そんなわけで、独断と偏見で乙女ゲームについて語り尽くす「オトナの乙女ゲーム道」第13回では、ここ最近に限らず色々な方面で盛り上がる「擬人化」についてお話ししてみたいと思いますので、よろしくお付き合いください。
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擬人化といえば、国を擬人化した人気アニメ&コミック「ヘタリア」をはじめ、大きな話題を集める刀の擬人化『刀剣乱舞-ONLINE-』のほか、元素や星座を擬人化した書籍「萌えて覚える」シリーズ、ゲームではハードの擬人化『超次元ゲイム ネプテューヌ』、駆逐艦や軽巡洋艦、重巡洋艦などの擬人化『艦隊これくしょん -艦これ-』、家電の擬人化『家電少女』といった美少女モノから、寿司の擬人化『へい!恋愛一丁』といったイケメンが登場するものまで幅広い展開をみせており、むしろ「擬人化されていないものなんかないんじゃ?!」という勢いですね。
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『刀剣乱舞-ONLINE-』
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『家電少女』
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『へい!恋愛一丁』
つい最近も、ネット上ではカエルやウサギなどの動物を擬人化し、儀礼や祭礼などの様子を描いたといわれる「鳥獣戯画」をもとにした「鳥獣戯画制作キット」が話題となりました。作者や作られた目的などははっきりしていませんが、古くから伝わる国宝からしてこうですから、もはや日本人の擬人化好きはDNAに刻まれているのではないかと疑いたくなるレベル。そんな擬人化の魅力はどこにあるのでしょうか。
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「鳥獣戯画制作キット」で悪ノリしてみました
いわゆる「萌え」はさておき、ある商品・サービスの紹介する際に擬人化して自分自身に魅力を説明させる、なんていうのはよくある手法ですね。人の形を取って言葉を話すことで縁のなかった分野にも親近感がわき、ぐっと身近に感じられる効果があります。デザイン面でも、人の形をしているほうが企業やサービスをイメージしやすい制服はもちろん、可愛い&カッコイイ格好もさせやすいですしね。
女性にとっては、それがイケメンであればなおのこと。鉄道の大江戸線や中央線を擬人化した「ミラクル☆トレイン」や、女子高生が突然「歯」になってしまうというトンデモ展開から始まるガムの擬人化「ガム彼」では、駅の歴史や由来、商品の特徴をユニークに解説しつつ、素敵なボイスによるトキメキも味わえるような内容になっています。
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ガム彼
私自身、ごく普通にロッテのガムを買っていたので「ガム彼」が公開された当時は「どういうことなの…?!」となりながらも「言われてみればこんなイメージあるかも」とか「こんな商品も売ってたなあ」とか、つい色々と覗いてしまいました。身近だけれどあまり意識しないものも、擬人化されると改めて興味を惹かれてしまうこともありますね。
さて、乙女ゲームではどうでしょうか。大抵の場合、乙女ゲームの攻略対象となる男性たちはイケメンだけど、何らかの厄介な「問題」を抱えていますね。モチーフこそあれ、最初から完全な「人」という扱いのケースはちょっと置いておきますが、動物などの生き物にしろ無機物にしろ、本来の性質を残したまま擬人化した場合は、この「問題」がより顕著になります。
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恋愛とは異なりますが、『刀剣乱舞』のキャラクターは自身が「刀」であるという意識をきちんと持っています
姿形こそ人と変わらなくても、これまで人と全く違う世界で生きてきたわけですから、常識も違いますし根本的に話が通じない部分も少なくないでしょう。そこを歩み寄る過程は普通の人間同士よりもややこしくなりますし、想定外のところで距離が縮まる嬉しさもあれば、「なんでこうなるの?!」と頭を抱えるような出来事もありと、一筋縄ではいきません。そして、たとえ恋人になっても「でも、この先どうなるの?ずっと一緒にいられるの?このままで平気なの?」という疑問も付きまといます。
しかし、こうしたさまざまな障害こそ、恋愛を燃え上がらせる要素。身分や出身地などでいう「住む世界が違う」よりも、もっと言葉通りの意味で違うからこそ、乗り越えた先に待つハッピーエンドがさらに盛り上がること間違いなし。逆に、最後まで結ばれない切なさや儚さに魅力を感じる方もいるでしょうし、乙女ゲームでの擬人化はなかなか相性が良いのではないでしょうか。
「ただのイケメンに興味はありません!」という方こそ、こうした擬人化モノに挑戦してみるのも面白いかもしれませんね。ちょっと探すだけでもガムや鉄道、寿司のほか、本、ペット、楽器、ご飯までさまざまな擬人化作品が見つかりますので、ぜひ飛び込んでみてください!