文明が崩壊した世界において、居住地選びはとても重要です。ゾンビやクリーチャー、あるいはヒャッハーな集団から身を隠せる安全な住処を見つけられるかどうかが、過酷なポストアポカリプス・ワールドを生き抜く鍵となります。
多くのゲームでは人々が集落を建造したり、地下に身を潜めたりと環境に適した暮らし方をしていますが、中には「えっ、こんなところに住むの?」というようなユニークな居住地も出てきます。その一つが、スタジアム型です。
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圧倒的な存在感。外部からの侵入を許さないその威風堂々たる姿は、鋼鉄の砦そのものです。
この記事では、スタジアムや野球場などの一風変わった居住地に住む人々が、その中でどのような生活を送っているのかを、潜入レポという形でお届けしその魅力を伝えていきます。
※本稿には『The Last of Us Part2』と『Fallout 4』の内容およびスクリーンショットが多く含まれます。ストーリーの内容には直接触れていませんが、未プレイの方はご注意ください。
まるで城壁に囲まれた牧場。そこは自給自足の生活が送れる楽園だった
謎の寄生菌によって崩壊した世界を描くサバイバルアクションゲーム『The Last of Us Part2』。本作には「ワシントン解放前線」、通称WLFという武装グループが存在します。彼らはアメリカのシアトルにいくつもの拠点を持っていて、そのうちの一つがこちらです。
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……え、牧場?と思われた方もいるかもしれませんが、実はここ、スタジアムの中なのです。
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どん!観客席からの光景がこちら。なんと、フィールドが牧草地になっているのですね!
ここはシアトルに実在する「センチュリーリンク・フィールド」をモデルにしているのですが、かつては大勢の歓声が響き渡っていたスタジアムも、今では牛や羊たちの鳴き声があちこちから聞こえる牧歌的な空間に変貌をとげています。
手前に見えるのは太陽光パネルでしょうか。天井がぽっかりと開いたスタジアムの造りを最大限に活かしていますね。
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飲み物片手にリラックスした面持ちの男性や、読書を堪能する女性……世界が崩壊しているとは思えないほど平和な日常がここには広がっています。高い壁に守られている安心感が心に余裕を生むのでしょうか。
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ここではみんなが自分の役割をこなしながら生活しています。日々たまっていく衣類をせっせと洗う彼は、さしずめ洗濯物担当といったところ。手を休めてお喋りする2人を尻目に黙々と手を動かすその表情は、もはやプロの面構えです。
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スタジアムでの食事事情も見てみましょう。育てている作物はトマトで、赤ちゃんを背負いながら女性たちが収穫をしています。働くお母さんたちの談笑する声が聴こえてきそうですね。
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また、調理場も野外に設置されています。スタジアムの構造上、お肉の焼ける匂いは観客席いっぱいに広がりそうで、ご飯時には多くの人が列をなしている姿が想像できますね。調理をしているのは、昔観戦したアメフトの試合を思い出しているかのように哀愁ただようおじさん。お肉焦がさないようにお願いしますね。
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ちなみに室内にも別の調理場がありました。今日の献立はブリトーとのことです。少し離れたテーブル席では、戦闘部隊の面々が和気藹々と食事中。みなさん兵士らしい屈強な体つきで、交わされる会話もどことなく物騒です。目を付けられないうちに筆者はそそくさと立ち去ることにしました。
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スタジアムの内部に進んでいくと、トレーニングルームがありました。昔は選手たちがここで汗を流していたのでしょう。さすがはシアトル有数のスタジアム。施設が充実していますね。
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戦いに備えて筋トレに励む兵士たち。射撃の訓練も欠かせません。
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ちなみに、ここには多くの子供たちが住んでいて、日中は教室で勉強しているようです。文明社会を取り戻すためにも、教育は大事ですね。子供たちは未来の財産。早く平和が訪れることを願います。
今度はメジャーリーグの野球場!トタン屋根が密集する賑やかな町並み
つづいて紹介するのは、『Fallout 4』に出てくる「ダイアモンドシティ」です。アメリカのボストンに実在する「フェンウェイ・パーク」という野球場の中に町をこしらえており、先ほどよりも建物の規模は小さいのですが、周りを囲む壁の高さは外敵の侵入を十分に防ぐことができます。早速潜入してみましょう!
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こちらが外観です。さすがはメジャーリーグのボストン・レッドソックス本拠地といったところでしょうか、バットをかまえた銅像がお出迎えしてくれました。
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建物の中はこんな感じ。トタン屋根や金属製の建物がきっしりです。先ほどの「センチュリーリンク・フィールド」との違いは、グラウンドを牧草地ではなく町のマーケットとして活用している点ですね。一箇所に人や建物が集まることでより活気にあふれた雰囲気に包まれています。
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マーケットの屋台では、奇妙なロボット(名前はタカハシ)が客に料理を提供していました。風の噂によると、ここの「パワーヌードル」という食べ物が絶品料理らしいので、筆者も早速注文してみたのですが……。何度頼んでみても「ナニニシマスカ?」と返されるだけで一向に作ってくれません。部外者にやる飯はないと遠回しに言われているのでしょうか?
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仕方がないので、他の客が食べているところを眺めることにしました。これが「ダイアモンドシティ」名物の「パワーヌードル」。見た目は……ノーコメントでお願いします。
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町にはバリエーション豊富なお店が立ち並んでいるのですが、筆者が特に驚いたのは美容室まで存在していることです。世界が崩壊しても、オシャレは大事ということですね。怪我や病気に罹ったときは、診察を受けることもできるようです。
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野球場の中にある町だけあって、ユニフォームやキャッチャーヘルメットなどを装着したユーモアあふれる格好の住人が多いです。居住地の個性が現れていて素敵だと思います。
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『Fallout』は核の放射能によって世界が汚染されたという設定なので、作物は育てられないのかなと思っていたのですが、町の端っこに小さな畑を発見しました。お兄さんが一生懸命に耕しています。
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敵の侵入を防ぐ「壁」を、真心込めて掃除するお爺さん。彼曰く、このウォール(壁)は「偉大なるグリーン・ガーディアンで、悪い奴から守ってくれている」らしいです。
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ふむふむ。それを聞くと"守られている"という安心感が一段と強く芽生えます。
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夜のライトアップされた球場内。今日一日この町は平和でした。
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ちなみに、「ダイアモンドシティ」でも子供たちのための学校が設けられていました。居住地の中に教育施設があることが、本当の意味での豊かさの証拠なのかもしれませんね。
以上で、現場からのレポは終わります。
もしゾンビやクリーチャーがはびこる世界になってしまっても、強固な壁に守られたスタジアムや大きな球場の中で生活すれば、衣食住に悩むことがない充実したポストアポカリプス・ライフが送れるかもしれませんよ!