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ディライトワークスに新卒入社した社員6名が、カナイセイジ氏、白坂翔氏の監修・協力を得て制作した新作ボードゲーム『シブヤ ストラグル』。本作の体験レポートをお届けします。
ディライトワークスでは、2018年からクリエイター育成の一環として、新卒社員がボードゲームの企画・制作を行っています。その第2弾となる、2019年度新入社員による作品『シブヤ ストラグル』が、今回お披露目されました。
『シブヤ ストラグル』は、2020年の「シブヤ」を舞台に、“悪”の覇権を懸けたギャングたちの抗争をボードゲーム化した作品です。プレイヤーはシブヤに現れたギャングとなり、縄張り争いを繰り広げながら、シブヤを支配する「Death Crown」の四天王と「KING」の打倒を目指します。
ここでは本作のゲームの流れを追いながら、その内容を紹介していきます。後述しますが、11月23日・24日に開催される「ゲームマーケット 2019 秋」で先行販売が行われるので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
9枚のタイルが「シブヤ」を形作る
まずは内容物から見ていきましょう。プレイヤーの手元には、自らのステータスを表すステータスボードとマーカー、構成員の駒が用意されています。また各プレイヤー共通で、ダイス、コイン、SPマーカー(そのターンのスタートプレイヤーを示すマーカー)を使用します。
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抗争の舞台となるシブヤを表現するのは、9枚のマップタイル。ハチ公広場やスクランブル交差点など、“シブヤ”らしいスポットが並びます。その上に用意されているのは、プレイヤーが倒すべき「Death Crown」の四天王カードたちです。
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山札のように重なっているのは、ゲームの行方を左右する「抗争(ストラグル)カード」です。戦闘やその前後でさまざまな効果を及ぼすものですが、詳しくは後述します。
これらを所定の位置に配置したところで、ゲームスタートです。
ゲームの進行
1ラウンドの進行を簡単に見ていきましょう。
ラウンドの開始
各プレイヤーは、「財」ステータスの数値分、コインを獲得します。
配置フェイズ
スタートプレイヤーから時計回りで、好きなマップタイルに構成員を1人ずつ配置していきます。同じタイルに別のプレイヤー同士が配置したり、同じプレイヤーが複数人の構成員を配置しても構いません。
マップタイルにはステータスを上げたり、構成員を増やしたりとさまざまな効果があります。どのタイルを狙うかも考えどころです。
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戦闘フェイズ
同じマップタイルに異なるプレイヤーの構成員が配置されていた場合に発生。配置した構成員の数だけダイスを振り、出目に「武」ステータスの数値を加えた数が戦闘力になります。
ここで勝利した1プレイヤーの構成員だけがマップに留まることができます。一方、負けたプレイヤーも、戻した構成員の数だけコインを獲得。ただでは戻ってこないということですね。
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悪事フェイズ
各マップタイルに配置されている構成員のプレイヤーは、マップタイルに書かれている効果を受けることができます。これでステータスを上げたり、コインや構成員を増やしたりすることが可能です。
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挑戦フェイズ
四天王カードに書かれている、四天王を倒す条件が達成されているかを確認します。条件を満たしたプレイヤーは四天王を撃破したことに。四天王カードの裏に書かれている効果が、KING戦で適用されます。
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ラウンドの終了
マップタイルに配置されていた構成員を自分のステータスボードに戻し、SPマーカーを時計回りで次のプレイヤーに渡します。
こうして、プレイヤーは互いに争いながら自分の“シマ”を手に入れ、ステータスを上げながら、四天王そしてKING打倒を目指すのです。
シンプルながら戦略性も楽しめる良作
ゲームの流れは簡単なのですが、いざプレイしてみると、戦略を考える余地がどんどん広がっていくのがわかります。例えば筆者の場合、最初のラウンドでは空いているマップタイルに構成員を配置したのですが、その後すぐに「構成員を増やさないとダメだ!」と気づきました。
マップタイルの効果から、構成員を増やすためにはコインが必要であることがわかります。じゃあまず「財」ステータスを上げながら、コインを増やしていこう……となるわけです。自分の戦略が定まっていく感覚は、とても気持ちのいいものです。
もちろん、これはあくまで一例。同じテーブルには、戦闘フェイズで重要な「武」ステータスを上げまくる人もいれば、ひたすらクラブ通いに勤しむ人もいました。自分のプレイスタイルを表現できますし、逆に各プレイヤーが打つ戦略の間隙を縫う快感も味わえますよ。
戦闘を彩るさまざまな要素
このゲームの“華”とも言える戦闘フェイズには、バトルを盛り上げる多彩な要素が存在します。
その最たるものが「抗争(ストラグル)カード」。各プレイヤーがゲーム開始時に2枚所持するカードで、書かれているタイミングと効果によって、戦闘力が上がったり、振るダイスが増えたりと、戦闘にさまざまな影響を及ぼします。
ただし、一つ条件があります。プレイヤーは、カードの効果を発動するために、カードに書かれたセリフを読み上げなくてはならないのです。「いまだ、やれ」「動いているぞ、このハーブ…。」など多彩なセリフを、しっかりキメていきましょう!
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この抗争カードは、能力を発動させる以外にも、捨札にすることで1枚につき戦闘力が+2されます。また、5コインを支払うことで戦闘力を+1させることが可能。さらには「運」ステータスを-1することで、ダイスをリロールすることができます。
つまり、「武」ステータスをゴリゴリ上げたギャングが勝てるとは限らないのです。財力に物を言わせてねじ伏せることもできれば、抗争カードをかき集めて(上限は5枚)戦闘を有利に進めたり、運を駆使して勝つことも可能。どんな戦略を取っても、勝利する可能性があるわけです。
終盤はド迫力の戦闘が頻発
構成員やコインが増え、各ステータスが上昇してくると、四天王を狙うプレイヤーが現れます。四天王を倒すには、指定されたステータス値をクリアした上で、特定のマップタイルを支配する必要があります。
四天王を倒せば、KINGに挑む際に戦闘力へボーナスが付与されるので、ゲームに勝利するためには非常に重要なポイントです。そのため、四天王を撃破するために是が非でもマップタイルを支配したいプレイヤーと、それを阻止したい他プレイヤーたちとの戦闘が勃発。絶対に負けられない戦いですので、送り込まれる構成員の数も尋常じゃありません。大規模な抗争が巻き起こるのです。終盤にかけての盛り上がりが自然と感じられるようになっています。
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四天王を全員倒すとKINGが登場し、局面は最終決戦に。四天王を撃破したプレイヤーが中心となりますが、撃破していないプレイヤーにも抗争カードが2枚配られますので、一発逆転のチャンスがありますよ。
勝利目前なだけあって、KINGに挑戦するプレイヤーは全構成員を投入、コインや抗争カードもすべて使うなど、まさにギャングの総力を挙げた戦いに。ちなみに複数のプレイヤーが一度にKINGへ挑んだ場合、KINGを倒し、かつ戦闘力が最も高いプレイヤーが勝利します。
実は四天王撃破ボーナスにも条件があるため、KINGに挑む前からそれを見越したプレイングをすることで、より勝利に近づくことができます。こうした点も、プレイヤーの腕の見せどころなのです。
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ゲームルールはさほど難しくないものの、プレイしていくとコンボが見つかったり、自分なりの勝ち筋を作れたり、だんだんとステップアップできる点が本作の大きな魅力です。コントラストの利いたイラストも「覇権争奪ギャングバトルゲーム」という世界観にマッチしており、セリフを読み上げるユニークなルールも相まって、ゲームの世界に浸りながらワイワイ楽しめる作りになっています。
「よっしゃポイント」を意識
本作は、ゲームデザイナーのカナイセイジ氏、ボードゲームカフェ「JERRY JERRY CAFE」オーナーの白坂翔氏の監修のもと制作されています。
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カナイ氏は、全員にチャンスが訪れるようなゲームバランスの調整をアドバイスしたほか、プレイヤーの感情をいかに動かすか意見交換を重ねたと話します。その中で生まれたワードが「よっしゃポイント」。感情が大きく動き、プレイヤーが自分のアクションに満足するポイントを盛り込んだそうです。
白坂氏は、ボードゲームを遊ぶお客さんがどう感情移入するか、どうすれば没入感が生まれるか意識して制作することをアドバイス。また、6名という人数と約半年という時間をかけ、会社の看板を背負って出すものはどういった作品がふさわしいのか、という点でも助言を送ったそうです。同氏は20分前後で遊べるゲームのユーザーが多いなか、本作はもう少し骨太なゲームをプレイしたいときに丁度いい作品だと評しました。
企画の見直しなど、紆余曲折を経て生まれた『シブヤ ストラグル』。チームでのゲーム制作や社内外とのコミュニケーション、そして物事を決断するということまで、若きメンバーは多くのことを学んだようです。
そんな彼らの力作は、11月23日・24日に東京ビッグサイトで開催される「ゲームマーケット 2019 秋」で、特別価格4,000円にて先行販売(一般発売は12月4日から、税込4,950円)。ブースではコンポーネントとしても使えるオリジナルステッカーがプレゼントされます。初心者からボードゲームに慣れた人まで楽しめる本作を、ブースで体験してみてはいかがでしょう。
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