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『悪魔城ドラキュラ』は、1986年9月26日にKONAMIからファミリーコンピュータ・ディスクシステムで発売されたアクションゲームです。様々なハードで展開されてきた人気作、『悪魔城ドラキュラ』シリーズの記念すべき第1作となります。なお、1993年にはファミコンのROMカセット版が、2004年には「ファミコンミニ ディスクシステムセレクション」としてゲームボーイアドバンス版が発売されました。現在は、Wii/Wii U/ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールでの配信も行われています。
本作の舞台は、ドラキュラ伝説が残る、中世ヨーロッパの小国・トランシルバニア。過去に一度、この世に復活した魔王ドラキュラは、英雄クリストファー=ベルモンドによって倒され、トランシルバニアの片田舎で眠りにつきました。それから百年の時が経とうとする頃、邪教徒の儀式によって、ドラキュラが再びこの世に舞い戻ってしまったのです。ドラキュラを倒して平和を取り戻すべく立ち上がったのは、ベルモンド一族の血を受け継ぐ青年、シモン=ベルモンド。彼は、一族に伝わる不思議な力を秘めたムチを手に、異形のモンスターたちが巣食うドラキュラ城へ、たった1人で乗り込んでゆきます。
さて、そんな『悪魔城ドラキュラ』の大きな魅力のひとつが音楽です。作曲家の山下絹代氏と寺島里枝氏が手掛けた楽曲群が、本作の世界を大いに彩ってくれます。本作の音楽は、異形のモンスターの巣窟である不気味な城にたったひとりで乗り込むという「恐怖感」と、それに臆することなく立ち向かってゆくシモンの「勇敢さ」を演出しています。ホラーテイストを含んだ作品なので、もちろんおどろおどろしい旋律もあるのですが、それ以上に、シモンを、そしてプレイヤーを鼓舞してくれるような勇壮な旋律が多くてシビれます。30年前のゲームですが、音楽の格好良さは今聴いても素晴らしいですよ! それでは、本作の楽曲で印象的なものをご紹介していきましょう。
●「Vampire Killer」
城の入口から大廊下に至る、最初のステージで流れる楽曲です。本作以降の多数の続編でも様々な形で登場する、『悪魔城ドラキュラ』シリーズの顔と言っても過言ではない名曲ですね。ゆっくりめのテンポで奏でられる荘厳さと勇壮さの混ざった旋律は、圧倒的な風格を持ってたたずむ城の威圧感や、シモンに襲いかかってくるモンスターたちがもたらす恐怖感を表すと同時に、その恐怖へ果敢に立ち向かってゆくシモンの勇敢さを演出しているように思います。
●「Stalker」
赤いレンガの壁が印象的な、塔のステージで流れる楽曲です。「Vampire Killer」のテンポをさらに遅くし、重低音を利かせたアレンジになっています。「Vampire Killer」が“城に乗り込んでいく”イメージなのに対して、この曲は、“城の奥深くへと静かに潜入していく”ようなイメージで、じわじわとした怖さを演出しています。
●「Wicked Child」
中庭に面した渡り廊下のステージで流れる楽曲です。アップテンポで奏でられる軽快な旋律は、城の攻略にだんだん慣れてきたシモンが、ムチで敵をなぎ倒してガンガン攻め込んでいくような、勇壮なイメージを持っています。
●「Walking on the Edge」
落とし穴に落ちた後の地下洞窟ステージで流れます。洞窟というロケーションもあってか、おどろおどろしい曲調なのですが、後半になると勇ましい旋律が入ってきてテンションが上がります!いかなる逆境にも屈することなく進んでゆく、シモンの精神的な強さを表現しているかのようです。
●「Heart of Fire」
至る所にガイコツが散乱している、不気味な牢獄ステージで流れる楽曲です。曲名の通り、心にメラメラと燃えさかる火を灯しているような熱いメロディが印象深い1曲ですね。城の攻略も中盤戦に入り、だんだん疲弊してきたシモンを「負けるな!」と鼓舞してくれるかのような、勇壮な旋律がたまりません。
●「Out of Time」
時計台ステージで流れる楽曲。かなりテンポが早く、ノリノリな1曲です。城内の探索も終盤戦を迎え、城主ドラキュラの待ち受ける最上階へと足早に歩を進めていく、高揚感にも似たシモンの胸の内を演出しているかのようです。
●「Nothing to Lose」
ぽっかりと三日月が浮かぶ夜空の下、ドラキュラが待ち受ける最上階への階段を上るシーン、そしてドラキュラとの最初の戦いで流れる音楽です。曲としては比較的シンプルな作りなのですが、重低音を利かせた重々しいサウンドで、ついにドラキュラとの対峙を迎えたシモンの、手に汗を握るような緊張感を演出しています。
●「Black Night」
ドラキュラが変身しての最終決戦の際に流れる楽曲です。本気を出したドラキュラとの死闘を演出する、アップテンポで激しい旋律が最後の戦いを演出します。
●「Voyager」
エンディングで流れる楽曲です。ドラキュラを倒し、崩壊してゆく城。強大な敵を倒した後に流れる音楽ですが、その旋律には喜ばしさや安堵感といったものは無く、切なく物悲しげな雰囲気を漂わせています。倒したはずのドラキュラは本当に滅びたのか? ベルモンド一族とドラキュラの因縁の戦いは、本当に幕を閉じたのか――? そんな疑問をかすかに感じさせつつ、プレイヤーにひとときの余韻を与えてくれます。まあ実際、ドラキュラはその後の続編で何度も復活を果たすわけなのですが(苦笑)。
『悪魔城ドラキュラ』は、ゴシックホラー風の雰囲気やアクションの難易度の高さによって、独特の恐怖感や緊張感が漂ったゲームになっています。その点から、「怖そう」「難しそう」と、本作を敬遠してきたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
僕が『悪魔城ドラキュラ』を初めてプレイしたのは、発売当時ではなく、今からほんの数年前(2014年ごろ)のことでした。実際に本作をプレイしてみると確かに難しかったのですが、「ここでこう動いたら突破できるかも」と思わせてくれる、理不尽すぎない絶妙な難易度にゲーマー魂を刺激されましたね。半ばムキになりつつも(笑)、なんとか最後までクリアすることができました。『悪魔城ドラキュラ』の魅力をひとことで言うと、「襲い来る恐怖を、ムチでビシバシと打ち破ってゆく爽快感」だと思いますね。ムチを駆使して、次々に襲いくるモンスターを倒していくのが本当に楽しいです。
本作の音楽の素晴らしい点は、ホラー的な世界観の演出として恐怖を煽る役割を担っているだけではなく、そこに勇壮な旋律を交えることで、「がんばれ!」と、プレイヤーを鼓舞してくれているところだと思います。勇ましさにあふれる熱い旋律で、ドラキュラ城に挑戦するプレイヤーの気持ちを、「負けてられん!」と奮い立たせてくれるのです。僕は、この勇ましくて良質な音楽たちのおかげで、何度敵にやられたり、穴に落ちたりしても、何度でも再挑戦でき、クリアすることができました。音楽の魅力が、何度でも挑戦したくなるリプレイ性や中毒性を高くしていたように感じます。……今改めて考えると、このゲームは音楽聴きたさにプレイしていた側面もあるかもしれません(笑)。
本作は、城内のステージを攻略していきドラキュラの討伐を目指すという非常にシンプルなゲームなので、今のゲームに慣れた方には物足りなさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、少ない色数でゴシックホラーの世界観を見事に演出したグラフィックや、ムチで敵を攻撃するという独特のゲーム性、そして恐怖を演出しつつも胸を熱くさせてくれる音楽で織りなされる『悪魔城ドラキュラ』という作品は、昔も今も変わらずゲーマーを熱くさせてくれる、不朽の名作だと思います。難易度が高く、非常に硬派なゲームですが、若いゲーマーの方にもぜひチャレンジしてみてもらいたいですね。
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先日任天堂から発表された、手のひらサイズになったファミコン「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(11月10日発売)に、内蔵ソフトのひとつとして『悪魔城ドラキュラ』が収録されるとのことです。このクラシックミニファミコンには、ゲーム中にリセットボタンを押すと、進行状況を「中断ポイント」として最大4つまで保存できる機能があるそうなので、難しい本作もだいぶ攻略しやすいかもしれません。ご興味をお持ちの方は、この機会にぜひ挑戦してみてください!
ちなみに、現在配信中の3DSおよびWii Uのバーチャルコンソール版『悪魔城ドラキュラ』にも、ゲーム中いつでもセーブ&ロードできる機能があるので、これを使えばだいぶ攻略しやすくなると思います。この機能を使うかどうかは、皆さんそれぞれのご判断にお任せしますが(笑)。
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本作の音楽が収録されたサントラとしては、『悪魔城ドラキュラ ファミコン・ベスト』というCDが1990年に発売されました。このCDは一度廃盤になったのですが、1998年には『悪魔城ドラキュラ ベスト』という名前で再販され、こちらは現在でも新品をほぼ定価で購入できます。収録曲も同じなので、今から購入される方は再販盤をお求めいただくのがよいでしょう。
『悪魔城ドラキュラ』の音楽は、強烈にメロディアスなものがそろっていて、個人的には今でも時々、無意識のうちに旋律がふと頭に浮かんでくることがあります(笑)。「アクションゲームは苦手なのよね~」という方でも、ご興味をお持ちであれば、ぜひ一度音楽をお聴きになってみてくださいね。“恐怖感”と“勇壮さ”が絶妙にマッチした本作の楽曲の数々は、本作の彩りを強いものにしていて、その彩りは発売から30年が経った今なお色あせていないと僕は思います。
ちなみに、先ほどご紹介したサントラに同時収録されている、続編の『ドラキュラII 呪いの封印』や、『悪魔城伝説』にも名曲がたくさんあります! 特に『悪魔城伝説』は、ファミコンカセットの内部に特殊な音源チップを搭載することで、神がかった超絶的なサウンドを実現しました。これまでのゲーム音楽の歴史を語る中で欠かすことのできない伝説的な作品なので、今後また別の機会にぜひご紹介したいと思います。
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hide / 永芳 英敬
ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を執筆しています。なんだかんだでやっぱり自分はアクションゲームが好きだな、と今回の記事を書いて再認識しました。
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