ドベンチャーゲームは、様々な舞台や人間関係など、その方向性も実に多彩。男性のみならず女性向けのものも多くリリースされ、今や男女を問わず楽しめるジャンルへと成長しました。
そんな女性向けADVのひとつとなるPCソフト『恋の筆触分割』は、しかし実に個性的な設定で注目を集めている一作。制作は、多摩美術大学の学生が手がけています。
主人公は、フリーターをしながら美術学校への入学を目指す19歳の女の子。そんな彼女と出会うのはなんと、ゴッホやゴーギャン、ルノワールにモネなど、誰もがその名を聞いたことのある人物ばかり。ソレイユ美術アカデミーを舞台に、名だたる画家たちとの交流や悩みに向き合う主人公の姿を綴ります。
この独創的な世界に惹かれた方も多いことでしょう。本作は昨年の11月2日に発売されており、気になる方は今すぐ購入することが可能です。「ステラワース」や「K-BOOKS」にて委託販売されているほか、「DiGiket.com」にてダウンロード販売も実施されているので、店舗へ足を伸ばすもよし、DL版を購入するもよしです。本作のあらましやキャラクターたちをチェックし、この秋の夜長に楽しむ一作としてチョイスするか検討されてみてはいかがでしょうか。
■ストーリー
主人公はフリーターをしながら美術学校入学を目指している19歳の女の子。
仕事に追われる毎日で思うように受験勉強が出来ず、悩んでいた。
ある日気分転換に行ってみた『印象派・後期印象派美術』の展覧会で一枚の絵を見た途端、目がまわり、主人公は卒倒してしまった……。
目を醒ますとそこは、異世界の美術学校だった。
クラスメートはみんな、近代の名の知られた画家たちばかり。
ゴッホ、ゴーギャン、ルノワール、モネ、マネ、ドガ……。
おかしな世界に迷い込んでしまった主人公は、学園生活を送りながら元いた世界に戻る方法を探すことになる。画家たちとの交流の中で、自分の悩みにリンクするものを見つけていく主人公。果たして無事に元の世界に帰ることができるのでしょうか?
■舞台
主人公が迷い込んだのは「ソレイユ美術アカデミー」という、ヨーロッパ風の外観をした学園です。生徒たちは年に三回催されている「サロン」という展覧会への出品を目指して制作をしています。
サロンでは伝統的な作風が好まれていますが、近年は新たな表現を打ち出す学生たちも増えており、そういう新しい表現の作品はサロンでは落選されることが多くなっており疑問を抱いた生徒たちから反発が起こっています。
■印象派・筆触分割とは?
印象派とは、19世紀後半のフランスで起こった芸術運動のこと。モチーフを理想化する伝統的な様式から離れ、ありのままの姿を描写しようというのが印象派です。また、そのために用いた技術の一つが「筆触分割」でした。
絵の具は混ぜ合わせていくことで濁ってしまうという性質があります。明るい外の世界を描きたかった印象派の画家たちは、混色をせずに絵の具を置き並べました。近くで見ると様々な色の点でしかありませんが、離れて見ることにより鑑賞者の目の中で色が混ざり合い、明るい色になります。その視覚の作用を利用して、光の表現をしていました。
■主人公(デフォルトネーム:日向 葵)
絵を描くのが大好きな、美大志望の19歳。
印象派の絵が好きだが、画家たちの歴史については詳しくない。
美術アカデミーに来てからは生徒として過ごす事になり画家コースに所属する。
■フィンセント・ファン・ゴッホ
好奇心旺盛な17歳。アカデミーの好調であるテオドルスの兄。主人公と同じクラスに通っている。
所属は画商コースだが、趣味で絵を描いている。
人懐っこく明るく元気だが、悩みを抱え込んでしまいがちである。
■ポール・ゴーギャン
主人公と同じクラス。ぶっきらぼうでよく授業をさぼるが、それはかっこつけているという理由ではなく、座学では自分の求めているものの答えがでないから、らしい。
絵画には真剣。金銭面での支援を必要としている。ゴーギャンに、ゴッホ兄弟は援助をしている。
■クロード・モネ
睡蓮の庭を学校に造ってしまう行動派。陽の光が好きで、風景画をよく描き、二年生からは自分で造った庭で戸外制作に打ち込んでいる。照れ屋で恋愛に関しては完全に初心者。気取らない主人公には、他の友人と同じような感覚で接している。
■ピエール=オーギュスト・ルノワール
明るく女の子が好きな性格のため、軽いと思われがち。だが、二年生の中ではしっかりしている方。柔らかな女性の肉体を描くのが得意。モネとは学校に入る前からの友人で、女子と遊んでいない時はモネと戸外制作かアルバイトをしている。
■エドゥアール・マネ
学校内にあるカフェ「ゲルボワ」に通っている。サロンへの入選を目指し、それに固執している。何か理由があるようだが、他人には黙ったままである。俺様気質があり、主人公のことをおちょくる。女性の扱いに慣れており、どことなく危ない雰囲気を纏っている。
■エドガー・ドガ
サロンに対抗し、別の手段で自分の作品を発表しようとしている。皮肉屋で、ついつい話し合いからケンカへ発展させてしまう。その上自分に自信があるため、決して自分を曲げようとはしない。
女性の扱いは苦手なようで、複雑で面倒だと言っている。
■テオドルス・ファン・ゴッホ
フィンセントの弟であり、学校の校長である。
作品を買い上げたりと、生徒を全面的にバックアップしている。
兄のフィンセントのように、新しい表現方法の開拓に着目している。
彼自身、画商としての資格も持っており、浮世絵など自分の興味のある作品をコレクションしている。年齢以上に大人びた雰囲気を持つ。
■カミーユ・ピサロ
唯一の、主人公が異世界から来たことを知っている人物。
一緒に元の世界に帰る方法を探してくれる。また、主人公のクラスの担任でもある。
学園には問題児が多いが、困った様子は全く見せず、いつもニコニコと余裕で構えている。
新しい芸術に理解があり、様々な方法を試している。
■ベルト・モリゾ
上品かつ活発な女の子。主人公と友達になる。
周りにマイペースな人間が多いゆえに、誰よりも真面目な性格になった。
自分を律することができ、みんなを引っ張る力を持つ優等生。
ただひとつ苦手なものがあるらしい……?
マネに絵の指導をしてもらっているが、お互いの性質上もめる事がたびたびあるようだ。
■メアリー・カサット
かなりマイペースな女の子。主人公と友達になる。
趣味にどん欲で、ご飯はもりもりと食べ、描きたい時はずっと描く。
究極のマイペース人間。その性格でモリゾをよく振り回している。
また、人をからかうのも好きだったりもする。
先輩であるドガと美的感覚が似ていて、作品を見せ合ったりしている。
■製品情報
・タイトル:恋の筆触分割
・ジャンル:美術史系女性向ADV
・販売価格:イベント価格1,000円
・発売日:2013年11月2日
・対象年齢:15歳以上推奨
・制作エンジンRen'Py (http://renpy.sukebo.com/)
■動作環境(推奨)
・Windows 7以降※
・Mac 10.5以降
※XP以降のPCでは動作確認済みです。
※Windows Vistaでの動作がやや重いとの報告が来ております。お使いのPCによって動作状態が異なってまいりますのでご了承ください。
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YouTube 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=8yjol5Ec3UQ
製品版の前半部分を楽しむことができる体験版の配信も、実施されています。まずはこちらを遊んでみから、購入するかどうか考えてみるのも一興です。なお容量は、約190MBとなります。
また、既に本作をプレイ済みの方にとっても朗報となる情報がこのたび公開されました。11月1日から3日まで開催される多摩美術大学芸術祭にて、新作短編ディスク『恋筆ショートストーリーディスク(仮)』が頒布されるとのことです。『恋の筆触分割』の販売も予定されているのでファンの方だけでなく、興味を持った新規ユーザーの方もどうぞお見逃しなく。
本日多摩美構内に芸祭出展情報に関するフライヤーを貼ってきました!さりげなく新作2編のタイトルも…?!
#koihude pic.twitter.com/ZfmTe5cbc4
恋の筆触分割 (@koihude) 2014, 10月 20
他に類を見ない、個性的な切り口で恋愛模様を描くPCソフト『恋の筆触分割』。著名な巨匠達と共に、かけがえのない一時を描いてみてはいかがでしょうか。
(C)2014 恋の筆触分割製作チーム