宮崎氏によれば本作の企画が始まったのは2012年。ソニーから次世代機向けの新作を打診され、提案したのが『ブラッドボーン』だったそうです。全く新しいゲームを作ろうと構想段階から話し合いが行われ、以外にも『ダークソウル』の続編という案は一切検討されなかったそうです。全くのオリジナルゲームながら、『ダークソウル』を手がけた宮崎氏とフロム・ソフトウェアの名声は欧米でも高まっており、ソニーのメディアブリーフィングでは「Hidetaka Miyazaki」という名前がスクリーンに映しだされただけで、その日最大の歓声が上がったほどです。
■『ブラッドボーン』の3つのテーマ
宮崎氏はまず本作の3つのテーマを紹介しました。
1つは「未知の探索」です。これはゲーム性に限ったものではなく、世界観や物語においてもミステリアスで謎に満ちた世界であるという事も含めたゲーム全体の概念です。ゲーム性に対峙し、攻略法を編み出し、キャラメイクを試行錯誤してゲームに挑戦。そして世界観や物語の面でも探索しながら手探りで導き出していく、というのがコンセプトになります。
2つ目は「バトルの死闘感」です。『ダークソウル』と同じく、バトルは死と隣り合わせです。演出面では、インタラクションを駆使し、敵がより恐ろしく感じられ、死闘を乗り越えた勝利の喜びを感じられるような演出に注力。ゲーム性の部分では、『デモンズソウル』のような剣と盾の受動的なスタイルから、ギミックウエポンと銃で積極的に戦っていく能動的なスタイルへと変わっています。
最後は「オンライン」です。こちらは『デモンズソウル』のようなユニークなオンライン体験を導入しているということですが、今回は詳細はなく続報を待って欲しいとのこと。
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■血飛沫弾ける死闘を乗り越えて
ここからは実機を使ったデモプレイが行われました。宮崎氏は「まだアルファ版なので」と断りながらも、公開されているトレイラーと同じクオリティで世界が実際に動いており、PS4のハード性能を活かした世界を堪能できそうでした。
本作の舞台となるのは「古都ヤーナム」。基本的にはこの街がゲームの主な舞台だとのことですが、非常に大きな街で様々なシチュエーションが描かれるそう。建物はゴシックとビクトリアのモチーフで、重層的な世界観を目指したとのこと。ヤーナムには土着の風土病として人間が獣になってしまう病があり、そうした獣を狩る獣狩が定期的に行われているとのこと。しかし、狩る側も獣病にかかりつつあり、ミイラ取りがミイラ、というかなり街は荒廃した状況になっているそうです。獣狩の最中にはまともな一般市民は家に篭っているため、「味方は基本的にはいない、孤独感が強い」(宮崎氏)というなかなか素敵な状況。
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ゴシックとビクトリアな世界観が描かれている |
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獣狩の群れ |
武器は右手にギミック武器、左手に銃というのは基本的なスタイル。デモプレイでは変形するノコギリと銃という組み合わせ。どちらも近接戦闘を意識したもので、ゲーム自体も近接戦闘がメインになるようです。獣狩の隊列に近づくと襲われ、攻撃を避けながらノコギリや銃をブチかますイメージ。死闘感溢れるだけあって、敵の攻撃はかなり強力で、血飛沫が飛びますので、上手く避ける必要もあります。が、宮崎氏も言うように「積極的な戦いが鍵」ということもあって、消極的ではなく、前に出ていくスタイルで、スピーディで速く激しい戦いが行われていました。
ギミック武器は変形していきます。デモでも変形して伸びる様子が見られ、折りたたみ式のノコギリだったようです。一本の武器は様々な変形機構があり、それをどうカスタマイズして使っていくかがゲーム攻略の鍵となるとりこと。「"ギミック"というと日本語では軽いイメージですが、英語ではそうではありません」と英語のスタッフから補足も。
デモではボスとして「聖者の獣」が登場。でっかくて機敏で、攻撃は重い。まさに死闘感を表現してくれていました。筆者からすると「倒すのは無理じゃない?」というような強さを見せつけていたのですが「プレイヤーにも武器はたっぷりあるので十分に戦えます」(宮崎氏)とのこと。ここでも積極的で激しいプレイが観られました。ちなみに、ボスに至るまでの過程でNPCを助けられるようなシチュエーションがあったのですが、助けていれば助太刀をしてくれるそうです。
先日、フロム・ソフトウェアの社長に就任した宮崎氏。その事に付いて問われると「ゲームに対する関わり方は変わっていませんし、自身が現場を離れないというのは社長になる前提でした。社長業をやりながらディレクターをやっていますが、どちらをサボるかといえば社長業かなと思っています(笑)」とコメント。本作に対する思い入れは変わらず、心配無用との回答でした。
『ブラッドボーン』はプレイステーション4で2015年春の発売予定。