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1994年に発売されたスーパーファミコン『海腹川背』。可愛らしい女の子・海腹川背さんを主人公とした本作は、様々なステージを乗り越えていくアクションゲームとして登場しました。
ですが、他のアクションゲームと大きく異なる点は、川背さんが持つルアー付きの伸縮性のあるロープを巧みに使いこなすところです。壁や天井に引っかけることで、より高い場所へ移動したり、振り子のような動きを可能とします。しかも伸縮性があるため、その伸び縮みを活かし、ゴムのような反動でより遠くに、より高く移動できた時の爽快感は、他のゲームでは味わえない体験です。
このロープは空中にいる時も投げられるので、例えばステージの底面に張り付くような移動も可能。底面にルアーを投げ、反動を付けて奥に飛んでまたルアーを投げる。そんな綱渡りを繰り返すと、登って進むよりも遥かに早く目的地に着くことができます。
ラバーアクションを使いこなすテクニックを身に付けることで、短時間でステージをクリアできたり、一見不可能そうなルートを攻略できたりと、腕前に応じた醍醐味も味わえるのが、『海腹川背』が持つ大きな魅力のひとつです。
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この個性豊かなゲーム性が根強いファンを生み、のちにプレイステーションやPSP、ニンテンドーDSに3DS、PS Vitaなど、数多くのプラットフォームでシリーズ展開を果たしました。そして、待望の最新作となる『海腹川背 Fresh!』で、いよいよニンテンドースイッチに進出します。
本作の発売日は2019年を予定していますが、9月23日まで行われている「東京ゲームショウ2018」にて、試遊出展を実施。早速触れてみたので、そのプレイレポートをお届けします。
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操作方法は、AおよびYボタンでルアー発射。BおよびXボタンで川背さんがジャンプします。また、L・Rボタン、ZL・ZRで斜め上や斜め下にルアーを発射できます。L側が左方向、R側が右方向への射出です。また、ルアーを引っかけた後にLスティックや方向ボタンの上下で、ロープの伸び縮みを調整。この操作を駆使すればテクニカルな移動も行えます。
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今回の試遊版では、初心向けと上級者向けのクエストがひとつずつ、そしてボスとの対決と、3つのコースからひとつを選んでプレイ出来ます。なお、各コースのどれかをクリアするか、3分の時間制限がきたらプレイ終了です。この3分はゲーム内で設定されている時間なので、プレイを希望する来場者が多くても変動はしないとのこと。23日に試遊する予定の方は、この点を留意しておいてください。
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ちなみに『海腹川背 Fresh!』は、過去作のようなステージクリア制ではなく、クエストクリア制へと変更。受けたクエストごとに目的地があり、そこを目指して突き進みます。クエスト単位でのゲームプレイは、短い時間でも遊びやすそうな印象です。ちなみに、タイムアタックを楽しめる要素もあるとのことなので、クリアタイムの短縮に挑みたい方もご安心ください。試遊版では選択不可でしたが、メニュー画面にも「クリアアタック」の文字が。
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今回筆者が選んだのは、初心者向けのお届けクエスト。新キャラクターの「女将さん」が登場し、配達を託されます。ケモノのような耳もあり、素性も気になるところですが、可愛いのでまったく問題ありません! ちなみに、本作の川背さんも愛らしさ満点。こういうタッチの彼女も良いですね。
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アクションに関しては、操作感も含めて実にスムーズ。ラバーアクションの手応えも、伸び縮み感はバッチリです。キャラのパターンも滑らかで、イキイキとした川背さんが大画面狭しと飛びまくります。
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筆者がチョイスした初心者向けクエストは、その名に違わぬ作りになっており、ジャンプやツタ登りを駆使すればラバーアクションをしなくてもクリア可能なくらい。シリーズ作に触ったことのないユーザーでも、臆する必要がないほど広い間口です。可愛いビジュアルに惹かれた方は、こちらを選んで世界観を堪能するのも一興でしょう。
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その反面、上級者向けはかなりの難易度とのこと。ブースにいる関係者にお話を伺ったところ、開発者の中に『海腹川背』シリーズを好きな方がおり、確かな腕を持っているそうですが、その人でも初回プレイではクリアできなかった模様です。「ならばむしろ挑んでみたい」と思ったシリーズファンの方は、ぜひ上級者向けクエストにチャレンジを!
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そして『海腹川背 Fresh!』で新しくなったポイントは、クエストクリア制だけではありません。大きな変更点として、マップが直接繋がっており、巨大なフィールドとなっています。ちょっと大げさかもしれませんが、『海腹川背』のオープンワールド化と言えるかも!?
マップが巨大フィールドになったことと、クエスト制なゲーム性を考えると、フィールドを熟知することで新しいクエストでも近道が想定しやすくなるかもしれません。また、敢えて寄り道をすることで意外なルートを発見する可能性もありそうです。クエストと巨大フィールドの相乗効果が、『海腹川背』に新たな刺激をもたらす予感を覚えました。
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このほかにも、残機制から体力制へと変更。そのため、ダメージを受けても1発ではやられません。この点も、ユーザーの間口を広げてくれそうです。さらに、料理などの回復アイテムの作成や、まだ効果が明かされていない「キャンプ」という要素も。続報が待ち遠しいばかりです。
足場がなくとも天井さえあれば、大胆なラバーアクションでどんどん先に進んでいける『海腹川背』。その楽しさが、より美しいグラフィックと巨大なフィールド、そしてクエスト制という新たな切り口を携えて、『海腹川背 Fresh!』としてやってきます。『海腹川背』に更なる広がりを加えた一作の登場を、どうぞお楽しみに。
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