで、敵に後ろから接触されると先制攻撃をとられてしまいます。戦闘はターン制。一見シンプルに見えますが、この戦闘が実に独特です。
ターン制バトルといえば王道中の王道ですが、本作ではHPとPP(サイコポイント)にドラム式カウンターが使われていることで臨場感がプラスされています。HPが0になる攻撃を食らったとしても、ドラムが回転しきって0になる前に回復をする、または戦闘が終了すれば戦闘不能になることはありません。モンスターの自爆に巻き込まれてオーバーキルな攻撃を食らっても、そこで戦闘が終わればそれ以上ドラムが回転せず戦闘が終了します。ありがたい!
■厳しい戦闘をこなしていくと・・・
キャラクターには「ガッツ」値があり、ガッツが発動すると残りHP以上の攻撃を食らってもHPが1で戦闘不能を免れる場合があります。本作は新しい土地に行くとわりと簡単に戦闘不能の陥るのでガッツは大事です。筆者がプレイする限り、本作はほんとうによく戦闘不能になります(笑)
ただし戦闘不能になった際に「ゲームを続ける」を選択すると、稼いだ経験値や使ったアイテムはそのままで最後にセーブしたポイントに戻されるので、地道に戦闘を重ねればいずれ楽々と倒せるようになります。
また敵がプレイヤーより弱くなった場合には、シンボルの方からスタコラと逃げてくれます。しかもこれにぶつかると戦闘画面に切り替わることなくサクッと勝利することが可能。今まで苦労した分、きっちり返してもらうよ!とあえてぶつかりまくる鬼畜プレイを推奨します。
ちなみに、お金は戦闘終了時にゲットするのではなく、主人公のパパが主人公の口座に振り込んでくれます。なんだかんだ言ってもやっぱり子供。冒険は親の援助あってこそ、という作りに好感が持てます。主人公のママもあっさりしているようで、子供たちの冒険を影ながら支えている感じがして暖かい気持ちになります。
■VCでのプレイ感
SFC当時も若干の処理落ちが気になりましたが、VCでも複数のものが同時に動く場面では少しストレスを感じるかもしれません。ですが、これこそが完全移植の醍醐味ということでご愛嬌。
VCのゲームをGamePadでプレイすること全般に言えますが、画面をタッチ、またはZRで「VCメニュー」が表示されてしまうので、寝っころがって適当にいじっていると焦るかも。間違ってもリセットを押さないように。
ちなみに「まるごと保存」を使えばパパに電話をかけなくてもセーブすることは可能ですが、ゲームオーバーになった際にとんでもないところまで戻されてしまうので、親への連絡はこまめに取りましょう。
<総評>
・独特の温かみのあるドットもそのままに、TV画面でも、GamePadでもプレイ可能。
・子供の目線で冒険ができるので、大人も子供も楽しめます。
・現代が舞台のRPGなので、より身近な感覚で冒険ができます。
・独特のドラムカウンターシステムがターン制バトルに臨場感をプラス!
・レベルによって戦闘がかなりキツイ。けど、それを超えるとパラダイスへ…
・VCでも若干処理落ちをしますがご愛嬌。
もし、かつて子供だったあなたの身近に小さいお子さんがいるならば、本作をオススメしてみてはいかがでしょうか?その子が大きくなった時、きっとまた新鮮な気持ちでプレイができるはず。キャッチコピーが言うとおり、『MOTHER2』は誰でも、いつでも楽しめる、そんな普遍性を持ったゲームだと思います。
Wii Uバーチャルコンソール『MOTHER2 ギーグの逆襲』は、2013年3月20日~4月18日まで期間限定特別価格30円(税込)で配信中です。
(C)1994 Nintendo
(C)1994 SHIGESATO ITOI/APE inc

■著者紹介
みかめゆきよみ
ゲーム好き、日本史好きの漫画家兼フリーライター。
ゲームはジャンル問わずなんでもござれ。難しければ難しいほど燃えるドMゲーマーです。
歴史・ホラー漫画、歴史コラム、イラストなど雑多に活動しています。
サイト「車輪の真上」
http://zwei.lomo.jp/syarin/