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8回目となる今回のテーマは、塩川洋介氏がスタジオヘッドを務める第1スタジオ「DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios(略称:DSS)」のキャリア相談です。
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同社は2018年11月、『FGO』を始めとした既存タイトルの企画・開発・運営と並行して新規コンテンツの開発体制の強化を目的に、開発本部およびプロデュース部、マーケティング部を再編し、6つの制作部門を新設。DSSでは、ジャンルやプラットフォーム、サービス形態、国の内外を問わず、2018年発売のボードゲーム2作や、『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』、『Fate/Grand Order Arcade』、『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』、「コミックマーケット95」出展プロジェクトなど様々なプロジェクトを手がけています。
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同日は塩川氏が司会進行を務め、同スタジオのプロデューサー・伊藤優希氏とプロジェクトマネージャー・高橋舞氏が登壇し、各プロジェクトでの開発秘話や裏話などを交え、DSSでの仕事の面白さや、やりがいを伝えました。
トークセッション終了後の懇親会では、今回のメイン肉料理「チキンフライドステーキ」やアメリカの正月料理に出される「ブラックアイビーンズ」などを堪能しながら、登壇者を含めたスタッフと参加者の交流の時間が設けられました。
■挑戦を貫く情念
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同社の切り込み隊長という立ち位置にあり、規模の大小問わず、「ディライトワークス初」の冠が付く様々なプロジェクトを手がけているDSS。「挑戦をつらぬく、情念を。」「結果にこだわる、執念を。」「成長しつづける、信念を。」の3つの行動指針の元で、どのような挑戦をしてきたかを伊藤氏と高橋氏が語りました。
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中途採用で入社前はディレクター職だった伊藤氏は、「プロデューサー職での採用そのものがまず挑戦。さらに、1~2年で独り立ちできたらと考えていたのですが、入社2ヶ月で『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』のプロデューサーとして開発・リリースを任されたので初めての経験の連続でした」と振り返りました。前職でディレクター職だった頃は決められたレールの上を走っていたのが、「プロデューサーとして自分が旗振り役となり、プロジェクトのゴールを設定し、周りのメンバーに助けられてリリースでき、お客様に喜んでいただくことができて、当初は大変なこともありましたが終わってみたら良い経験だった」と言います。
高橋氏もDSSに配属されるまでは、コンシューマーゲームに携わっていたものの、「コミックマーケット95」出展プロジェクトでのグッズ製作、2018年年末にLINE STOREで発売された『FGO おみくじ年賀スタンプ』の製作など、過去の実績だけでは通用しない新しい業務に携わったことをあげました。「過去の自分の経験だけを頼りに仕事ができないので、新しい気持で前に進んでいった。昨日よりも明日の自分が進化できるように取り組みました」(高橋氏)。
塩川氏によれば、「DSSではまず行動を起こすことが前提にあるので、全く新しい業務に携わることは結構多い」とのことです。
■結果にこだわる執念
DSSでは常に新しいことへの挑戦をするうえで、「挑戦をして頑張ったね、ではなく、やるからには結果を出さなくてはいけない。結果にこだわっています」という塩川氏。2人にこれまでどのような結果を出してきたかを問いました。
伊藤氏は「『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』のリリースまでに、1年かけて日本各地で体験会を行い約1万人に体験してもらいました。その時も機材トラブルがあってもすぐ対応できるように、私とチームのメンバーで全会場に行き、張り付いていました」と語りました。
その経験があったからこそ、2018年7月に、アメリカ・ロサンゼルスで開催されたアニメコンベンションイベント「Anime Expo 2018」に同ゲームの海外向けの体験ブースを出展した際も無事成功に終わったと言います。
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「事前に伺っていた話だと、アメリカでの体験イベントなどは、込み合っているとお客様が体験をあきらめてしまい整理券をあまり受け取らない。整理券を受け取られても指定のお時間が遠いと、いらっしゃらない方も多いとのことでした。しかし、事前の告知や当日の進行をスムーズに行う工夫をしたことで、多くの方がブース体験をしてくださいました」(伊藤氏)。
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高橋氏は同社初となるコミックマーケット出展(「コミックマーケット95」)に、「たくさんのお客様が来てくださったことが結果だと思います。どんなグッズを作れば喜んでいただけるのか、お客様により良い形でお届けするにはどうするべきか?納期やスケジュールが許す限り、クリエイティブや運営方法などを突き詰めました」と答えました。
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さらに、高橋氏はスピーディーな待機列の進行を心がけたと言います。「コミックマーケットでは、通常のイベント以上に限られた時間の中で、お客様がお買い物できる回数が限られてくると感じていました。せっかく並んで頂いてもお目当てのものが買えなかったり、待機列で時間がかかって他で買い物ができなかったりしないように、当日は列捌きを含めた入念なオペレーションを行いました」(高橋氏)。そのかいあって、来場者からは「グッズを買えて良かったです」や「列の進行が本当に早くて良かったです」といった声が寄せられたと言います。
塩川氏が「二人とも職種が違いますし、別々の案件の話をしましたが、どんな職種、立場、プロジェクトであれ、どうすれば最善に繋がるかの意識を持ってやっているかと思います。どうでしょうか?」と訊ねると、2人は「DSSではメンバー全員が結果にこだわることを意識して取り組んでいます」と回答。DSS部署内の壁にも「挑戦」と並んで「成果」と大きく書かれた文字が貼られていることも明らかになりました。
■成長しつづける信念
最後に、成長について訊かれた2人。伊藤氏は「昨日と同じ事をやっているだけの日はほとんどない」と非常に成長が求められるのがDSSだと明かしました。さらに、「それでも成長は可視化することが難しい。自分の中でDSSにおける成長を定義しようとしたら、昨日と同じモチベーションやパフォーマンスで仕事をしていてはダメだと思って取り組んでいます」と答えました。
「『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』がリリースしてから、新規プロジェクトに挑戦していますが、VRの時は社内スタッフ10人くらいのプロジェクトでしたが、今はそれ以上の人数で動いています。自分がこれまで挑戦して、乗り越えてきたからこそ、やれていることだと思います」(伊藤氏)。
高橋氏は「弊社におけるプロジェクトマネージャーは、開発のディレクターやクリエイターの皆さんがやりたいことを実現できる環境を作る人です。彼らが求めることをどうすれば叶えてあげられるかを意識し、寄り添う思考になったことが自分の成長だと思います」と答えました。
ここで塩川氏に「そう切り替わったタイミングは?」と問われると、高橋氏は苦笑しながら「肉会のタイトルロゴ制作」をあげました。実は第1回目の立ち上げのプロジェクトマネージャーを担当していたのが高橋さん。社内のデザイナーチームと協議のうえで肉のプレートを意識したロゴの最終稿を塩川氏に確認してもらうと、ロゴに添えられていた葉っぱを指して「(肉料理のプレートでもよく使われるため)肉に添えるならクレソンだよね」と言われたそうです。
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さすがにクレソンの素材はなかったのですが、「今までなら諦めていたんですけど、その時は何とかしなきゃという気になりまして…」と高橋さんは、デザイナーに現物の写真があれば対応可能と聞くと、近くのスーパーでクレソンを買ってきたと言います。
実際にブラッシュアップされたロゴが良くなったのを見たことで高橋さんは、「バナーの装飾の葉っぱという小さなことなんですけど、より良い物を作るには小さなことにもこだわるべきだと気付いたのはこれがきっかけ」だと言いました。
「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」が同社の理念ですが、同日のキャリア相談会では「神は細部に宿る」が意味するとおり、クリエイティブ面の細やかな心配りもうかがえました。
■次回の肉会はフレッシュなお肉と新入社員
2月15日に開催される肉会は、ディライトワークスに2018年度に入社したフレッシュな新卒社員が登壇。同社の新卒1期生ということで、若手がどのような活躍をしているのかが聞けるまたとない機会となりそうです。
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申し込みページ
■今回の肉を中心とした料理
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