黄氏は埼玉県・大宮生まれの台湾人。10歳の頃に台湾に戻るまで、幼少期からファミコンで『スーパーマリオ』『ロックマン』『くにおくん』といったゲームに親しんで育ったそうです。すっかりゲームに魅せられた黄氏ですが、当時の台湾では今よりも更にPCゲームがメインの市場で、成人しゲーム開発の道に進もうとも、ファミコンのような家庭用ゲームを手掛ける会社は皆無だったそうです。
「私にとっては、十字キーとABボタンで遊ぶゲームが全て。それならいっそ、ゲームの聖地とも言うべき日本に行こうじゃないか」と単身で日本に戻り、ゲーム会社で5年間、プログラムの経験を積んだそうです。そして2011年にフライハイワークスを設立。日本国籍も同時に取得したといいます。
折しも、家庭用ゲームの世界でもソニー・コンピューターエンタテインメントが台北ゲームショウに大々的に出展し、サードパーティタイトルのローカライズを行うようになるなど、台湾・香港といった繁体字圏の市場が注目されるようになってきました。そこでフライハイワークスは日本と台湾の架け橋となる"丸投げできるローカライズ会社"として事業を開始します。
徐々に実績を積み、2012年よりゲームのパブリッシング事業を開始します。取り扱うタイトルは台湾など海外で作られているタイトルが基本。例えば"自信作の1つ"と振り返る『ガンマンストーリー』はスウェーデンのインディーデベロッパーHorberg Productionsが開発した『Gunman Clive』をローカライズした作品。10歳まで日本に居て、日本の文化に親しんだ黄氏ならではの深いローカライズが特色となります。
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また、例えばiPhoneで配信されているようなタイトルを3DSに移植して配信することもあるそうです。『魔女と勇者』は元々は日本の個人デベロッパーがiPhoneで配信して人気を博したタイトルですが、フライハイワークスが3DSに最適化を行い配信したものです。間口は広がったとはいえ、家庭用ゲーム機で配信するというのは依然としてハードルが高い行為。デベロッパーとパブリッシャーでWin-Winの取り組みと言えそうです。
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フライハイワークスが配信対象とするのは日本国内のみに限りません。昨年9月に日本で配信開始された『ブランチ☆パニック!』は、10月に米国で『Brunch Panic』として、同じく10月には『邦早午餐』として台湾・香港の、それぞれeShopで配信されました。特に繁体字にローカライズされる、しかもダウンロードゲームは非常に稀だということで、現地でも高い支持を集めたということです。
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2014年は新たに参入を予定しているWii Uを含めて、10タイトル程度の発売を予定しているというフライハイワークス。Wii Uに関しては「欧米ではインディーズも含めて、非常に沢山のタイトルがあるので、良いものを沢山紹介していきたい」と強調。『Knytt Underground』『Armillo』『GIANA SISTERS TWISTED DREAMS』といったインディーズのタイトルをローカライズして提供していくとのこと。
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どれも黄氏が遊んで確信を持ったタイトルだということですが、特に『Knytt Underground』は期待して欲しいゲームのようです。「画面は凄く地味なんですが、遊んでいると気付けば2時間没頭してしまうような、そんなゲームです」と評していました。それぞれ黄氏の手で入念なローカライズが施されたものになるとのこと。初のWii Uタイトルということもあって準備に時間をかけているようですが、5,6,7月頃には発売できるのではないかとのことでした。
精力的にゲームをリリースしているフライハイワークス。今後の作品にも期待です。