人生にゲームをプラスするメディア

メガドライブvsスーファミ、ノンフィクション作家と元セガスタッフが語る「16bit戦争」

3月6日、米ボストンのPAX East 2015にて開催されたイベント「16-bit Battle: Sega vs. Nintendo」のレポートをお送りします。

任天堂 その他
3月6日、米ボストンのPAX East 2015にて開催されたイベント「16-bit Battle: Sega vs. Nintendo」のレポートをお送りします。

セガと任天堂のコンソール販売競争を追ったノンフィクション小説『Console Wars: Sega, Nintendo, and the Battle that Defined a Generation』の作者ブレイク・J・ハリス氏と、米セガ前マーケティングマネージャーのアル・ニルセン氏が登壇し、メガドライブ(Sega Genesis)とスーパーファミコン(Super Nintendo Entertainment System)発売当時のアメリカでセガと任天堂がどのような攻防を繰り広げていたかを語りました。



このイベントは夜9時半から11時半までというスケジュールだったにも関わらず、多くの来場者が訪れていました。ちなみに、ハリス氏の『Console Wars』は『ザ・インタビュー』のセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグによる映画化も予定されています。


ハリス氏は子供の時に家族からクリスマスプレゼントとしてメガドライブをもらってからセガのゲームに興味を持つようになり、大手書店などに映画史や音楽史のコーナーはあるのにどうしてビデオゲーム史がないのだろうと疑問に思ったことが本を書く動機になったのだそうです。


ニルセン氏は百貨店のゲームやPCのバイヤーからキャリアをスタートし、ハズブローが計画していたゲーム機「The Control-Vision」にも関わっていたそうです。会場では、1982年当時に手がけたAtari5200のパックマンをフィーチャーした米百貨店J.C.ペニーのCMが上映されました。


ハリス氏は当時のファミコンブームを伝えるニュース映像を流し、アメリカでどれくらいファミコンが大人気であったかを解説。そのファミコンブームの中、セガがいかに任天堂の牙城を崩そうか試行錯誤していたことが語られました。

1989年、スーファミに先駆けて発売された16bit機であるメガドライブ発売時のCMが上映され、「Genesis does, Nintendon’t(メガドライブはやる、任天堂はやらない)」というキャッチコピーを使った対抗心むき出しのプロモーションを行っていたことも確認できました。


そして、任天堂のマリオのように、誰もが一目でセガとわかるマスコットを作ろうという話になった際、日本から2つのデザインが送られてきて、1つはどう見ても「卵」としか言い表せないキャラクターで日本とアメリカの文化の違いに困惑したそうです。

そして、もう1つがハリネズミのキャラクター。このハリネズミのキャラクターを見たとき皆が口を揃えて「ハリネズミってなんだ?」と言ったそうです。当時は情報が発達していなかったこともあり「Hedgehog(ハリネズミ)」という言葉自体知らなかったとニルセン氏は述べていました。これは、ハリネズミがアメリカに生息していないという理由もありそうです。

卵かハリネズミのマスコットのどちらを選ぶかというときに、彼女がいるハリネズミのマスコットの方がまだマシだという判断で「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」が誕生した、という秘話が語られました。


やがて、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』はアメリカで大人気となり、メガドライブの販売台数を大きく伸ばすこととなりました。ハリス氏はこの当時の状況を、コカ・コーラ対ペプシ・コーラの関係に似ていたと比喩していました。

『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』の発売時のプロモーションは非常に大掛かりだったそうで、発売日であった1992年11月24日火曜日を「Sonic 2s day」という公的な記念日に指定してもらおうというキャンペーンも行ったそうです。当時のニュース映像が上映され、著名人を集めたプロモーション活動や、大掛かりなソフトの出荷式の様子などを見ることができました。



アメリカで大きくシェアを伸ばしたメガドライブですが、日本で伸び悩んでいた状況については、日本のマーケットがアメリカとかなり異なっていたのだとニルセン氏は語りました。

深夜まで行われたこのイベントですが、終了後も多くの来場者はハリス氏とニルセン氏を囲み、イベントでは語りつくせなかったゲーム史談義に花を咲かせていました。
《Game*Spark》
求人情報を読み込み中...
【注目の記事】[PR]
コメント欄を非表示
    ※一度コメントを投稿した後は約120秒間投稿することができません
    ※コメントを投稿する際は「利用規約」を必ずご確認ください

      編集部おすすめの記事

      任天堂 アクセスランキング

      1. 【特集】『スーパーマリオ オデッセイ』小ネタ12選!知ればマリオの旅がもっと楽しくなる!?

        【特集】『スーパーマリオ オデッセイ』小ネタ12選!知ればマリオの旅がもっと楽しくなる!?

      2. 【特集・アンケート】「『ファイアーエムブレム』あるある」10選―“鋼よりも鉄”“0%と100%しか信じない”“タイトルの表記間違いが気になる”

        【特集・アンケート】「『ファイアーエムブレム』あるある」10選―“鋼よりも鉄”“0%と100%しか信じない”“タイトルの表記間違いが気になる”

      3. 『あつまれ どうぶつの森』島の名前アイデア50選!命名に迷っている人は要チェック

        『あつまれ どうぶつの森』島の名前アイデア50選!命名に迷っている人は要チェック

      4. 『あつまれ どうぶつの森』風呂やプールに入る裏技が発見される!?いろいろな家具の中に入ってみた

      5. 『あつまれ どうぶつの森』ホラーで有名な「アイカ村」が再び夢で登場……! 恐怖の島を体験せよ

      6. 『スパロボ30』“攻略本”級の隠しデータを、突如無料公開!4月13日には最新情報の発表予告も

      7. 『遊戯王 マスターデュエル』で人気の可愛いカードは?3位「ブラマジガール」、2位「閃刀姫」、1位は貫禄の“ドヤ顔”

      8. 『ポケモン スカーレット・バイオレット』ではメガシンカが「テラスタル」として実装!? 全ポケモンが使えるタイプ強化+個体によってタイプが変わる“めざパ”的な側面も

      9. 『あつまれ どうぶつの森』定番からオンリーワンまで大集合!皆が付けた「島の名前」約60個を紹介【読者アンケート】

      10. 『モンハンライズ』で手強いモンスターは?読者が選んだ投票結果ー苦しめられたハンターの生の声をお届け

      アクセスランキングをもっと見る