テクニカルライターとして多方面で活躍を見せている西川善司氏ですが、もともと電気メーカーのソフトウェアプログラマとしての経歴があるそうです。現在は製品開発のコンサルタントを含め、フリーランスのテクニカルライターとして活躍しており、主にXNAやDirect X関連の業績においてマイクロソフトMVPアワードを9年連続受賞しているそうです。
■NVIDIA開催の「ミニGDC」の報告
今回の報告では、GDCに先んじて開催されたNVIDIAの主催によるGPUテクノロジ・カンファレンス(以下、GTC)の内容についても触れられました。3月24日から始まるGTCに参加するため、西川氏は16日からアメリカに入国、カリフォルニアのサンノゼに向かいました。
GTCでは、まずNVIDIAの現CEOであるジェンスン・ファン氏の基調講演が行われました。GTCはもともと、GPUを利用した汎用計算処理であるGPGPUといった技術やスーパーコンピュータに関するカンファレンスだったそうですが、「GPUの進化は止まらない」という威勢の良い基調講演は、近年、ゲームに力を入れている同社の意気込みを感じさせるものだったそうです。
Tegraを搭載したProject SHIELDといったゲーム・コンソールを製作するなど、ゲームに力を入れている同社ですが、そもそもジェンスン・ファン氏はゲームをやりたいからNVIDIAを創設したそうです。過去にはPCで『バーチャファイター』などのリッチなグラフィックのゲームを動かすことを研究していたといいます。
基調講演では、先日2月に発売された超ハイエンドの「GeForce GTX TITAN」や「不気味の谷」として知られるリアルなグラフィックがもたらす違和感などに触れられました。ファン氏によれば、GeForceのちからを結集すれば、不気味の谷を超えることは可能であり、その技術アピールのデモ動画が公開されたそうです。
YouTubeにもアップロードされている「Nvidia Face Works Tech Demo; Renders Realistic Human Faces」という動画は、南カリフォルニア大学やアクティビジョン・ブリザードも関わっているそうです。
またGTCでは、NVIDIAが開発している話題のゲーム・コンソールのProject SHIELDのお披露目も行われました。AndroidベースのProject SHIELDは、毎年リリースされるTegraと共に新製品を投入する予定だそうです。また面白かった点としては、ラジコンのヘリコプター「AR.ドローン」をProject SHIELDのパッドで動かせるデモなどもあり、ノンゲームのアプリケーションにも応用可能な部分です。
他にもValveが擁するSource EngineをLinuxのOpenGL環境に移植、GeForceを利用した円周率計算で世界記録を破るといったセッションが行われたそうです。よりゲームに関するものでは、『ボーダーランズ2』におけるPS4を先取りするGPGPUを活かしたゲーム・エフェクト表現のセッション、リアルタイムでノンリニア破壊を可能とする剛体物理シミュレーションのセッションなどが行われたそうです。
■GDCではグラフィックに関するセッションやOculus RiftやPS4の視察を
次にGDCのセッションについての報告が行われました。まず4月25日に日本でも発売する予定の『トゥームレイダー』のセッションでは、髪の毛のエフェクトのためのエンジンについて触れられました。開発元のCrystal DynamicsはAMDとコラボレーションすることで、髪の毛の一本一本を線分で表現するというリッチな毛髪グラフィックスを採用、さらに物理シミュレーションされた毛髪の半透明表現を可能にするため、順序不同でピクセルをバッファに書き込む手法を採用したそうです。この表現のためには、毛髪だけでも200MBのバッファ使用するため、PC版限定の仕様だそうです。
また話題のHMDのOculus Riftの展示を見た西川善司は、PS VitaをHMDとして扱えるアタッチメントが欲しいと述べています。コナミが以前リリースしたPSPの装着型アタッチメント「SOLID EYE とびだシッド」から着想を得て、そういったアタッチメントに加速度センサーを付ければOculus Riftのようなものができるのではないかと、西川氏は主張しています。
最後に今年発売予定のPlayStation 4のコントロールの展示についても触れました。アクションゲームが大好きな西川氏は、たびたび中央にあるホームボタンを誤操作で押してしまうそうで、新しいコントローラーも誤操作が起きやすい場所に設置されている点はなんとかならないのかと述べています。
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