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「『Ghost of Tsushima』はこのためにある」と言っても過言ではない、「黒澤モード」。古めかしさを感じさせるフィルムグレインと、水墨画のような灰色の世界は、そこに立っているだけでも画になる映像です。しかしフォトモードできれいに撮るにはかなり難しく、場所を選ぶなど工夫が必要。今回はこの黒澤モードで上手く撮影するテクニックを研究します。
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モノクロは白が命 セッティングを駆使して光を操る
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黒澤モードを通常と同じ感覚で撮影すると、画面が暗くオブジェクトの見分けがつかない状態になってしまいます。本来であれば追加の照明やレフ板を使って整えるのですが、戦火の対馬にそんな贅沢なものはありません。自然光のみを使って撮影しなければならないという、結構厳しい条件なのです。
幸いにもゲームの世界では天候も時間も自由にセッティングできるので、ベストな状態を自分で作り出せるかがいい写真を撮る鍵と言えるでしょう。
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照明が使えないので、人物の顔に光を当てるには時間を調整する必要があります。
1枚目は対象の前面に光が当たる「順光」、2枚目は対象の横から光が当たる「サイド光」、3枚目は光源が奥にあって対象全体が影になる「逆光」です。
カットシーンでは陰影を出すためにサイド光がよく使われていますね。対象全体を見せるときは順光、雰囲気を出したいときはサイド光、まずはこの二つの使い分けを練習してみましょう。逆光は人物が潰れてしまうので通常は使いませんが、設定次第では美しいシルエットを出すことができます。
次に、光の加減を調整する「露出補正」を見ていきましょう。コントラストが強い黒澤モードでは、影の部分が潰れてよく見えなくなります。この影の部分をどれだけ見やすくするか、それが露出補正の目的です。
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フォトモード起動時の設定と、最大の5.0まで上げたときの比較です。普通だと逆光で潰れてしまった屋内と仁も、露出を上げることで視認できるまで明るくなりましたね。屋外の建物もはっきり見分けられます。
逆に露出を下げれば光と影の印象をより強くすることが可能。雰囲気重視の際には欠かせないものです。もちろんマジックアワーも有効なので、撮りたい画に合わせて使い分けましょう。
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太陽や月、炎など光源が映るときは、思い切り露光を下げても大丈夫。光源の美しさが際立って、通常の撮影とは違う空気を演出できます。天候を雨に変えればギラギラとした反射がオブジェクトに乗り、力強い画面を作れます。
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極端なセッティングにすると、墨絵のようなシルエットも可能。竹林と月光は非常に相性が良く、近くに立ち寄ったときは是非試してみてください。なお、月の位置は時間に関わらず一定なので、夜の撮影にはご注意を。
風よ吹け、呼べよ嵐 背景にもとことんこだわろう
黒澤モードでは当たり前ですが色がないため、背景と人物が見分けられるように工夫が必要です。被写界深度を使うのが簡単ですが、背景との調和が特徴の黒澤映画風にするなら、被写界深度オフでやるのがいいでしょう。
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そこで便利なのが、ゲームならではの機能「天気」のセッティングです。森の中では見づらい画になりがちですが、霧を使えば背景をしっかり映しつつ、人物もくっきり見せることができます。もちろん土砂降りもあり、大風を吹かせればそれだけで迫力満点ですね。
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「風」の演出は馬の疾走感を演出するにはもってこいで、方向を変えて向かい風にすると嵐に立ち向かう力強さが表れます。エフェクトでカラスを飛ばせば、なんとなく不吉な予感も出てきますね。設定を極端にして盛り過ぎなくらいにしてみると、より迫力が伝わる写真になるでしょう。
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遠景を切り取るには「ズーム」機能がとても大事です。ズームはカメラ自体を前後するのとは全く異なり、遠景を収める範囲を調節することができます。
上下の画面上では仁の大きさはほぼ同じです。しかし、ズームを変えることによって遠景が2倍以上も拡大していますね。逆に手前の地面は範囲が広がっています。パノラマを撮りたいなら、起動時よりも広い画角の12mmまで下げて絶景を余す所なく写しましょう。
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ちなみに、被写界深度を限界まで引き上げると、墨絵のような滲みが起こるという面白い現象があります。こういったモノクロならではの表現もあるので、設定を変えて是非探してみてください。
人物の輪郭を切り抜く余白をどう作るか、日本語や水墨画の構図を真似てみるのもいいですね。画面全体から映るものをどう減らしていくか、被写界深度や背景を駆使してチャレンジしてみましょう。
見下ろすショットは出来ず、明るく開けた場所が向いているなど、普通よりも場所選びや調整が難しい黒澤モード。映画や写真の現場では、これを人の手で作り出すのですからすごいですね。その代わり、いい一枚が取れた時の満足感は格別です。カラーとはまた違った光と影のコントラストは撮るほどに奥深い魅力が見つかるはずです。
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