文化庁メディア芸術祭は、アート・エンターテインメント・アニメーション・マンガのメディア芸術4分野で、全世界から作品を公募して顕彰すると共に、受賞作品の鑑賞機会を提供する総合フェスティバルです。今年度は世界83カ国・地域から2347作品が寄せられ、作品数で24%増となりました。そこから各部門で大賞1作品、優秀賞4作品、新人賞3作品が、それぞれ受賞しています。ゲームはエンターテインメント部門に含まれ、過去に『Wii Sports』(第11回)が大賞を受賞するなど、さまざまな作品が受賞しています。
エンターテインメント部門はしばしば「その他」部門と関係者が語るように、他の領域に収まらない雑多な作品群が魅力で、ゲームをはじめウェブ、ガジェット、ミュージックビデオ、広告、特殊効果などが含まれます。その中でも今年度は、F1ドライバーの故アイルトン・セナの走行データをもとに、光と音で走行を再現した「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」が大賞に輝きました。同作品はウェブ上で公開されています。
■http://www.honda.co.jp/internavi-dots/dots-lab/senna1989/
またゲームおよび隣接作品としては、キネクトを利用してランナーの動きを記録し、壁に投影して対戦できるインスタレーション『スポーツタイムマシン』が優秀賞に輝きました。箱の回転と変形を利用してゴールをめざす『TorqueL prototype 2013.03 @ E3』は新人賞を受賞。このほか『東北ITコンセプト 福島ゲームジャム』「龍が如く5 夢、叶えし者』『BADLAND」『rain』『Snake the Planet!』『STEAM RAGE』などが審査委員会推薦作品を受賞しています。
贈呈式で荒木氏は「本日はこのような名誉ある賞をいただき心から感謝します。連載をさせていただいている集英社のウルトラジャンプ編集部に感謝します。最初にジョジョの奇妙な冒険連載を採用していただいた週刊少年ジャンプ編集部に感謝します。それからうちの仕事場のスタッフに感謝します。今後もこの賞をはげみに、より一層良い作品を描けるように努力しますので、よろしくお願いします」とコメントしました。
また「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」プロジェクトを主導した電通クリエーティブ・テクノロジストの菅野薫氏は「70名以上に及ぶ制作スタッフみんなの受賞だと思っています。またエンジニアリングに変わらぬ価値を見いだし、我々の壮大なプロジェクトアイディアに対して快く受け止めてくださった本田技研工業様、そして24年ぶりにホンダと共にポールポジションに立つことができたアイルトン・セナにこの賞を捧げたいと思います」とコメントしました。
また同日は関係者向けの内覧会も行われました。展示会場は延べ床面積が第16回と同じ約2000平米ながら、壁類を一切とりはらい、展示場全体を一望できる構成が特徴です。天井には中央に向かって格子状に垂れ下がった糸がはりめぐらされ、さながらネットワークの象徴といったところ。会場奥の通路には審査委員会推薦作品を中心に、動画やゲーム機、ノートPCによる作品出展が行われていました。普段は自分の専門分野しか注目しないという人も、否が応でも他の作品が視野に入ってくるため、さまざまな気づきがあったようです。
このうちゲーム関係では『TorqueL』『龍が如く5 夢、叶えし者』『BADLAND』『rain』が実機展示されており、中でも『TorqueL』の展示コーナーでは、開発中のPS VITAバージョンがプレイアブル出展。トリッキーながら間口が広い内容に、多くの参加者が楽しむ姿が見受けられました。作者のなんも(柳原隆之)氏の直筆メッセージが記された感想ノートもあり、なんも氏は「せっかくだからロケテしてやろうと。ぜひプレイした感想を記してください」と話していました。なお本作はプロトタイプ版がこちらからダウンロードできます。
■http://www.playism.jp/games/torquel/
また『スポーツタイムマシン』は国立新美術館を飛び出し、東京ミッドタウン(ガレリア地下1階 アトリウム/コートヤード)で体験展示が行われるとのこと。制作者の犬飼博士氏は贈呈式に設営準備にと忙しい様子でした。『東北ITコンセプト 福島ゲームジャム』では2月8日・9日に制作ワークショップと成果発表会が開催されます。2月15日にはなんも氏による「ゲームが分からない人のためのワークショップ」も開催。これ以外にも約60件の関連イベントやワークショップが予定されています。
今年のメディア芸術祭には幾つか特徴的なキーワードがあり、「データの収集と活用」はその一つです。「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」はF1の走行データの再利用ですし、キャプチャデータの活用という意味では『スポーツタイムマシン』も同様です。同じ文脈の作品はアート部門にも見られました。また『福島ゲームジャム』のように、作品ではなく、それを生み出す環境や仕組み作りに対して顕彰された点も、メディア芸術の捉え方や、賞の広がりを感じさせました。
一方でゲームやエンタテインメントが「アート(芸術)」の文脈で権威づけられることに、違和感を感じる人がいるかもしれません。実際に「表象されるのは嬉しいが、アートを作っているつもりはない・・・」と首をかしげるクリエイターも例年、少なくないと言います。とはいえ、ある創作物をアートと見なすか否かは、作者の意図を越えて周囲が勝手に決めることです。制作者も斜に構えることなく、文化芸術に代表される社会的枠組みとの接点を見いだしていくことも、ゲームの社会的受容の促進には必要でしょう。
会場では「ゲームはこれまで、ゲームユーザーしか相手にしてこなかったため、かえって市場を狭めてしまった」という声も聞かれました。現代アートではアーティストや市民などとの協働で、アートを媒介にコミュニティの問題解決や価値創造をめざす「コミュニティアート」が注目されていますが、これはゲームが対戦・協力プレイなどで古くから行ってきたことです。こうしたゲーム外の動きに、あまりに無自覚だったのも事実ではないでしょうか。本芸術祭もまた、ゲームが社会に対してどのような貢献ができるか、改めて見直す良いチャンスになっていると言えそうです。
文化庁メディア芸術祭は2月5日から2月16日まで国立新美術館を中心に受賞作品展が開催されます。
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