3Dアクションと3Dプラットフォーマー

クリアしてようやく理解できたのですが、おそらく『スーパーマリオサンシャイン』は2つの要素をプレイヤーに遊ばせたいのでしょう。ひとつは、ポンプなどさまざまな仕掛けを利用した3Dアクション。もうひとつは、なるべく限られた操作でプラットフォーム(足場)を渡っていく3Dプラットフォーマーです(※)。
(※)海外ではアクションゲームをプラットフォーマーと呼ぶケースがあるそうです。この記事では、さまざまなアクションを楽しむ部分を3Dアクション、足場を渡っていくようなシンプルな部分を3Dプラットフォーマーと呼びます。
3Dアクションと3Dプラットフォーマーは、似てはいますが別物。ポンプは最初こそ扱いにくいものの、慣れると非常に便利です。素早く移動できますし、前述のようにホバーで着地点がわかりやすい。それこそ動かしているだけでも楽しく、一方で移動が楽になってしまうともいえるわけです。

一方、マリオの身体能力だけで足場を渡る3Dプラットフォーマーは、試行錯誤の世界です。マリオのアクションは限られており、コースの形から正解ルートを見抜き確実なアクションを決めていく必要があります。自由なアクションを楽しむというより「クリアするために行動をパターン化するかのような遊び」で、ポンプなしで難しさに挑んでほしいわけですね。
ゆえに、ポンプありの通常コースもあれば、いちいちニセマリオが出てきてポンプを奪うアスレチックステージもある。『スーパーマリオサンシャイン』のなかには、おおまかに分けるとこの2方向が内在しているわけです。
3D空間で何をプレイヤーに遊ばせるか

もともと『スーパーマリオ64』は3Dプラットフォーマーに近く、『スーパーマリオサンシャイン』はそれを進化させた作品でもあるため、ポンプなしで遊ぶ部分も必要だったのでしょう。一方で、シリーズ最新作『スーパーマリオ オデッセイ』になると逆に、3Dアクション要素のほうが強くなっています。
『スーパーマリオ オデッセイ』ではキャッピーが非常に扱いやすいうえ、不自然に奪われることもありません。また、キャプチャーで恐竜にもなれますし、あるいはバブルやキラーといった敵キャラになることも可能。変身は多彩で、足場渡りも存在しますがより多彩な3Dアクションを楽しめる内容といえます。

つまり、一口に3Dアクションゲームといっても方向性はさまざまなのです。『スーパーマリオサンシャイン』はどちらかといえば3Dプラットフォーマー寄りで、『スーパーマリオ オデッセイ』はいろいろなアクションが気軽に遊べる3Dアクション寄りなのでしょう。
一口に3Dアクションゲームといえども、何を表現するかはさまざま。3Dマリオの歴史をいまになって俯瞰できる『スーパーマリオ 3Dコレクション』だからこそ、方向性の違いが大きく見えるわけですね。
■関連記事