脱出ゲームは『クリムゾンルーム』がそのジャンルを確立させた作品と言われており、その後数々のデジタルゲームが生み出され、近年は現実世界を舞台としたリアルゲームとしても展開。ところが、VR脱出ゲームはあまりリリースされておらず、今回の2作品が筆者にとって初の体験となりました。本稿では2作品のファーストインプレッションをお届けします。
◆ラストラビリンス

たゆたうによる『ラストラビリンス』は、謎の少女とともに、閉じ込められた館から脱出するVR専用脱出アドベンチャーゲームです。プレイヤーは車椅子に拘束されているという設定で、辺りを探索することができません。その代わりにカーソルで少女を各位置に誘導することが可能です。カーソルは頭の向きと連動しており、例えば「壁のスイッチ」の方向を見ると、彼女がその場所まで移動。すると「これ押すの?」という様な仕草をするため、そこで「うんうん」とうなずくと、スイッチを押してくれます。

このように本作では、“少女を誘導して謎を解く”というのが基本的なアクションになり、コナミの3DダンジョンRPG『ラビリンスの彼方』のようにキャラクターと触れ合いながらのゲームプレイは、一人でプレイする脱出ゲームよりも魅力的でした。なお、私がプレイした時は謎解きが行かず、悲しいバットエンドに。会場でプレイされる皆さんがグッドエンドを迎えられるように祈っています。
製品版は発売日未定で、HTC Vive、Oculus Rift、PSVRなどに対応する予定です。
◆エニグマスフィア

よむネコによる『エニグマスフィア~透明球の謎』は、2人協力型のVR専用脱出アドベンチャーゲームです。プレイヤーは世界を悪の帝国から守るスーパーエージェントとなり、惑星破壊兵器の起動を阻止するためバーチャル空間に侵入することになります。多くのVRゲームはいきなりゲームが開始しますが、本作はしっかりとチュートリアルが用意されているため、操作に戸惑うことなくプレイすることができました。

こちらのアクションは『ラストラビリンス』と対照的で、自分の手でギミックに触れていきます。今回のデモでは「レバーを上げ下げする」「ハンマーで殴る」「ハンマーを投げる」「移動する」といったアクションが可能で、行動自体は非常に単純ですが、デジタルの脱出ゲームとリアルの脱出ゲームの良い所取りをしており、高い自由度と手触り感は今までの脱出ゲームにはないものでした。感覚としてはValveのパズルFPS『Portal』に近く、同作が好きな方なら間違いなく興奮できる内容です。
製品版は2016年内に発売が予定されている「Oculus Touch」の発売時期に合わせたリリースを予定。なお「東京ゲームショウ2016」でのプレイには、ブースで配布される整理券が必要ですのでご注意ください。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
両作品ともジャンルこそ同じですが、それぞれ別の解釈で脱出ゲームを表現しており、非常に刺激的な体験をすることができました。VRといえばシューターやキャラクターとのコミュニケーション作品、そしてアトラクション的な作品が多いイメージがありますが、脱出ゲームとの相性は抜群で、今後流行っていく組み合わせだと感じました。