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2章がクライマックスを迎え、ますます盛り上がる『チェインクロニクル』
―――気がつけば、運営開始から2年以上が経ちました
秋山: 正直、ここまでやれるとは思っていませんでした。MMORPGでは数年間継続するゲームは少なくありませんが、『チェインクロニクル』はモバイルゲームですからね。モバイルゲームにおけるプレイヤーのゲームに対する忠誠心って、そこまで高くないというのが通説です。我々ですらサービス前に「そこまでがっつり遊んでくれるのかな」という思いはありました。
―――セガネットワークス ファン感謝祭2015も盛況でしたね。
思ったよりもみんなハマってくれていて、有り難い限りです。
―――ストーリー重視のゲームですし、先々の展開まで考えられていたのでは?
いやいや、前回のインタビューでお答えしたとおり、最初は2年目以降の構想はありませんでしたからね。そのためファンと開発チームで交流を深めて、『チェンクロ』が好きな方がゲームに何を期待しているか、肌で感じられる機会を増やすようにしました。そうした中から、いろいろな動きが出てきたんです。ストーリーの続きをみせていくというのも、もともと開発チームから出てきたアイディアなんですよ。
―――そうだったんですか。
ポリシーとして「ユーザーと一緒に作る『チェンクロ』」をかかげました。最初はプロモーションの側で仕掛けていきましたが、そのうち開発チームもイベントやニコ生などに出てくれるようになって。開発と運営が一緒になって、深いところまでやれるようになってきています。こうした中から、お客様に本当に求められているものを開発していくという意識ができてきました。
―――まさにスマホゲームならではですね。
いろんな意味で流れが速いので、お客様と常に触れていたいというのが正直な気持ちです。開発室にこもっていては、なかなかお客様の顔がわからないじゃないですか。それこそ一部の意見に過敏に反応してしまって、全体として間違った方向に進んで行きかねない。それがイベントなどを通して、コアからカジュアルまでいろんな客層がいることを実感しながら作れたというのは大きかったですね。
―――『チェンクロ』で何が重要かという点が、改めてわかってきたということですね。
そうですね。モバイルゲームにしては複雑な内容なので、ゲーム性、ストーリー、キャラクター性など、いろいろな魅力があると思います。その中でも当初から掲げていた「大勢のキャラクターが息づく世界」というコンセプトが、ちゃんとユーザーに受け入れられていることがわかったのが、開発チームにとっての収穫でした。そこが継続して開発する上でのモチベーションになっていると思います。
―――「セガのオリジナルIP」としてしっかりと育ってきました。
『チェンクロ』については、ちゃんと育てていけるように、グループ全体で取り組んでいます。ただ開発チームとしては、同じゲームの焼き直しをずっと出し続けるだけでは、つまらないんですよね。どんな新しいプレイ体験を提供できるのか。何が同じで何を変えていくのか。いろいろなところに目を配りながら、オリジナルIPを今後も育て続けていきたいですね。
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セガゲームスで本作のプロデューサーを務める秋山氏
―――それこそオンラインゲームでは、10年間続くゲームも珍しくありませんよね。
そこはMMORPGならではで、純粋なゲーム体験ではなく、ゲームを通したユーザーとの交流体験が、ゲーム自体を支えているんだと思うんですよ。でも、僕らはゲーム屋なので、まずゲームが先にあると思ってるんです。どんどん新しいゲーム体験を提供して、それがユーザーコミュニティを牽引していくようにしたい。それを真摯に考えています。
―――すごく大変ですね。
『チェンクロ』はセガインタラクティブ、つまりアーケードゲームをずっと作ってきているメンバーが中心になって作っていますからね。そこは強くこだわっています。単純にキャラクターが売れているから、もっと増やそう、売っていこうではないんです。バトルシステムにしても、さまざまなプレイフィールを感じてもらえるように、けっこう大胆な変更が行われてきました。一見するとシンプルな内容なのに、ここまで深い内容になっているのは、やっぱりゲーム屋ならではだなと思います。
―――どういった点が大きく変わってきましたか?
最初のうちは敵味方のキャラクターで相性を考えながら、バトル中に位置を入れ替えるなどして進めていき、最後に必殺技でとどめを刺すといい展開が一般的でした。今はそこからさらに進んで、「パーティの攻撃力をどうやって高めていくか」「どの順序で敵を倒していくか」といった要素が重要になっています。考える要素が増えていて、遊びとしての手応えがかなり高くなっていますね。
―――でなければ、感謝祭で盛り上がったタイムアタックなどの大会はできませんしね。
トップクラスのお客様になると、もはや開発チームが束になって挑んでも勝てない領域にまで達していますからね。開発者冥利につきます。開発チームも日々新しいデータを作って、かなりやりこんでチェックしているんですが、さすがにプレイヤーにはかないませんね。
―――実際、ゲームが短時間で「消費されてしまう」問題は良く耳にします。
モバイルゲームのセオリーはゲームメカニクスの単純化にあります。生活の「息抜き」として遊ばれる分には良いんですが、モバイルゲームが成熟するにつれて、家庭用ゲームとあまり変わらないレベルのゲームも出てきました。それにつれて、お客様のゲームリテラシーも上がってきています。そのため、すぐに消費されてしまう例が増えてきたのではないでしょうか。
―――そこで『チェンクロ』も深くなってきた。
最初はもっと軽くて、さわやかな感じだったんですけどね。今は間口の広さはそのままで、遊び込むとけっこう深くて、味がある内容になっています。今後もそうした方向性を追求していきます。
―――バランスがたいへんではないですか?
そうなんですよ。だからこそ、ゲーム作りのしっかりとしたノウハウがない人間が、パッと入ってきて作れるようなものではなくなってきたと思います。うちは日々アーケードゲームや、いろんなゲームを作って、やりこんでいる連中ばかりですから。そういったチームが考え抜いて、いろいろな遊びを作っています。そういった、ゲーム作りにかけるひたむきさは良いなと感じています。
―――とはいえ「これはやらない」といった内容もありそうですね。
弊社の他のゲームは別ですが、『チェンクロ』では集団戦などのマルチプレイをやっていませんし、これからもやりません。多人数ソロプレイといった感じで、できるだけ遊びが強制されるようなプレイスタイルは避けるように考えています。。対人戦や集団戦などを入れると、ゲームが活性化するとは思いますが、お客様がコアユーザーに収束していく恐れもあるんですよ。そうなると、初心者にとって辛くなってきますからね。
―――むつかしいところですね。
そのため『チェンクロ』では一人用ゲームとして遊びやすい内容にして、各々のゲーム体験をオフラインで話題にしてもらいたい、そんな思いで作っています。僕らが昔『ドラクエ』を遊んで、職場や教室で共通の話題として盛り上がったような感じですよ。そのためには、マルチプレイが先に立つと難しいんですよね。
―――そういった楽しみ方は『チェンクロ』では不要だろうと。
2年以上も運営してきた結果、ユーザーに求められているものは、マルチプレイではないだろうという思いがあります。ただ、その中でも許せる遊び方はあると思っていて、協力プレイはその一つです。何でもかんでも遊びの要素を詰め込むのではなく、IPとして確立させるために何が必用なのか。そしてお客様に本当に楽しんでもらえるものは何なのか。そこを重視していきたいですね。
―――ストーリーでいえば、そろそろ第二部が終わりますね。
だんだん核心に近づいてきてますよね。どうなるんだろう、このまま終わっちゃうんじゃないか的な感じも漂ってきていて。別の意味でハラハラしています(笑)。実は開発チームが僕にもラストを教えてくれないんですよ。ストーリーにものすごくこだわりを持っているので、単純な終わり方はしないだろうなと思っています。僕もあえて蓋をあけないで、楽しみにしています。
―――すでに第三部のスタートも公言されていますしね。
もともと2015年の頭くらいに第三部の構想がありました。第二部だけだと収束感が強いので、ストーリーの先が見えたところで、止めちゃう人がいるかもしれない。そのためにも、まだサービスが継続していくという点について、期待感を持ってもらいたかったんです。
―――ちなみに、第三部はどうなりますか?
ねえ、どうなるんでしょうねえ(笑)。わりと斬新な内容になると思います。家庭用ゲームでは比較的よく使う手ですが、スマホゲームでそれをやるか的な。ちゃんとハマるか否か、こっちもドキドキしています。
―――気になります。
もっとプレイヤーにゲームの世界を広げてもらったり、設定を深掘りしてもらったり、そうした中でいろんなショートストーリーが生まれていったり、疑似体験ができたり……。今は世界観や設定について、開発チーム内でディスカッションをしている最中です。僕自身もどんなアイディアが出てくるのか楽しみです。
―――ゲームシステムも変わってきますか?
マンネリ化していくのもつまらないですからね。すでに発表されている「変身」「超必殺技」をはじめ、もう少し切磋琢磨できるような要素や、バトルの局面が大きく変化するような遊びを入れていきたいですね。もっとも、今この瞬間で何を入れるかはまったく決まっていませんが(笑)。今は世界観とストーリーの段階です。
※後編はこちら
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