まずグレイ氏が強調したのが、自由なUIカスタマイズです。ウィンドウやタブの配置などをドラッグ&ドロップで組み替えられ、業務内容や好みに応じて自由にUIをカスタマイズできます。これを可能にしたのが、ゼロから作り直されたエンジンだということ。日本語化も粛々と進行中だと報告されました。
続いて新機能「ブループリント」の紹介に移りました。ゲームのイベントやオブジェクトのビヘイビアなどをGUIベースで設定できるというもので、「3」におけるキスメットの拡張版にあたる機能です。ただしキスメットがステージベースで設定されていたのに対して、ブループリントではオブジェクトベースで設定できます。これによりイベント用スクリプトというより、簡易ビジュアル言語なみの作り込みが可能になりました。
なお、複雑なロジックが組めるようになればなるほど、バグの温床になってしまいます。ブループリントではデバック機能も充実しており、ロジックの流れをアニメーションで再生。ブレイクポイントやステップ実行機能も有しており、よりロジックエラーが検証しやすくなっていることも、あわせて紹介されました。
またグレイ氏はブループリントの拡張機能として、オブジェクトをパラメータ設定で等間隔に配置したり、オブジェクトの数を変えたりすることもできる様をデモしました。「これはステージ上にオブジェクトを、いわばプロシージャル的に配置できる機能です。次世代機ではオープンフィールド型のゲームが増加することが予想されますが、この機能を使えば大量の建造物を、美麗に配置させられます」(グレイ氏)。スクリプトをエディタ内でコンパイルすることもでき、調整の結果をすぐに確認することもできます。
ブループリントを使えば、簡単なゲームを作ることも可能です。会場でもグレイ氏から、簡単なシューティングゲームのデモが紹介され、リアルタイムに調整が反映される様なども披露されました。これによりラピッドプロトタイピングにも最適であるとアピールされました。この点もゲームデザイナーには嬉しい点でしょう。
もちろんビジュアル面での強化も重要ポイントで、IESライティングプロファイルの使用や、物理ベースのマテリアル表現もサポート。複数のマテリアルレイヤを切り替えて色彩設定をすることもできます。これによりステージ上のロボットの胴体部分の色だけを変える、といった複雑な色彩設定もエディタ上だけで完結させられます。パーティクルエフェクトでは、それぞれの粒子に当たり判定をつけることもできるとして、ロボットの上に大量のパーティクルを降らせ、反射させるデモも披露されました。
なお、余談ながら本講演は直前になって急遽デモ用のデスクトップPCがクラッシュしたため、サブのノートPC上でデモを交えながら行われました。フルディスプレイサイズでのリアルタイムデモ映像でカクカクしたり、シーンデータの読み込みに時間がかかったりと、実作業には厳しいレベルでしたが、デモ自体はなんとか完走。デモ機のGPUは不明でしたが、CPUはインテル CORE-i7 3610QM 2.30GHzで、メモリは16GBを搭載しており、実売値は16-7万円といったところだと思われます。
いずれにせよノートPCでアンリアルエンジン4が実行できてしまう点がびっくりです。次世代の足音がいよいよ近づいてきたといえそうです。