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『イングレス』は京都をそして世界をつなぐのか?・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第35回

京都で開催されたDIECにて、『イングレス』を提供するナイアンティック・ラボの創業者であるジョン・ハンケ氏と、同UX/Visual Artistの川島優志氏らが集まり、世界的なムーブメントとなっている本作について語りました。

ゲームビジネス 市場

『イングレス』を開発するにあたり、まず考えたのはデバイスのユーザー動向だったとハンケ氏は当時を思い出します。スマートフォンユーザーは頻繁にアプリを切り替える傾向にあるとのこと。ゲームだけでなくソーシャルメディアを見たり、自分で使ったりということです。

したがってゲーム内でストーリーを語るよりも数多くあるSNSを使って物語を展開したらどうかという案が生まれたのです。多くのプレイヤーはLINEやFacebook、Google Hangoutsなど様々なツールを使いこなしてゲームをプレイしているのでこの重要性は実感しているだろうとハンケ氏。もちろん、ストーリーをよりわかりやすくするためにコミック、2冊の小説並びに資料集も既にリリースしており、従来の方法で物語を理解したい人もこれらを読むことでストーリーを追えるようにしたとのこと。ただ多くの人は、前述のようにインターネットやSNS上に存在する膨大な物語の断片を読み解いて『イングレス』世界の真相を解釈していくことになります。

さらに『イングレス』の物語展開で特徴的なのは、現実で開催されるリアルイベントと劇中の物語が密接に統合されている点だとハンケ氏は言います。これもゲーム開発当初からデザインしていたわけではなかったとのこと。ナイアンティック・ラボとして最初に企画したイベントは2013年1月にカホキア遺跡にて開催。参加者も本場のアメリカで開催したのにもかかわらず60名と、イベント形態も現在のそれとはまったく違がっていたとハンケ氏は当時を述懐します。ただ、だれが来るかも分からないままはじめたのにも関わらず60名ものプレイヤーが集まったことに対し非常に驚いたとハンケ氏。その結果、更に、イベントに注力していこうと決めたのです。同時に、ゲームプレイの結果に基づいてストーリーを展開させるという戦略を思い立ったのです。これは現在、『イングレス』の核心的な部分を占めるようになりました。つまり、現実で実施された主要イベントでの戦いの成果が『イングレス』のストーリー展開を左右するしくみにしたのです。

例えば現在は『Shonin~証人~』のフィナーレを迎えている最中ですが、このエピソードでは、主要登場人物のデブラ・ボグラノヴィッチ博士が焦点になっていました。今回、世界全体でレジスタンス陣営が勝利したので、今後、デブラは、レジスタンスを援助するキャラクターとなり、ゲームプレイにも影響を及ぼすことになるだろうとハンケ氏は今後のゲーム展開を示唆しました。



《中村彰憲》
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