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まさかここまで丁寧に作り込まれているとは!というわけで、前作との違いも含めてレビューしていきます。
■派生作品まで完全網羅
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まず筆者が購入に至った決め手は『ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト(以下ミスクエ)』の楽曲がデフォルトで収録されると知ったからです。ええ、若い方はご存知ないでしょう…かつてアメリカ向けに開発され逆輸入された『FF』があったことを…! バトル曲を手がけた笹井隆司氏はGB『時空の覇者 SA・GA3』やSFC『ルドラ秘宝』などの楽曲も手がけており、筆者は『ミスクエ』発売当時から笹井氏の楽曲の大ファンなのであります。まだ聞いたことのない方はぜひ公式サイトの視聴から『バトル1』を聞いていただきたい!「うそ…このザコ曲ガチすぎ…!?」と叫ばずにはいられない曲調にちびりそうになりますから。
また、iOS版で単曲販売された『FFT』もデフォルトで収録されており、カーソルが『FFT』に合わさるたび「Trisection」が流れてテンションがあがります。マップを360度ぐりぐり回すSE脳内再生余裕です!
前置きが長くなりましたが筆者個人としては『ミスクエ』は半ば諦めていたので感動もひとしおでした。人それぞれ思い入れの深い『FF』があると思いますが、その全て補完してくれるラインナップになっているといえるでしょう。逆に最新作『FFXIV』から入った人も本作をプレイして、楽曲が気に入ったタイトルを遡って遊んでみてはいかがでしょうか?
■リズムゲーム+RPGの絶妙なバランス
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前置きでうっかり忘れていましたが、本作の概要をざっくり説明すると『FF』の楽曲で遊ぶリズムアクションゲームです。ライン上に流れる3種類のトリガーをリズムに合わせて操作して高得点を狙います。単なるリズムゲームではなく、RPG要素が盛り込まれているところが『FF』らしいポイント。失敗するとHPが減って最悪ゲームオーバーになりますが、キャラクターのHPを強化したりアビリティで補完したりアイテムで回復したりとさまざまな方法を使ってクリアすることが可能なので、リズムゲームが苦手な人でも楽しむことができます。なにより思い入れのある曲で遊べるのが一番うれしいところですね。
■楽曲数が半端じゃない!
前作との違いといえば収録楽曲数。なんとその数221曲!!全てプレイするだけで相当時間かかります!
楽曲は一番最初に任意で選んだ4人のキャラクターのタイトルがまず解放され、数曲プレイしたのちに一気に解放されます。前作同様「BMS 」「FMS 」「EMS」の3ステージが用意されていますが、「EMS」だけはリズポを貯めることで徐々に解放されていきます。前作で「EMS」だった楽曲が本作では「FMS 」になっていたりするので、前作とかぶっている楽曲も新しい気持ちでプレイすることができました。
追加コンテンツも既に数曲アップされていますが、元から収録されている曲を一通りプレイするだけでも十分楽しめる内容。どれから攻略すべきか悩みます。
■片手操作もOK!
本作ではタッチペン操作だけではなく、各ボタン+スライドパッドを使った「ボタンスタイル」とLボタン+スライドパッドの「ワンハンドスタイル」が採用され、さまざまなシーンでプレイすることが可能になっています。これなら電車の中でタッチペン操作して隣の人にうざがられる心配もありません(経験済み)。
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リザルト画面右下にはどのプレイスタイルでクリアしたか表示されます。
本作を極めた最終形態は「ワンハンドスタイル」で寛ぎながら「究極の譜面」をクリアすることだと思います。腕に自信のある方は試してみてください。
■効率よくキャラクター育成
前作ではクリスタル集めに難儀した印象があったのですが、本作ではリズポを貯めると一定のポイントごとにクリスタルが解放され、コンスタントにキャラクターが増えていきます。解放できるキャラクターも任意で選べるので好きなナンバリングのキャラクターをサクサクと揃えることが可能です。
また、プレイする楽曲と同じシリーズのキャラクターをパーティに入れると、「シリーズのキャラクターボーナス」が手に入るので、新しいキャラが追加されたらそのシリーズの楽曲をプレイしてレベルをあげつつリズポを稼ぎ、次のキャラクターを解放していく…という効率の良いプレイが可能です。この流れは前作よりもかなりスムーズになったという印象が強く、好きなタイトルのキャラクターをサクッと集めることができました。
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4つの心集結!キャラクターが増えて原作の再現も可能です!
■カードで強化
更に前作から変更された部分はコレカでキャラクターのステータス強化が可能になった点。コレカは宝箱から入手できるキャラクターカードのことで、前作では閲覧するだけでした。SNSのカードゲームではもはや定番であるカードを使った強化ですが、リズムゲームにこのシステムを採用するとはまさに目からウロコ。ただのコレクション要素だったコレカ集めにも力が入ります。
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カブったカードも有効活用!
■闇の楽譜が進化
また、本作で追加された「クエストモード」は混沌の地図に記されたクエストを進め、最終的にボスを倒してクリスタルの欠片を手に入れていくというシステム。「クエストモード」を進めればキャラクターをさらに効率よく追加していくことが可能です。こちらは前作の「闇の神殿」を発展させたバージョンという感じ。クリアした混沌の地図はすれちがい通信で他のプレイヤーに配布することも可能です。
進む道によってさまざまな仕掛けがあるので、1つの地図で何度も楽しむことが可能。ただしロングクエストはけっこうな数のクエストがあるので、地図をみただけでげっそりしてしまうかも。そういう人の救済策として用意されているのが「飛空艇チケット」。これを使うとクエストをすっとばしてボスに挑むことが可能です。購入はゲームコインというところも良心的でうれしいですね。
■地味に手が込んでいるんです
その他気になった点は地味なところのこだわり。そのひとつがコンフィグの「タッチ成功音」。これはトリガータッチが成功した時の音を別の音に変えたり音量を設定することができる機能。成功音は各シリーズのSEが採用されており、リズポが貯まるとすこしずつ解放されていきます。しかもミュージックステージのトリガーごとに変えられるという徹底ぶり。試しに全てのトリガーを『FFV』の白魔法発動音に設定してみたら、成功するたびに「プルルルン!」という音が鳴って気が散りまくり(笑)。「究極の譜面」もマスターしてしまった人は気の抜ける成功音に設定して一味ちがった雰囲気で遊ぶのもありかもしれません。
また、「FMS 」の背景の書き込みも細かい!『DDFF』ならストーリーモードのフィールドにある「ダンジョンのひずみ」があったり、『FFV』の第三世界なら無に飲まれた空間があったり、ファンなら「わかる」ネタが随所にちりばめられています。また、本作から「FMS 」の飛空艇曲では飛空艇が登場。ナンバリングごとのデザインになっていて芸が細かいです!
そのほかにもお気に入り楽曲のみでソートしたり、クイックスタートへ登録して起動後すぐに楽曲にアクセスしたりと、楽曲へのアクセス方法が増えているのが地味に便利。またリザルト画面などで画面右上のカメラアイコンをタッチすると画面キャプチャをすることも可能。本記事にもキャプチャ機能を使った画像を使用しました。
<総評>
・ナンバリングから派生作品まで網羅。
・楽曲は221曲!かなりのボリューム!
・リズムゲーム+RPGの絶妙なバランス。キャラクターを強化することでクリアも可能なのでリズムゲーム苦手な人でもクリア可能
・タッチペン操作、ボタン操作、片手操作もOK!お好みで
・コンスタントにキャラクターが増える!効率よく育成も可能
・コレカを使ってキャラクターのステータス強化。かぶったコレカを有効的に使うことが可能に
・クエストモードは飛空艇チケットを使ってサクッと攻略も可能!
・ただ楽曲が増えただけではない!細かいところにこだわりがある!
前作でがっつり『FF』充したつもりでいたのに、まだまだ足りなかったなんて…! 本作のバトル曲にテンションを高ぶらせ、フィールド曲に想いを馳せ、そしてイベントムービーで涙腺崩壊をし、とにかく一つ一つの楽曲にあらゆる感情を揺さぶられました。『FF』のこれまでとこれからが詰まった1本。買ってソンはありません。
また、『ロマンシング サ・ガ』シリーズからも『下水道』&『四魔貴族バトル1』がDLCとして配信される予定なので、『ロマサガ』シリーズファンも必携ですね。
『シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール』はパッケージ版5,800(税抜)、ダウンロード版4,444(税抜)で発売中です。
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■著者紹介
みかめゆきよみ
ゲーム好き、日本史好きの漫画家兼フリーライター。
ゲームはジャンル問わずなんでもござれ。難しければ難しいほど燃えるドMゲーマーです。
歴史・ホラー漫画、歴史コラム、イラストなど雑多に活動しています。
サイト「車輪の真上」
http://zwei.lomo.jp/syarin/