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田中先生
第3回目の学校は、TVCM「量産機になるな。」で話題になっている東京・新宿駅西口から徒歩3分の学校法人・専門学校「HAL東京」。コナミで10年間ゲームプログラマーとして活躍していた、ゲーム学部の田中章先生にお話を伺いました。
普段からゲームをやっていなかった人ですら、今やスマートフォンでゲームを楽しむ時代。HAL東京でもスマホゲームアプリ開発の授業に力を入れているかと思いきや、軸となっているのはコンシューマー機向けの開発技術でした。これは「コンシューマー向けの開発者がスマートフォン向けアプリに流れることはあっても逆のパターンは少ない」という業界の事情を鑑みてのこと。まずは、一旦コンシューマー向けソフト開発の経験を積んでおくことが重要だとされています。
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カリキュラムは4年~5年先を見越して組まれており、時代によって変わるプラットフォームや環境に流されず開発できるよう、基礎となるプログラム言語をしっかりと身に付けていくことが重視されています。
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HALは「職業実践専門課程」の認定校。これは、全国に2,800校以上ある専門学校の中でも、企業との連携など実践的な「職業教育」を行っていると文部科学省が認めたもので、その数は全体のわずか23.9%しかなく、HALはIT・デジタルコンテンツ分野の専門学校としてもっとも多くの学科が、その初年度から「職業実践専門課程」の認定を受けています。
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ゲームの専門的な部分では、3DSやWiiといった実際のゲーム機の開発マシーンが人数分用意されており、任天堂やマイクロソフトからもサポートを受けています。これらの各種開発ツールを使った即戦力的な学びはもちろんのこと、開発環境が変わって通用するようにも基礎的な技術の習得にも注力。また、就職するための最低限の教育を行うのではなく「プロの現場で即戦力として活躍できる」ための、実践的な教育が行われているのだそうです。
■産学連携で実現したプロ仕様の実習ソフト&ハード
任天堂やマイクロソフトといった業界大手企業の協力により、ニンテンドー3DSやWii、Xbox360に使用されている実際のゲーム開発機材が授業環境に取り入れられています。この他にも「VICON モーションキャプチャーシステム」や「Autodesk Maya」といったCG開発機材なども完備されており、プロの現場で使われているものと同じソフトやハードで学習することが可能になっています。
■支えて、育てる
学生を支えるのは様々な先生達。HALでは、業界の第一線を張っていた経験豊富な担任教官や、業界の実情を把握した就職指導担任、奨学金をはじめとする学費の問題や1人暮らしでの生活面をフォローする各専任職員など、ひとりの学生を複数の先生方が応援する体制が取られています。勉強や就職のことはもちろんや学費や生活面といった悩みも学生にはつきものです。そんな悩める学生に対して、クラス担任をはじめ就職指導担任、各専任職員がそれぞれ連携して全面的にバックアップを行うという環境が整っているということです。
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専門学校は、職業に関する「実践的な教育機関」であることに対して、大学は専門分野に関する「学術的な研究機関」としての側面が強いといいます。特にHALでは、基本的な知識や技術はもちろんのこと、社会人としての気質やプロ意識を高める教育が行われており、真の意味での「即戦力」として活躍できる人材育成が行われているということです。
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今回の取材では、在校生にもお話を伺いました。気になる授業中の雰囲気を伺ったところ、まずクラスに活気があるのが何よりの特徴ということでした。グループ学習では個々人が得意とする所、あるいは苦手な部分などの個人差をチームメンバーがお互いにフォロー。自習室では、それぞれわからない部分を教え合ったりしているそうです。
もちろん、クラスメイトは全員ゲーム好き。ですが、ゲームの話ばかりをしているわけではなく、スポーツ好きという方も多くいるそうで、良く話しをしているといいます。
この学校に来ればまず「間違いない」ので、あとは自分の中で何があっても曲げないコダワリをもってください、と未来の後輩に向けてのメッセージも頂くことができました。
今から読んでおくべき本などを伺ったところ、挙げることはできものの、「できれば人からおすすめされるものより、自分で見つけた、自分が読みやすいと思った本を読んでください」とのことでした。最近出回っている入門書などは、どれをとってもそれほど書いている内容に大きな違いはないので「これを読み潰す!」と決めた本こそがベストな書籍なのだそうです。
もちろん、高校生のうちからゲームをいっぱい遊んで感性を磨いておくのも大切。スマートフォンや、ゲームセンターで遊ぶアーケードゲーム、コンシューマーゲームはもちろんのこと、ボードゲームといったアナログゲームや、鬼ごっこなどでも良いのでとにかく「遊ぶ」ことが重要だといいます。「テンションが上がる、興奮する」といった「感情の高まり」をたくさん経験することで、この感覚をゲームで表現するにはどうしたらいいだろう?という目線を若いうちから育てておくことが大切ということでした。
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ゲーム業界でも現場ではとにかく「人が足りていない」と言われていますが、教育現場からみても今年は2~3年前からは考えられなかった売り手市場の状況に。業界の需要が大きすぎるがための人材不足ですので、就職できるチャンスは大きいといいます。
とはいえ就職できない人も出てくるわけですが、そんなゲーム業界に就職できるかできないかを決めるのは「やる」か「やらない」かというシンプルなものだといいます。「やってない」人は、どれだけ頭がよく知識や技術が秀でていても就職はできないそうです。教育現場の先生や業界のプロはどちらかと言えばスキルよりも若者の「熱意」をより見ている傾向があるということで、何事にも取り組む姿勢や情熱を学生のうちから意識しておくことが重要なのだそうです。
HAL東京の昨年度卒業生の中には就職後即メジャータイトルのプログラマーとして第一線を張っている方もいるそうで、ゲーム業界における専門学校卒業生の就職の間口は確実に広まっています。そんな業界に就職するために欠かせないのは、「即戦力」としての熱意、そして学校で身に付ける「実践的な能力」です。最新の設備や業界のプロに直接学べるといった環境、そして、ただ「教える」ことだけではなく、「支えて、育てる」ことを重視している学校を選んでみてください。
■体験入学
開催日:8月22日・27日・30日
時間:13:00~16:30(受付12:30~)
スケジュール:
・13:00~13:20 学生作品見学
・13:30~15:00 体験実習
・15:00~16:30 入学相談・校舎見学会
体験実習コース:
・ゲームプログラマー
・ゲームキャラクターデザイナー
・ゲームプランナー
ほか多数
オープンキャンパスの詳細・申込みはこちら
http://www.hal.ac.jp/tokyo/apply/
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なお、この「夏のゲームスクール特集」は8月中旬まで随時更新予定。各記事は特集ページに一覧で表示されるため、各学校の記事を比較するのも面白いかもしれません。