筆者は「ボケ/ツッコミ」どちらかと聞かれると確実に「ツッコミ」です。というのも、ゲームやアニメなどのサブカル、音楽・芸能、最新のニュースなどなど、浅く広く知識を蓄えようと努力した結果、「どんなマニアックなネタでもアイツは拾ってツッコんでくれる!」と周囲が調子に乗り(笑)。気付けばどんな場においても「ツッコミ」のポジションなのです。本当は筆者もボケたいんだよ!でも筆者のマニアネタには誰もツッコんでくれないんだよ!(泣)
というわけで、今回プレイするのはCOLLAVIERのDSiウェア『タッチで漫才! メガミの笑壺DL』です。
2006年にPSPで発売された『メガミの笑壺』、追加要素を加えて同年にニンテンドーDSで発売された『タッチで漫才! 女神の笑壺DS』、更にそこからダウンロード用タイトルとして音声カットなどの調整が行われたのが本作です。漫才を題材にした「漫才体験シミュレーションゲーム」ということで、なんだかいろいろ想像を掻き立てさせるワケですが。とにかくやってみなければどんなゲームか全くわからない気になるタイトルだったので【そそれぽ】で特攻したいと思います!それでは、早速プレイしていきましょう。
※プレイにはニンテンドー3DSを使用しています。
※画像はiPhoneで無理矢理ニンテンドー3DS本体画面を撮影したものです。
■基本はテキストアドベンチャー
メインの「ストーリー」では、軽い・緩いノリの会話系テキストアドベンチャー形式で進行。プレイヤーは、売れない漫才コンビ「カラテスパイダー」のツッコミ担当「萬条一機(イッキ)」となり、ちょっと不思議な出来事に巻き込まれてさまざまな場所で漫才を披露することに。ストーリー会話→漫才のヒントになる(?)ネタ合わせ→漫才パートといった流れで進行していきます。
■奇想天外なストーリー
漫才コンビが芸能界で成り上がるような、ある意味『アイマス』的なストーリーを想像していたのですが、これが思っていた以上にファンタジック。封印が解けてしまった「妖怪ヘキワロ」を再び封印するために、各地の弁天様たちに質の高い「芸=漫才」を披露して奉納していくのが目的になってしまいます。
「笑いの神」によって半ば無理矢理これをやらされることになるわけですが、「笑いの神」はさまざまなツッコミのテクニック(アクションツッコミ)を主人公・イッキに伝授。果たして、イッキたち「カラテスパイダー」の2人は「妖怪ヘキワロ」封印を果たせるのでしょうか?といったストーリー。ほら、けっこうファンタジー(笑)。
■醍醐味の漫才パート
いかに的確な「ツッコミ」を入れるかが漫才成功の鍵。ネタが始まるとテキストは自動で進んでいきます。「ツッコミ」を入れるべきポイントでは、わかりやすくコマンドが表示されるものの、「セリフにツッコミ」「表情や動きにツッコミ」「イメージ内容にツッコミ」とどのツッコミを入れるのがベストか、瞬時に判断しなければなりません。的確なツッコミができないとウケが小さかったり、最悪スベってしまいます。
また、「たとえツッコミ」や「ノリツッコミ」など特殊な「アクションツッコミ」は瞬発系のミニゲームになっており、上手く成功させることができれば会場も一気に沸きます。ネタをやりきった際に、お客さんの期待値を越えていれば無事クリア。思っていたよりもスリリングです。
■第四話ぐらいからが本番
ツッコミによって会場の盛り上げ度を高めて漫才パートをクリアするのが本作の醍醐味。序盤はクリアするためのボーダーラインも低く、ツッコミどころも少なめ。ゲームのテンポやツッコミに慣れてググっと盛り上がってくるのは、第四話あたりから。ひとまず第四話を目指してゲームの性質に慣れていきましょう。一気に漫才パートでのツッコミどころややることが増えて楽しくなってきます。
また、更にストーリーを進めると同じネタでも、より難易度が高く発展した漫才を披露する場が出てきたりと、とにかく尻上がりに楽しくなってくるように仕上がっています。
■タッチ操作推奨なのかボタン操作推奨なのか
基本は両対応なのですがなんとなくはっきりしておらず、どちらがやりやすいか微妙で、どちらも中途半端に感じました。特に「アクションツッコミ」のミニゲームは、タッチ操作の方がやりやすい場合とボタン操作の方がやりやすい場合、両方が混在しているにも関わらず「瞬発系」なので持ち替えもやや困難。どちらも操作感は決して悪くないのですが、もっとシンプルにプレイしやすくできたのではないかと思いました。
■漫才パートにもう一声テンポ感が欲しい
DSiウェアでは仕様的におそらく無理なのですが、特に漫才パートのネタでは「声」が欲しいなと思いました。「噛んだことをフォロー」するなどのアクションを成功させるには、しっかりとテキストを読んで「ツッコミどころ」を見つけなければなりません。またボケのニュアンスもテキスト読みではイマイチ伝わりづらい面も感じます。ツッコミを入力するコマンドのタイミングを待たなければならないことも、ややテンポを悪くしているように感じました。
瞬発的にテンポ良くツッコミを入れたいけれど、基本的には常に表示されるテキストを熟読しなければならないので、これらすべてが「声」で耳から入ってくる情報だったらどれだけ快適なことか・・・。オリジナル版などでどういう仕様だったのかちょっとわからないのですが、漫才パートだけでも「声」による読み上げがあればもっとテンポの良いゲームになったのではないかと思いました。
■総評:変わり種のテキストアドベンチャー
「漫才体験シミュレーションゲーム」というジャンルになっていますが、基本はテキストアドベンチャー。そこに「漫才アクションゲーム」が加わることで独得の雰囲気を出しています。漫才パートにおける「ツッコミ」は上手く決まればなかなか爽快で、「アクションツッコミ」のミニゲームでも瞬発系ならではの「焦る面白さ」もしっかり感じることができました。各ミニゲームのチュートリアルも親切でしっかりしています。
思いっきりぶっ飛んだゲームを想像していたのですが、思ったよりも無難なゲームにまとまっている印象を受けました。個人的にはストーリー全体よりも「漫才パート」が非常に魅力的に感じたので、テキストパートをスキップして漫才がすぐできる仕様もナイスです。ただ、漫才そのものにもっともっとバリエーションも欲しかったです。
【こんな人にオススメ】
・瞬発系ミニゲームが好きな人
・シュールな世界観がツボな人
・テキストアドベンチャーが好きな人(ただし恋愛要素なし)
逆に言うと無難に、真面目にまとまっていたことは残念なポイント。しっかり楽しめる内容のコストパフォーマンスの良いゲームに仕上がっているのですが、より突き抜けた「漫才パート」にこだわったエッジの利いた続編に期待しています!
【そそれぽ】第68回、いかがでしたでしょうか?気付けば5月も半ば過ぎ。まだ明るいと思ったら18時で、もう明るいと思ったら朝の4時。時間と体調の管理はしっかりします、はい。次回もどうぞお楽しみに!
『タッチで漫才! メガミの笑壺DL』は、好評配信中で価格は500DSiポイント(500円)です。
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津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ
愛内里菜らに楽曲提供をし、VOCALOID音楽のクリエイターとしても有名な作・編曲家。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略SLGから格ゲーまで、幅広いジャンルのゲームをプレイする。
Twitter:@sososo291
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