
2020年8月27日にスクウェア・エニックスより発売/配信されるオンラインマルチプレイ対応のアクションRPG『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』。2003年8月8日にゲームキューブで発売された名作が、多数の追加要素を伴ってHDリマスターで登場します。7月某日、開発中のバージョンをテストプレイする機会に恵まれましたので、既出情報のおさらいもかねてゲームの流れやプレイインプレッションをお届けします。
故郷の期待を一身に背負い、いざ冒険の旅へ
物語の舞台は、人を蝕む「瘴気」で覆われた世界。人々はその瘴気を退けるクリスタルの周りに集落や街を作って生活しています。そして、その輝きを保つためには、世界に点在するミルラの樹から少しだけ採取できる「ミルラのしずく」でクリスタルを清め続けなければなりません。愛する家族を含む村人たちの期待を一身に背負い、今また、若者たちで構成されたとあるキャラバンが冒険に旅立ちます。
キャラクターは、物理攻撃と魔法のバランスに優れた「クラヴァット」、物理攻撃に特化した「リルティ」、魔法の扱いに長けた「ユーク」、スピードに特化した「セルキー」のいずれかを選んで作成します。どの種族を選んでも問題ありませんが、最初のオススメはやはりクラヴァットでしょうか。"器用貧乏"ではなく"オールマイティ"といえる種族なので、どんな局面でも戦えます。


村を旅立つ主人公は、まずは名うての冒険者として知られるモーグリ・スティルツキンに旅の手ほどきを受けることになります。いわゆるチュートリアルですね。余談ですが、スティルツキンの声は、人気声優の子安武人さんが担当しています。子安さんが演じる旅の風来坊……と聞いてニヤリとする人もいるのではないでしょうか。
ゲームはワールドマップの移動~街道でのさまざまなイベント~→ダンジョン探索→ボスモンスターと対決→その奥にあるミルラの樹からしずくを採取……の繰り返しで進行します。ダンジョン探索は突入時にアイテムをコマンドリストに登録。探索中はアクションボタンを押すとそのとき選択されているコマンドを実行します。また探索中に魔石を拾って装備すれば、魔石に対応した魔法を使えます。


写真右:ミルラのしずくを求め、馬車で冒険へ。街道ではさまざまな出会いも待っています
実行するコマンドは、L/Rボタン(スマートフォン版はコマンドを左右にフリック)で切り替えます。使用するボタンが少なくシンプルな操作系統なので、操作がなかなか覚えられない……ということはないでしょう。
前述しましたが、本作の世界(≒ダンジョン)は有害な瘴気に満ちています。オンラインマルチプレイをする際は、誰かが瘴気をはねのける「クリスタルケージ」を持ち運ぶ必要がありますので、忘れないようにしましょう。敵への攻撃や回復だけでなく、ケージを管理することも重要な役割です。なお、ソロプレイの際は旅の相棒を務めてくれるモーグリのモグがケージを持ってついてきてくれますので、プレイヤーは攻撃や防御に専念できます。

ミルラのしずくを3回集めてケージがいっぱいになると、強制的に故郷の村へと帰還。年に一度の「水かけ祭り」が村中をあげて開催され、1年間無事に生きられたことを村人全員で盛大に祝います。そして翌年、キャラバンは再び旅立っていきます。ストーリーは1年(ミルラのしずくを3回集めて帰郷)をひとつのサイクルとし、これを繰り返すことで物語が進行していきます。

テキストだけを読みたいときは、あとからメインメニューで振り返ることができます
ボイスに関する仕様の補足もしておきます。ダンジョンでの主人公のボイス(かけ声など)はオプション設定でオフにできるほか、NPCたちのボイスもボリュームを最小に設定すればオフと同じになります。
テキストは自分のペースで読みたい、ゲームキューブ版を遊んでいたのでボイスはない方がなじむ……という方もご安心ください。ここからは、先行プレイで感じたことや新たに判明した要素を一問一答形式でお届けします。
オンラインマルチプレイのタイムラグは?
今回の先行プレイは4人で4プラットフォーム(スイッチ、PS4、iOS、Android)によるクロスプレイを行いましたが、ダンジョンの道中で時おり同期による一瞬のラグが発生することはあるものの、プレイへの支障は感じられませんでした。
これは本作が、いわゆるフレーム単位での回避などが要求されるようなガチガチのアクションゲームではないことも大きいと感じました。また、ボス戦は開けた1エリアでの戦いで画面スクロールしないこともあってか、こちらではラグはまったく感じられませんでした。
マルチプレイ時の協力攻撃のしやすさは?
複数のプレイヤーがタイミングを合わせて魔法や必殺技を放つことで、強力な「魔法剣」や「マジックパイル」を発動できます。マルチプレイがローカル環境のみだったオリジナル版では「せーの!」と声をかけ合いながら繰り出すのが基本でしたが、オンラインマルチに対応している本作ではそうもいきません。
本作では複数のプレイヤーがターゲットリングを重ね、誰が1人がボタンを離すと「パイルメーター」が出現し、針が時計回りで進み始めます。この時、残るプレイヤーがメーターの表示に合わせてタイミングよくボタンを離せば魔法剣/マジックパイルが発動します。(タイミングがずれた場合はそれぞれ個別に魔法や必殺技を発動)。
文字で読むと分かりづらく感じるかもしれませんが、実際に触ってみるとなかなか良好です。本作は定型文によるチャットができますので、それでマジックパイルへの協力を呼びかけるのもいいでしょう。今回の先行プレイはオンラインでありながらも4人が一堂に会するローカルのような環境でのプレイとなりましたが、都内某所でのプレイということもあり用心のため各人とも口数は少なめ。それでも、ボス戦を2~3回繰り返すころには自然と息が合うようになっていました。

誰が1人がボタンを離したので画面中央下部に「パイルメーター」が出現しました



マルチプレイはどんなときに遊ぶのがいい?
これはオリジナル版からの仕様になりますが、本作にはレベルの概念がありません。キャラクターはレシピや各種素材を元にした装備品や、ダンジョンで入手できる「アーティファクト」で強化していきます。ダンジョン突入時、各プレイヤーに「アイテムをたくさん拾う」、「宝箱をたくさん開ける」などのボーナス条件が提示され、それを満たすごとにボーナスポイントが増加。ステージクリア後、そのポイントが高かった順に好きなアーティファクトを報酬として持ち帰れます。
また、ミルラのしずくを集めるためには、誰かの募集に参加するのではなく、自分でルームを立てる必要があります。こうなるとマルチプレイに途中参加する意義が薄いようにも感じられますが、ダンジョンで拾えるアーティファクト以外の素材やアイテムは取り合いにならず、全員がそれぞれ拾得できますので、
・ミルラのしずくを採取したい→自分でルームを立てる
・アーティファクトを集めたい→自分でルームを立てるか、募集に参加する
・素材やアイテムを集めたい→上記の手段に加え、気軽な途中参加でもOK
……と、覚えておきましょう。


スマートフォン版の操作感覚は?
スマートフォン版は横持ち限定で、画面左半分の任意の場所をスワイプでキャラクターの移動、画面右上に表示されるコマンドをスワイプで選択肢、画面右半分をタップ(or押しっぱなし)でコマンド実行となります。
残念ながらゲームパッドには対応していませんが、元々操作がシンプルなこともあり、遊びづらさは感じませんでした。また、ダンジョン突入時などのコマンドリスト設定はドラッグ&ドロップで行えるなど、一部にはスマートフォン独自のUIも用意されています。

エクストラダンジョンの手ごたえは?
ストーリー本編をクリアすると、より高難度なエクストラダンジョンに挑戦できます。秋の装いに包まれた「紅葉のリバーベル街道」や、近寄りたくないキノコにあふれた「毒キノコの森」など、大枠は既存のダンジョンをなぞっていますが、敵の強さは比べ物になりません。もちろん、その分強力なレシピやアーティファクトを入手できます。
また、エクストラダンジョンのBGMはリミックス曲となっており、ボス戦の曲は完全新曲となっています。もちろん、どちらも谷岡久美氏によるものです。

ナメてかかったら、最初の戦闘でいきなり3人がマヒしてピンチに!?
2人目以降のキャラ、育てるの大変じゃない?
本作はひとつのセーブデータで8人までキャラクターを作成でき、全員が同じ村の住人・同じキャラバンの仲間となります。ダンジョンクリア時の手紙のやり取りなどで親密になればさまざまな恩恵を受けられますが、オリジナル版では2人目以降のキャラはイチから育て直しとなるため、サブキャラの育成はなかなか根気をともなうプレイとなりました。
本作ではそれが改善され、同じキャラバン(同じセーブデータ)の仲間であれば、預り所を介してギルや素材を共有できるようになりました。アーティファクトだけはキャラクターごとに集め直しとなりますが、素材やレシピの収集~装備作成の手間が省けるので、2人目以降のキャラクターも気軽に育てられるようになっています。
『FFCCリマスター』の大きな魅力のひとつは、物語、ビジュアル、サウンドなどが一体となってプレイヤーを包み込む、独自の世界観にあるといえます。世界が有害な瘴気に包まれてなお、悲観的にならず前を向いて生きる人々、谷岡久美氏によるケルトミュージック風の楽曲、主題歌とEDテーマを歌うボーカリスト・Yaeさんによる素朴なナレーション、語りすぎることのないストーリー……。
それらが一体となって紡ぎあげるプレイ体験は、まるでよくできた海外の児童文学でも味わっているかのようです。ゲームキューブ版発売当時、筆者ならずともこの世界の虜になった人は多いのではないでしょうか。そして今回の先行プレイで、本作のこうした魅力は、今もなおまったく色あせていないと感じました。のどかでありつつも、どこか寂寥感をも抱かせるファンタジーの世界で、あなたも新米キャラバンとして冒険の旅に出てみませんか?

スクウェア・エニックスのアクションRPG『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』は2020年8月27日にスイッチ、PS4、スマートフォン(iOS/Android)で発売/配信予定です。スイッチ版とPS4版の価格はパッケージ、ダウンロード共通で4,800円+税となります。スマートフォン版のタイトル表記は『FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES』で、こちらは無料での配信となります。
スイッチ版とPS4版は、最大13ダンジョンが無料でプレイできる体験版の『FFCCリマスター Lite』も同時配信予定で、4,800円を追加で支払えばセーブデータを残しつつ製品版に移行できます。また、スマートフォン版は『Lite』に相当する内容がプレイ可能で、2,820円+税を支払うことで、スイッチ/PS4の製品版と同様の内容になります。
※本作は2003年に発売した『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』に、新たな要素を追加および一部改変したリマスター作品です。
※インターネットに接続することで利用できるサービスは、ゲームの発売から期間が経過すると終了する場合がございます。
※オンラインマルチプレイの利用には、インターネットへの接続および、Nintendo Switch版ではニンテンドーアカウントの作成(無料)と「Nintendo Switch Online」への加入(有料)、PlayStation 4版ではPlayStation Networkのご利用(無料)とPlayStation Plusへの加入(有料)が必要です。
※オンラインマルチプレイのマッチングは、同じリージョン(地域)のソフトを使用しているプレイヤー間で行われます。
※日本国内からオンラインマルチプレイへ接続する場合、日本国内のプレイヤーとマッチングします。
※通信状況によってオンラインマルチプレイにタイムラグが発生する場合がございます。
※画面は開発中のものです。
※家庭用ゲーム機(Nintendo Switch/PlayStation 4)とスマートフォン(iOS/Android)の画面構成・デザイン、解像度には差異があります。
(C)2003, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: Toshiyuki Itahana