汚名を着せられる確たる証拠がないにもかかわらず、世の一部の認識として暴力を扱うメディア側へのネガティブなイメージがあるのも事実と言えるでしょう。バイオレンスやスプラッターを盛り込んだビデオゲームにもこのような一部の否定的な視線が向けられていますが、しかしながら先頃発表された米ペンシルベニア州立大学・Eric Charles氏の研究チームの報告では、この否定的なイメージに一石を投じる調査結果が提出されたことを海外メディアのPacific Standardが報じています。
意外なことに、この研究ではなんとゲーム機のコントローラが鍵を握ることになりました。87名の大学生が参加した実験で、暴力的な格闘技ゲーム(実験では『ソウルキャリバー』と『Punch-Out!!』)をゲーム機付属のアナログコントローラでプレイした直後は僅かながら精神面での攻撃性が増す傾向が出たものの、一方でWiiコントローラやPlayStation Move、Kinectなどの「モーションキャプチャーコントローラ(motion-capture controls)」を使ってプレイした者には全く攻撃性の増加は認められず、非格闘技ゲーム(実験では『レゴ インディ・ジョーンズ オリジナルアドベンチャー(Lego Indiana Jones)』)をプレイした者と同じほぼ精神状態であるという結論が導き出されました。
この実験結果を裏付ける次のステップとなる研究も現在進められていますが、考えられる説明として、Wiiリモコンなどのモーションキャプチャーコントローラを使ったプレイはカタルシス(精神浄化作用)を経験しやすく、肉体的な消耗も伴うためにプレイ後には攻撃性が内面に溜まらずに発散、解消されるのではないか、という仮説が挙げられています。
加えて「暴力的なゲームと攻撃性の関係は、人々のほとんどが考えるよりもはるかに気まぐれで泡沫的な現象なのかもしれません」と、Charles氏は述べています。テクノロジーの進化のおかげで、格闘技ゲームに着せられた一部の偏見が拭い去られる日はそう遠くないのかもしれません。
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