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同人活動と商行為の境界線とは? ニトロプラスの著作物転載ガイドラインで振り返る二次創作暗黙の了解

同人誌をはじめとする同人活動は応援するけど、度をすぎた利益追求は許可できない――いったいどこまでがセーフでどこまでがアウトなのか? 信頼やモラルという曖昧で危ういものを前提にして初めて成り立つ、二次創作のあり方をふりかえります。

その他 全般
2014年6月2日付けでニトロプラスの公式HPに掲載された「ニトロプラスの著作物転載ガイドライン」が「ファンの同人活動を締め付ける目的のものではないか?」と一部のファンたちの間で話題になりました。誤解を招かぬよう結論から書きますとニトロプラスにそのような意思はまったくなく、7月9日付けで「弊社では同人誌等の活動を含め、ファンの方による二次創作活動を積極的に応援しております」などの言葉とともにガイドラインの一部変更がなされました。

その真摯な姿勢は、ここで言葉をつくすより同社のHPを実際にご覧いただくのが一番かと思います。では、このガイドラインの狙いはどこにあったのでしょうか。それは同人活動の締めつけではなく、同人活動というより商行為に近い、“いきすぎた二次創作”を抑止することにあったのです。

◆暗黙の了解で初めて成り立つ二次創作


ニトロプラスの作品ではないことをあらかじめ明記しておきますが、たとえば他社のとある作品では、著作者であるメーカーから警告されてなお、二次創作グッズを作ってはネットを介して販売するという困った行為を繰り返す人が見られたりします。

また、別のとあるゲームでは、あるユーザーが自身のアップロードしたプレイ動画が削除された理由をメーカーに問いただしてしまったばかりに、それまで黙認していたほかのプレイ動画もあわや一律でNGに……などという出来事も見られたりしました。

「他者の著作物を著作者に無断で利用する行為は著作権違反である」、「ただし、作品のファンが楽しむためにやっている同人活動を邪魔したくはない(むしろ歓迎したいと思っていることもある)ので、著作者は黙認している」。ゲームやアニメ、マンガに対する二次創作は、このような暗黙の了解の上に成り立っています。

著作者――メーカーや制作会社など――が曖昧な物言いをするのはこのためで、「白黒を明確にしなければならないなら、白(問題なし)という答えはありえない」……というのが二次創作による同人活動であり、それゆえの黙認であるわけです。

◆セーフかアウトか? ファン1人1人の認識と判断力がカギ


営利目的は御法度とはいっても、二次創作物を制作・頒布するうえでかかったコストを回収するくらいなら目くじらを立てる著作者はほとんどいないと思われます。二次創作物の内容次第ではこのかぎりではありませんが、それならばどこまでがセーフでどこからがアウトなのか……という境界線も不明瞭なまま。二次創作は基本的にファンのモラルが頼り、という危うさの上になりたっています。

ここまで読んでいただいて「今さらなにを言っているんだろう」と思われる賢明な方も多くおられることと思います。ですが、この暗黙の了解を知らないがゆえに一線を踏み越えてしまう若いファンが時おり見られてしまうのもまた事実。そのことによる悲劇が一件でも減ればと、あらためてまとめてみました。

著作物、著作権とはなんなのか、そして他者の著作物を使用して二次創作をするとはどういうことなのか……同人誌、グッズや立体物の制作、はては(許可されていない)ゲームソフトのプレイ動画まで。二次創作活動やそれに準ずる行為をするときは、著作物や著作者への敬意を忘れないようにしたいですね。

もし「著作権、著作物ってなんだろう?」とちょっと興味を持たれた方がおられましたら、公益社団法人著作権情報センターの著作権Q&Aなどが見やすくまとまっているのではないかと思います。

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《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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