新要素「衣装変更」「記憶・浄化」「装備改造」「世界復興」が順次実装されていくVer.2.0。このタイミングでの大型アップデートは、「物語」という縦軸だけではなく、「バトル」「ゲームシステム」「設定(人物、群像劇)」など様々な要素を広げることで横軸でもユーザーの皆様に楽しんでもらうことを目的としています。
前編である本稿では、未来の『アークザラッドR』について、Ver.2.0コンテンツを中心に語っていただきます。
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左手前から米坂典彦さん、小山英二さん、土田俊郎さん
■スタッフ紹介
●原作スタッフ
土田俊郎企画・原案・ゲームデザインを担当。『アークザラッド R』を作り出す上での世界観やゲームデザイン全てを統括する。
米坂典彦世界観やキャラクターの設定、シナリオなどのテキスト周り全般を担当。
小山英二アート原案・監修を担当。土田氏や米坂氏らと共にキャラクター設定や企画を推進。背景アートなどソースとなる2Dのビジュアルシーン(イラスト)を主に仕上げる。
●『アークザラッド R』から開発に関わるスタッフ
安藤浩之『アークザラッド R』のクリエイティブディレクターとして全体を統括
西川ヤスヒロ『アークザラッドI・II』のキャラクターのリデザインや今作の主人公・ハルトやヒロインのミズハなどの新キャラクター、あとモンスターを含めた全てのキャラクターデザインを担当。
キービジュアルのイラストも制作。
望月『アークザラッド R』の一部キャラクターのデザイン、や衣装替えのデザインを担当。
南 3Dモデルやモーション、ストーリームービーやモンスターアクションの作成などを担当
◆世界観を守るために、もう一度『アークザラッド R』を整理する
――何故、このタイミングで大型アップデートするのでしょう。その狙いを教えてください。
安藤浩之(以下、安藤)『アークザラッド R』は物語が面白いと評価していただいていますが、世界やキャラクターの過去の話など、もっと横道を広げて楽しんでもらえる時期になってきたと感じています。
ユーザーの皆様の反応を見ても、「アークザラッド」シリーズのキャラクターの過去をもっと知りたい人、『アークザラッド R』新キャラクターが好きな人、「この世界はこの後どうなっていくんだろう?」と気になる人、バトルが大好きな人、それぞれベクトルが違いますよね。だからこそ、「ストーリークリアしておしまい」ではなくて、『アークザラッド』の世界をもっと広げていくタイミングだと分かってもらいたくて、Ver.2.0と言う形で押し出しています。
――リリースされて1年4か月が経ち、ユーザーから感じている不満はどこにあると思いますか?
安藤 バランスが崩れてしまった部分があるのは理解しています。例えば、新しい要素が入った事でルールが途中で変わったり、中途半端になっている部分があることで混乱を招いてしまったことなど、違和感が出ている所を、今回リニューアルとして、きちんとひとつひとつ整えようと思っています。新要素は4つが全てではないので、ユーザーの皆様に納得して喜んでいただき、かつ今抱えているプロジェクトの問題も解決していきたいと思っています。
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◆衣装変更
「アークザラッド」シリーズからのキャラクターはもちろん、『アークザラッド R』から登場した様々なキャラクターの違う側面が見られる衣装変更。物語上における「あの状況」の「この時の服」など、様々な想像を巡らせてもらうことができます(季節的なものも検討中とのこと)。
衣装変更することで、ロールなどバトルの性能も変化。パーティ編成において、このキャラクターのロールが変わったから、他のパーティキャラクターも変えて、など理想の組み合わせ探しを楽しんでいただくことができます。
――「衣装変更」は大型アップデート前に実装されていますね。
安藤 こちらは大型アップデートの大きな追加要素というよりは、ユーザーが求める「このキャラクターのこんな姿が見たい」にお答えすることが狙いです。衣装を変えることでロールも変わります。
例えば、「ココナは巫女服だけど、冒険するんだから冒険服姿も見たい」「アイーシャは巫女なんだから巫女服姿も見たい」と言った感じです。すでに登場している國末竜一氏版アークなどと整理をつけなきゃいけないんですけど、僕らとしてはユーザーが育ててくれたキャラクターを新しい姿やロールを変えて遊んでもらいたくて実装した要素です。
――従来のロール別キャラとの差別化についてはどうなるのでしょうか。
安藤 今の時点では、ユーザーが遊び方を少しずつ変えたい時に使うもので、大きな追加要素である「記憶浄化」「世界復興」と紐づいていく予定です。例えば、「記憶浄化」では第1弾はサニアのストーリーが配信されるのですが、サニアと関係が近いサイドや〇〇が登場します。3人はミルマーナという繋がりがあるので、その繋がりを意識して遊んでいただけると面白いと思います。
◆記憶・浄化
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キャラクターストーリーは過去の一幕が垣間見える話で、「記憶・浄化」では過去から現在に至るまでの、過程をたどることができ、かつ装備も入手できます。ストーリーだけではなくゲームプレイと連動しているのも特徴。
安藤 「アークザラッド」シリーズキャラの過去の話である「記憶編」と、(『アークザラッド R』の)現代の話である「浄化編」で展開します。第1弾はサニアがどうやって過去のトラウマを乗り越えて強くなったのかを分かっていただける話です。
「記憶浄化」では記憶浄化編サニア(以下、記憶サニア)が新しく実装されますが、ミルマーナが舞台なのでサイドやシアが登場します。例えばサイドやシアを今まで使っていなかったり、使い倒したりした人が衣装変更をきっかけに、サニアとのパーティを組み合わせるきっかけになるといいなと思っています。
――「記憶浄化」は基本的に「アークザラッド」シリーズのキャラだけが対象ですか?
土田俊郎(以下、土田)そこはまだ内緒です。ただ、スタートとしては『アークザラッド』の世界で新たな歴史を進めていくメインシナリオが縦軸だとすると、横軸として原作である「アークザラッド」シリーズのキャラクター達を掘り下げていくものを作って世界観を掘り下げられればと思いました。
「アークザラッド」シリーズのキャラクターは過去作をプレイしたことのある方には認知度も高く、この世界で「大崩壊」後にそれぞれがどんな時間を過ごし、どのような想いで世界とかかわっているのかを描くことでより『アークザラッド R』のストーリーを楽しんでいただけるのではないかと思っております。
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――これまでのキャラクタークエストとは明らかに違う形の見せ方に……?
米坂典彦(以下、米坂)キャラクタークエストは、キャラクターのある時点では何をしていたのかをユーザーに見せるスタンスでしたが、「記憶浄化」はそれよりもさらに根本的な問題を扱っています。例えば、「第2覚醒」の時も触れたポコですが、ポコなりに成長はしているんですけど、心にわだかまりや傷は負っていて、それとどう向き合い、乗り越えてきたのかを若干書きました。「記憶浄化」はゲームのシステムも交えてもう少し深くユーザーの皆様に届けられるようにすることを考えています。
――実際にはどのようなシステムで展開されるのでしょうか。
安藤 キャラクターメニューから選択して定常的に遊んでもらえるのが「記憶編」で、イベントとして開催するのが「浄化編」です。第1弾はサニアの話です。ストーリーとシステムが紐づいていて、「記憶編」のクエストをクリアすることで「精霊守護」というアイテムがもらえる。覚醒と同じようなボードがあって、「記憶編」と「浄化編」で入手できる「記憶のかけら」「浄化のかけら」「想いのかけら」を使って「精霊守護」の力を解放していきます。
「能力解放」以外の新しいキャラクター強化方法になるわけです。新しく記憶サニアがガチャで登場する予定ですが、既存のサニアと合わせてパラメーターがアップします。
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――記憶サニアのデザインに関して、何か意識したことはありますか?
西川ヤスヒロ(以下、西川)過去の話ですので、今まで自分が知っているだけの情報だと補完できないことがいっぱいあり、イメージを固めることが非常に難しかったです。デザインするにあたって小山さんと密な打ち合わせを重ねました。記憶シリーズのキャラの2Dイラストには、これまでのものと違って、シナリオに合わせた背景を入れています。イラストからストーリーや過去の話の雰囲気を感じ取ってもらえるよう意識しました。
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――記憶編はなぜそこまで難しいのでしょうか。
小山英二(以下、小山)実は、この記憶サニアの衣装は『アークザラッドII』よりも前の衣装なんですよ。『アークザラッドII』で出てきているサニアの格好は、元々ミルマーナ王族に伝わる王妃の服を着崩したものでした。それを西川さんに伝えて、記憶サニアをデザインしてもらい、國末と一緒に監修をしています。
――なんと!
米坂これまでに語れなかったキャラクターの内面を、「記憶浄化」で語ります。サニアは『II』で登場した時点で、祖国を取り戻そうと復讐心を抱くキツ目な少女でした。しかし、「何があってそうなったの?」は細かく描いていなかった。もちろん、ヤグンに両親を殺されてミルマーナを奪われたとは語っているんですけども。
なので、『アークザラッドII』と『アークザラッド R』を経て、サニアがどういうふうにトラウマを乗り越えたのか「浄化」パートでケリをつけたいと思っています。「記憶」パートはキャタクターにもよりますが、『アークザラッドII』よりもっと昔のお話であることもあります。
――なるほど。ちなみに記憶サニアのバトル演出も変わるんですよね?
南記憶サニアはじっくり迫力あるものに仕上げてもらっています。既存のサニアのモーションを代用する案もあったんですけど、上がったデザインを見て、これだけ要素を詰め込んでいるならと一から作り直す方向になりました。
3Dデザインチームも力を入れてやっているのが「記憶浄化」シリーズのキャラクターです。スキル発動時に2Dのカットインが入るのが「記憶浄化」シリーズの特徴の一つでもあります。技も今までとは違うかっこいい形で作ってあるので注目してください。
――望月さんは、記憶サニアのキャラクターデザインでも関わっているのでしょうか。
望月私は「記憶浄化」で登場するNPCのデザインを何体か担当させていただきました。『アークザラッド R』のイベントはキャラクターの顔アイコンが出て会話形式で進められることが多いんですけど、記憶・浄化のお話はカットシーンが多く展開されます。モデルがアニメーションする事を考慮に入れてしっかりNPCをデザインし、原作の方にも監修していただきました。
安藤 記憶編と浄化編どちらもストーリーがあるので、サニアだけでなく、過去に名前だけしか出てこなかったキャラクターがデザインされてカットシーンで登場することも多いです。
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米坂皆さんが割と望んでいるようなキャラが登場する可能性も……。
安藤 第1弾がサニアで、第2弾がトッシュ、第3弾がグルガを予定しています。この3体まではお話の相談が進んでいるので、そんなにお待たせしないで出せるかと思います。
ディープユーザー向け「装備改造」、ストーリーの主軸テーマ「世界復興」の醍醐味は?